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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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魔王構築

 森に出掛ける前に腹ごしらえ。宿で朝ごはんを食べていると、協会本部のお姉さんが走って来て、息を切らして話してくれた。

「牢破り、あちこちで起きていて、100人近く逃げたらしいんです!洞窟に居た奴等の他、70人位が野放しなので気を付けて下さい!」

魔族の森に逃げ込んでいるかもしれないし、昨日みたいな罠を張ってる可能性も高いよね。

「油断禁物ね!昨日はアタシの判断ミスだよ、嫌な目に会わせてごめんね。」

「自分も同じように考えてたから、姉上だけの責任じゃないです。」

皆んなも、そう思っていたので、これからもっと注意して行こうと意識確認。

 伝令に来てくれたお姉さんは水晶玉を持っていたので、これからの情報は水晶玉で伝えて貰える様にして森に向かった。

 森に深く入る。魔物はたまに見かけたり、小鬼が出るくらいで魔王の雫やチョエンに関わりそうな物は見つからない。馬車では進めなくなって徒歩に切り替えた。獣道をしばらく進むと、

「アッチ行って見いへん?」

あらたが、獣道以下の藪の一本筋を指した。何があるか解らないけど、他に有力情報も無いので、あらたの勘に頼ってみる。

 少し歩くと小さな洞窟を発見。最近と言うか、ついさっきまで人が居た感じで焚き火を消した跡があった。洞窟は坑道の様に奥に繋がっでいる様だ。ゆっくり慎重に進むとすぐに少し広がった空間に出た。突き当たりには何かを掘り出した跡が有り、覗き込んだ愛果と愛葉は、後退り、

「「漆黒刀と同じ何かを感じますわ!」」

 漆黒盾か、漆黒晶が埋めてあった可能性が高いよね?外に出て足跡とか探しけど見付からない。

「ほな、アッチやな。」

あらたの指す方向を見て愛葉は、

「小さい魔物も居ないから、誰かが通った可能性が、高いですわ。」

「歩いて来た獣道の方が魔物が居ましてよ!」

愛果もあらたの選択を後押しした。

 藪を漕いで行くと、別の獣道に出た。整備とまでは行かないけど、ある程度頻繁に人が通ったり、小さい荷車が通ったらしき轍も残っていた。泥濘も有り、新しい足跡も見つかった。足跡が残る地面ばかりじゃ無いのですぐに見失ったけど、その獣道をそのまま進んだ。あらたの勘と愛果と愛葉のセンサーでそのまま進むと、あきらかに『ココから藪に入りました』って踏み分けた跡が有り、跡を辿ると、坑道口かな?かなり昔に使っていたと思われ、何を掘っていたかも解らないけど、人の手が入った入口になっていて、塞いでいたと思われる板を剥がした感じだった。

 中を覗こうとすると、水晶玉が光った。協会本部のお姉さんからの連絡で、脱獄囚の情報だった。逃げたのは全部で97人。そのうち4人は看守の矢で死亡、5人は再度捕まり、魔族の森で63人の遺体が発見されていて、昨日洞窟で生き埋めになった24人をあわせると96人、チョエンと一緒にいる奴が最後の1人の様だ。

「森で見つかった死体って白骨化していたのではなかろうか?」

お姉さんに聞くとその通りで、

ベルと姉貴は顔を見合わせ、

「百零の決闘じゃな。」

魔法で拘束された中で決闘し、勝ち残ったほうが、相手の能力を全て奪い取る術で1対1(タイマン)で、勝ち抜いた1人が64人分の能力を独り占めしている筈らしい。魔力的には高ランカーなら盗賊なんかに身を落とさなくても生きて行けるので、低ランクしか居ないと思うけど、数が揃ったら結構な魔力だよね。その身体を魔王の雫が使うとなると、かなりの戦力かも知れないな。

 改めて洞窟を調査。

「「角無しと小さな魔物の反応がありますわ!」」

「チョエンと魔王の雫かも?」

二人は頷いた。そっと足を踏み入れると、

「なんか、アカン気ぃする!」

風香が急いで結界を張ると、間一髪、洞窟中の爆発から護ってくれた。

床が抜けたように、下の階層に落ちると、愛果と愛葉の予想通り、赤ん坊を抱いたチョエンが立っていて、筋肉隆々の男が、ギロチン台にセットされていた。こちらは結界で隠れているので、気付かれていなかった。

 赤ん坊がレバーを引くと、男の生首が転がり、すぐに骸骨になった。残りの身体も白骨化して、赤ん坊は、グングン巨大化して死んだ男の体型になった。

「わらわの為に用意した器が男の身体とは、何を考えておるのじゃ!」

チョエンは平伏したが、

「仮住まいじゃ、早う新しい身体を用意せい。まあ、折角この体になったのだから、男の楽しみも味わって見ようか。」

大男になった魔王の雫は、チョエンの上に乗って揺れ始めた。

「お楽しみのところお気の毒ですが、消えて頂きますわ!」

愛果と愛葉は赤い魔力刃をクロスさせて飛ばし、間髪入れず、黒いクロスを飛ばした。僕らに気づいていない二人は、反応出来ずに赤いクロスは結界を破り、黒いクロスは弾き飛ばそうとした魔王の雫の左腕を飛ばした。

「所詮、人間の身体か。仕方が無い!」

魔王の雫は、黒い玉をこちらに投げ付けて逃げ出した。

 黒い玉は、僕らの手前に落ちて割れると、洞窟内があっという間に黒い力に支配されてしまった。魔法が使え無い濃度になり浄化を続ける僕の周りに集まって何とか凌いだ。しばらく頑張って魔法が解禁、東雲のサポートも貰って浄化し切った頃にはチョエン達は、とっくに逃げ切っていた。

「漆黒晶じゃな。逃がしてしまったのは残念じゃが、奴等の手駒を使わせたのは大きいぞ、勝敗を付けるなら儂らの勝ちじゃな。」

 逃げた出口を辿って地上に出た。

「「魔王の雫、魔力が増えて探り易くなりましてよ!」」

早速、センサーを頼っての追跡を開始した。

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