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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
117/142

豪華客船

 東国から荷物が届いたと、宿のお姉さんが運んでくれた。バラさんからの物で、中身は、愛果と愛葉のライセンスプレート。お願いした時の二人はCランクだったけど、届いたプレートはAランク。間違えたのかと思ったけど、手紙が添えてあり、

『あっという間にFからCとの事ですので、これが届く頃にはきっとこのプレートが丁度いい筈です。東国にお越しの際にはぜひ寄って下さいね。ローズ』

「確か、『ローズ』って呼ばれるの嫌がってましたよね?」

「ああ、ラッシーがね、アタシをエリカって呼ぶ癖を付けるためにね、あの人達も、ローズとパンで頑張ってくれたみたいなのよ。」

良く分からない経緯だけど、姉貴が嬉しそうなので、問題なしだよね。

 チェックアウトしてひかりさんの所に帰国の挨拶に行くと、ボロボロだった戦闘服がパリっと直っていた。レア素材満載なので何かの役に立つかもとおもって持ってきたんだけど、特殊な処理を施して再生してくれたみたい。愛果と愛葉の分も用意してくれていた。料金を聞くと、

「父が払うって聞かないの!」

輝曜石が、おじいちゃん先生の言っていた価値なら、貰ってもいいのかもしれないけど、いつまでも甘えるのも心苦しいな。そう話すと、

「うん、あの石の価値はホントだよ!だから遠慮しないでね、あと家族が纏まった事にも感謝してるのよ、たまに実家にかえったら父も喜んでくれてね、、、。あと、私も美少女の着せ替えで楽しませて貰ってるからね!」

嬉しそうに話すひかりさんのの勢いに負けて、今回も甘えさせて貰った。

 病院に行って診察を待っていると、満先生とおじいちゃん先生が来て、歓迎してくれた。今日帰る事を告げると、とても残念そうにして、次は絶対に事前に連絡して欲しいとすがるように頼まれてしまった。診察の順番が回って来ると、先生達も一緒に蛍先生の診察室に入った。全く問題無く、魔力も2000台迄回復していた。おじいちゃん先生は、

「魔力計を2人で握ってみなさい。」

2人はお約束で相手をディスりながら測定開始。マックス1万の目盛を振り切っていた。二人の足し算なら4000を越える位なのにその倍以上って凄いよね?あの花火も凄かったから、上手く連携出来れば、前より強力なのかもしれないね。

 診察が有る先生達は自分達の診察室に帰り、蛍先生は愛果と愛葉が最後になるように予約を制限していたので、港迄見送りに来てくれた。

「あの3人、何か問題だったんですか?」

「うん、病気とかそんなんじゃ無いんだけどね、、、。」

ちょっと言い辛そうに、

「子供になって女装した時は結構な美少女(?)だったでしょ?本人達も自覚があって、あのまま可愛く成長した姿を想像していたみたいなのよ、、、。」

どうやら、変身後の容姿がお気に召さないらしい。

 出港迄時間があったので、姉貴は米酒を物色、僕らもお土産とか見て時間を潰した。船の時間に合わせて港に行くと、見た事の無いオバサンに声を掛けられた。

「帰るんなら、誘って下さいよ!」

良く見ると、ナンパのお兄さん達の面影があった。手続きは完了しているそうで、僕らと同じ船に滑り込んだようだった。嫌な予感と言うか、きっとそうだろうと思ってチケットを見ると、3室しかない特級寝室の2つが僕らで、もう1室がオバサン達の部屋だった。父と同じような手配の仕方なのかな?2泊3日、お隣って面倒だよね。

 出港して間もなく、立食パーティーが始まり、ひかりさんのアドバイスで用意しておいた、シックなワンピースに着替えて、会場に向かった。カトリーヌ達も、可愛いドレス姿。冷えた泡葡萄酒を受け取って乾杯。楽しくお喋りをしていたら、お隣のオバサン達がドレスに贅肉を押し込んで、慣れないヒールを履いてフラフラしながら登場して来た。あからさまに避けるのもオトナ気ないので、一緒に飲んでいた。落ち着いて見ると、体型や顔の大きさでオバサンぽく見えるけど、姉貴が試算していた10台後半の設定で合っているように思えてきた。

「せっかく女性になっんですから、男性誘って見たら?」

タキシードのお兄さんを視線でオススメした。タカシマ嬢は、グラスを2つ乗せたトレイで彼に近づいて声を掛けたけど、タキシードのお兄さんは自分の空いたグラスを、タカシマ嬢のトレイに置いて、グラスを2つとも取って姉貴に声を掛けていた。タカシマの取り巻きの二人は、太もものような二の腕を露わにしたドレスで、一人はヒールが折れて転がると、もう片方のヒールも壊して、パンプスっぽくすると、ご馳走が並んだテーブルに張り付いていた。もう一人もヒールを壊して参戦した。

 若い男性は少なく、最初のお兄さんが、姉貴に軽くあしらわれていたので、しつこいお誘いは無く、落ち着いてご馳走を堪能出来た。タカシマ一行は、お兄さん達の眼中に無いことに気付いて、色気より食い気に走っていた。3人がご馳走に集中しているうちに、こっそり部屋に帰って、パジャマに着替えて二次会を始めた。姉貴は冷やした米酒を開けながら、

「あれは落ち着かないわね!」

「ウチも嫌やな、イッコも喉通らへん!でも、アレ旨かったなあ、エビの辛くしたやつやろ、お肉を巻いたのとか、サックサクの揚モンとか、、、。」

あらたは、『イッコも』なんて言いながら、一通り食べたんじゃないかな?

「儂も学会の面倒な集まりを思い出すな。」

「自分は、栄養バランスを考えて食べられるので嫌いじゃないです。」

「わたしもあんまり好きじゃ無いけど、紳士的な方ばかりで、一度お断りしたらしつこくされなくて楽だったわ。」

「「料理は良かったけど、ニセモノとそっくりって言われるのは不愉快ね!」」

「僕は知らないおじさんとかお姉さんとお話しして楽しかったです!」

カトリーヌ達はいろんな人が連呼する『可愛い』でまあ満足な様子だった。

乗船前に買ったおつまみとかで少し飲んで夜ふかし。深夜甲板に出て満天の星を眺めた。

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