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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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大陸帰着

 翌朝、やっぱり早起きして甲板に出ると、遠くにクジラが泳いて、潮を吹いていた。イルカが並走したり、カモメがエサをもらいに来たりと、天然の水族館を満喫した。

 朝ごはんもバイキングで、好きな物を持ってくるんだけど、テーブルと椅子があるので立食パーティーよりは落ち着いて食べられた。お隣さんが居なかったのでホッとしていたら、風呂上がり姿のお隣さん達が大浴場から帰って来た。ニタニタした顔が大手を振って覗きが出来る幸せに浸っているみたい。不味い奴等を変身させてしまったかもしれないと、反省した。

 南の島に渡った時、船酔いが辛そうだったショコラだけど、今回は平気な顔をしている。慣れたのかな?大きな船で揺れ方が違うからなのかな?

 2泊3日なので2日目の今日は、24時間びっしり海の上。東国行きなら明日の早朝に着くんだけど、今回は南国迄でちょっと距離があるので、明日の夕方迄掛かっちゃう。退屈凌ぎに大きなお風呂でノビノビって考えていたけど!お隣さんのあの表情を思い出すと、部屋に付いている小さいお風呂でもいいかなって思うんだよね。

 ポーチの中身の棚卸しをしたり、愛果と愛葉が水晶玉を使えるか実験したりして時が過ぎるのを待った。予備に持っていた水晶玉を使って皆んなと接続出来て実験完了。予備と言えばウエストポーチ。愛菜が使っていたを愛果が持って、予備を愛葉が使ってるんだけど、愛菜が斬られた時、ベルトも切れちゃったので、濃い茶色のベルトを通している。愛葉のは新品なのでポーチと同系色の鞣し革のベルトが付いているのに、わざわざ濃茶に付け替えて使っている。いい加減、仲良しだって認めたらいいのにね。


 午後、甲板でボーっとしていると、お隣さん達が寄って来た。面倒くさいんだけど、こう来ると思ってちょっと作戦を立てていた。

 ベルに合図して、大浴場作戦が始まった。

 バーに誘って、ゆっくり飲ませる。僕らは交代で酔わない程度に付き合って、足留めして、交代で大浴場。先にお風呂に入ったメンバーが戻ると入れ替わりでお風呂に入る。大浴場を満喫した。

 僕は、最後のお風呂で、バーに行くと、お隣さん達は酔い潰れていた。一緒に飲んでいた手前、放置する訳にも行かないので、部屋まで連れて行く。取り巻きの2人はフラ付きながらも自分で歩けたけど、タカシマは手摺りを掃除するかのようでなかなか進まない、やっとの事でお部屋の前迄来て、風香が手を貸そうとすると、よろめいたタカシマの手が、風香の顔面を直撃した。じわっと鼻血が滲んだ瞬間、タカシマは猛獣サイズのエテの下にいた。鋭い爪は身動きが出来ないタカシマの頸動脈を確保し、噛もうと思えば、いつでも頭を半分に出来る体勢で一声吠えた。酔いは吹っ飛んだようだけど、紫の顔色で、ガクガク震えて失禁していた。

 風香は自分でヒールすると、エテを抱きしめて、

「途中で我慢して偉かったね!あんなのでも、人殺しは駄目だからね。」

正気に戻った取り巻き達に後始末を頼んで風香は、

「明日の午前中は大浴場でノンビリしようと思うの。まさかそこで偶然あったりしませんよね?」

エテが体制を低くして、いつでも飛び掛かれるポーズを取ると、取り巻き達は、

「絶対そんな所で会いません!ぜ、絶対!」

風香はニッコリ笑って部屋に入った。


 翌日、宣言通りに朝湯に浸かり、朝ごはんの後もお風呂でゆったり。お隣さん達に動きは無いようだった。

「風香の鼻血は事故だったからさ、ちょっと可哀想な気もするよね?」

「「慈子は甘過ぎですわ!これくらいで、やっと付き纏われないで済む位ですわね。」」

「アイツら並の神経やあらへん!これで済んだら、結界オーライっちゅうヤツやな!」

 午後はトレーニングなんかで時間を潰して夕方になって、やっと港が見えてきた。港が逃げているかと思うくらいなかなか着かない様に感じ、ちょっとウトウトしているうちに到着したみたい。

 お隣さん達は、下船の時も僕らと合わない様に遅らせて降りたみたいだった。


 プールのあるいつものコテージに馬車を預かっているので、またそこに泊まる。協会本部に行って魔族の森の調査っていうか討伐の状況を確かめると、あちこちで魔王復活に必要なパーツを準備してあったのを、未然に潰しているらしい。おっちゃんの支部に繋いで貰うと、大体重要な所は潰せたらしく、ご機嫌な様子だった。南の島の戦果を話すと、

「・・・・!・・・!・、良くやった!」

元々雑音の中から一生懸命に声を探すような通信機なのに、おっちゃんが興奮して大声で話すと、ほとんど何を言っているのか解らなくて、『良くやった』は多分、そう言っているような感じ。もう宿はとったから、今夜一泊して馬車を、預けて魔窟経由で帰ろうかな?

 コテージに帰って相談すると、

「午前中、ちょっと寄り道せんか?見せたい所が有るんじゃ。」

元々、ぶらり旅のつもりだったので、ベルのオススメに寄ってから、午後移動っていうか魔窟攻略って予定にした。

 南国は元々、大陸が1つの国だった頃の中心地で、南国の今の首都が大陸の首都だった。いくつもの小さな国に分裂してからは、教会の総本山として、学問の中心として栄えていた。鹿男博士は、きっとここで活躍してたんだろうな。

 また、お喋りに華が咲きそうだったけど、明日に備えて早寝をしようと灯りを消した。豪華な船室だったけど、やっぱり揺れないベッドの方が落ち着くよね?カトリーヌも気持ち良さそうにお布団の中で丸まっていた。

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