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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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ナンパのお姉さん?

 順調に滝まで降り、仔犬達にも水を飲ませた。僕らも飲むと、魔力がどうこうって話しより、冷たいお水が美味しかった。仔犬たちは、人間の姿に戻った。若返りの効果は計算通りで小学校1年生位の男の子になっていた。

「首輪だけので、全裸は不味いよね?」

「「任せて下さる?」」

愛果と愛葉は、男の子達に買い物袋を配っていた。

「「サイズもピッタリね!お似合いですわ!」」

フリルたっぷりのブラウスに赤いチェックのミニスカート白のハイソックスに赤いスリッポン。その年頃の女児のスタンダードパターン。

「ちゃんと穿いてるわね?」

愛葉はスカートを捲って、ピンクのぱんつを確認した。

「犬の目線をいい事に、スカート覗き放題だったのよね?そんなにお好きなら、ご自分で楽しんで下さるかしら?」

別のスカートの中身はいちごぱんつと水玉ぱんつだった。

 可愛く変身したナンパのお兄さん達と山を降りる。滝からは荒れた道を少し登る。

「もっとお淑やかに歩かないと、ぱんつ丸見えよ!」

姉貴が冷やかした。

 登り切るとあとはハイキングコース。ランチ休憩して登山口迄は登山者が増えて来た。恥ずかしがる可愛いお兄さん達に、

「まあ、その頭じゃ中途半端で居心地悪かろう、お宝の櫛で梳いてみてはどうじゃ?」

櫛をベルに渡すと、髪を梳くと言うか、頭皮を削る様にしていると、みるみる内に髪が伸び背中までのロングになった。

 姉貴は面白がって、前髪を作り、結ったり、巻いたりして遊んでいた。風香もリボンやカチューシャを出してすっかりオモチャにしていた。出来上がりを鏡で見た本人達も満更でも無さそうで、ぱんつが見えない様に気にしながら歩くようになっていた。

 無事下山すると、もうすぐ夕方。宿の予約もしていないので、無理せずテントを張った。一泊して病院の側の宿に向かった。


 チェックインして、受付時間ギリギリの病院に走った。愛果と愛葉の様子の確認と可愛くなったお兄さん達を診て貰う。取り敢えず問題は無さそうで、可愛いお兄さん達は血液と尿検査。3日後結果をききにくる。まあ、一安心なので、男の子のお洋服を買いに街に誘うと、

「このままでいい!」

お宝の櫛で伸ばしたロングヘアが気に入ったので、女装を続けていたいそうだ。


 宿に戻ると、姉貴とベルが、役人っぽいオジサンの相手をしていた。僕らに気づくと、

「タカシマくん、お迎えよ!」

当のタカシマはオジサン達を見ると、僕の背中に隠れていた。オジサン達はタカシマのお祖父さんをお父さんで、引き渡し完了かと思ったら、もうひと騒動。

高嶋家は、南国指折りの名家で代々裁判官を務めているそうで、お祖父さんはリタイア、今お父さんが最も上級の長官と言う役職との事。ここ迄の経緯がキチンと伝わっていなくて、僕らが連れ回したせいで魔物化して、日之出国に連れ去ったと言う設定で、取り戻しに来たらしい。事情を聞くと一転平謝り。しょっちゅう問題を起こしていたので、直ぐに理解してくれたみたい。診察の結果と、検査結果が出る予定を告げると、結果を聞いてから帰国するとの事。入出国の手続きにも手間が掛かりそうなので、丁度いいのかな?

 僕らは、別の山を攻略する。移動と合わせて3日で2つクリア出来そうな感じ。帰りは高島家のクルーザーに便乗させて貰うので、その予定で行動する。


「ゴメン、急いで調べたい事があるの!」

蛍先生が息を切らして駆け込んで来た。

「男の子達の尿から魔物の反応が!」

直ぐに病院に戻り、処置室に飛び込んでいた。僕はなんとなく、蛍先生の視線が一緒にきて欲しそうだったので、タカシマのじいちゃんと父さんとベルの4人で待合室に居た。

「なんとなくは、理解しているのですが、愚息達は、どういった経緯で貴女達とご一緒してたのですか?」

隠しても仕方が無いのでしっかり説明した。

 プールでナンパされシャットアウト。シャワー室覗こうとしてトラップにかかる。魔窟で未登録の深層に勝手に付いて来て、魔物に玉砕。結界で保護して攻略、その後レスキュー。南の島へ渡り、魔王の雫討伐に勝手に付いて来て、狼の魔物に噛まれ、魔物化。解除の為日之出国に来て、入国審査を通るため、仔犬に見える様に若返り、解除の滝で今の姿。駆け足で説明すると、

「なぜ女の子の洋服なのでしょう?」

「あっ!あれは、いっぱい迷惑掛けられたから、意地悪したつもりだったんですけど、本人達が気に入ったみたいなんです!男の子用のお洋服買いに行こうって誘ったんですけど要らないって!」

お父さんは、呆れ果てたって表情だけど、じいちゃんは、

「あれはあれで可愛いのう。」

結構嬉しそうにしている。

「まあ、女だったら、お詫び行脚もしなくて済みますけど、、、。」

僕らに付き纏うように、女の子を追い回して何度も問題を起こしていたらしい。重苦しい空気を、処置室のドアが開く音が吹き飛ばした。

「ちーちゃん、山の洞窟で退治したネバネバって、核が青くなかったかしら?」 

「はい、青です!」

あのネバネバは、核の欠片を哺乳類の子宮に注入して、妊娠を装って栄養を吸い取って育つらしく、オスの生殖能力は邪魔なので腐らせてしまうそうだ。睾丸から腐り、付近に拡がり始めているとの事。直ぐに睾丸と腐食が進んだ所を切除すれば、死に至る事はない筈なんだけど、魔物のサイズがデカかったせいか、毒の回りが異常に速く、今の段階では、手遅れの可能性が高いそうだ。

「儂と同じ治療はどうじゃ?」

蛍先生は、確信は無いけど、助かる見込みが1番高そうなので試す価値はあると言い、本人達は熱望しているそうだ、じいちゃんは微妙だけど孫娘を可愛がるのを楽しみにしているようだし、父さんは女性関係のトラブルが起きなくなっていいかも?って反応。結局、『賛成』は本人達、他は『良いかも』で『反対』無しで変身させる事になった。水晶玉で姉貴を呼んで、処置室でグッタリの3人と父さん、じいちゃんに副作用の説明をした。

「副作用で、歳をとるんだけど、子供に掛けたことが無いの。歳をとる分だけ成長するのか、子供サイズのままで、年齢を重ねるのか解らないのよね、前立腺癌は、変身で消えたから、ネバネバの毒からは逃れられるとは思うけど、正直なところギャンブルよ!」

意見を変える人が居なかったので、姉貴の魔法が3人を取り囲んだ。ふらつく姉貴の肩を支えると、3人を包む光が眩しくなり、すうっと消えると、3人はスヤスヤ眠っていた。お布団の膨らみで判断すると、子供サイズは卒業しているようだし、寝顔で良く解らないけど、大人の顔になっているようだった。病室に運び、タカシマの父さんとじいちゃんは付き添いで残って、僕らは宿に帰った。

 

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