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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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愛菜と狼

 愛果と愛葉を連れて蛍先生の病院へ行った。蛍先生も、おじいさん先生も見た事の無い現象で、経緯を話すと、愛菜の魔力の強さ、サポートしていた僕の魔力、東雲の特殊能力が偶然、命を繋いだと推測していた。

 色々検査をしたけど、まるっきりの健康体で、魔力もCランクまで戻っていた。ただ、メーター振切ればAなので、100を目指すなら、結構な回復だけど、5000以上だった事を考えたら、まだまだ序の口って感じだよね。

「実戦で魔力を使って、魔力の巡りを良くするといいわ、ここ登って来るといいわよ!」

蛍先生は、登山のガイドブックに付箋をたくさん付けて渡してくれた。

「大陸の魔窟みたいな感じで、下じゃ無くて上に行くの、頂上にお宝が有るかも?って山に付箋を貼ってあるわ!」

魔王の雫を追い掛けるのは、おっちゃん達に任せて、愛菜って言うか、愛果と愛葉の魔力復活を優先させる事にした。

 先生達も解らない現象なので、1人に戻す方法は解らない。2人になってキチンと生きて居られるのは間違い無さそうなので、愛果と愛葉として付き合って行く。


「1個だけ、赤い付箋が有ります!」

魔物の毒で変身した身体を元に戻す滝があるそうだ、ナンパのお兄さん達のことは事前に相談していたので、ちゃんと調べてくれていた。

 愛果と愛葉は念の為少し入院するのでそれまでの間、ひかりさんの所で新作の戦闘服を作って貰う事にした。


「まあ!壮絶な戦いだったのね!」 

ボロボロの戦闘服を見て、ひかりさんが驚いていた。黒い力をメインに、魔力ダメージから身を護るのが主な目的の戦闘服だけど、物理攻撃にもかなりの防御力を発揮する様になっているので、ノーマルな洋服だったら、命に関わるダメージだったかも知れないらしい。

「着ている貴女達の魔力との相乗効果でこれくらいで済んだのかしら?頑丈な鎧くらいの防御力だった筈よ!」

 機能の素晴らしさは見に染みて解るんだけど、今回こそは見掛けも戦闘服って言うか、せめてスカートは避けたいし、フリルとリボンとかも要らないって言おうと思っていたけど、既に試着の段階迄出来上がっていた。今回も高校の制服をアレンジした物みたいで、ブルー系のチェックのプリーツスカートに、白のブラウス、サマーニットのベストと襟元のリボンもブルー。

 歴代の戦闘服の中では1番スカート丈があるけど、やっぱり膝上を測るより、股下を測る方が断然早い感じ。しかも裾から見えるフリフリが今回のデザインの肝との事だと言うけど、これだけで圧倒的に甘口になっている。

「夏らしくしてみたの、冬服は紺系でブレザーを着てね!」

巻いた生地を見せるひかりさんは、目を輝かせていた。

 愛果と愛葉は愛菜のサイズだったので、一着追加で作り始めていた。ボタンとかは(まどか)さんが送ってくれた物を使っていて、魔力のサポートをしてくれるそうだ。一応僕のリクエストを話して見ると、

「それじゃつまらないわね!」

即却下。普通にお洋服として着るなら可愛くて皆んな似合いそうなんだけど、魔窟じゃ悪目立ちだよね。

「風香ちゃんも、あらたちゃんも似合うデザインって難しいのよ!制服って万能なの!」

一瞬、なる程と思ったけど、

「でも、やっぱり、ひかるさんの趣味が影響してるかもです!」

「そうね、1割位かしら?」

「どっちが1割ですか?」

「フフッ、慈子ちゃんの思った通りよ。」

魔力が効率的に働くように工夫されているので、露出が多くても問題無いとは言え、わざわざミニにする事も無いんだから、どう考えても、ひかるさんの趣味だよね!

 愛菜サイズをもう一着作ってくれる為に、もう少し時間が掛かるのでのんびり待つ間、近場の観光をしてリフレッシュ。あらたは初めてだし、ベルは鹿男としては若い頃来たことあるみたいだけど、仕事だけで観光なんかは全然だったそうなので、この前遊んだ所を回る事にした。


 翌日、夕方迄遊んでパダ達の様子を見に行った。満先生が面倒を見てくれていて、名前も日之出風に『うみ』『そら』『りく』と呼ばれ、他の子供達と仲良く出来ているそうだ。

 お見舞いに行くと、愛果と愛葉は毒舌対戦でカリカリ、入院している間、ずっとそうだったそうで、その都度シフォンが調停していたとの事。一触即発の不思議な3人は、なぜか寝る時はわざわざ狭いシングルベッドに一緒らしい。元気を持て余している様なので、明日退院する事になったみたい。僕らが帰るって言ったら、

「ニセモノとお喋りなんか不毛ですから、早寝する事にしますわ!」

そう言いながら、愛果は枕を持って、愛葉のベッドに移動していた。


 退院の朝、診察を終えて病室に戻った2人に、オソロのお洋服とシュシュをプレゼント。早速着替えると、

「髪伸びたわね、これ如何かしら?」

風香は銀髪ロングになった2人を、左右のサイドテールに結って、鏡を見せると、

「「真贋の区別が付いていいわね!」」

また、ハモっていた。切断された事の後遺症なのか、ヒールや回復剤の副作用か解らないけど、ウエーブの掛かった銀髪は、シフォンが人型の時に良く似ていた。シフォンは風香にツインテールをおねだりして、2人の間で手を繋いで、ご満悦な様子だった。

 リハビリがてら、公園をお散歩したり、お茶したりして1日を過ごした。


「あっ、仔犬(おおかみ)、倉庫に預けたまんまだね!明日出発の時間、倉庫開いて無いから、今日の内に引き取らないと!」

 入国審査で引っ掛かるとマズイと思って、若返りの薬で小さくして、犬と区別が付かない様にして審査を受けたけど、魔物は持ち込めないと没取、執事さんを始めクルーザーの乗組員は入国拒否。蛍先生の口利きで、仔犬達は貰い受ける事が出来たので、手続きをしてそのまま預かっている。急いで港に行こうとしたけど馬車が無い。歩いても行けない距離じゃ無いけど、檻に入れたまま運ばなきゃならないので困っていたら、

「自分、魔動車の講習受けて来たから、荷台付きを借りて運んでくる。」

今朝から別行動だった(どれみ)が戻り、魔動車を借りに行って、プランタンも一緒に檻を引き取りに行ってくれた。運んだ檻を宿の裏庭に置かせて貰って晩ごはん。預けている間から猫用のご飯をあげている。すっかり消費されなくなった物の在庫整理だけど、機嫌良く食べているみたいだった。

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