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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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魔窟制覇

 12階層から、少しずつ強力な魔物になっていき、ガイドマップでは30階層が最下層の筈なんだけど、20階層で行き止まりになってしまった。分岐が無かったか11階層迄戻ったけど、ガイドマップ通りに潜っていたようだった。改めて20階層に降りて、プランタンを頼った。ひと回りして怪しい場所を見つけ、日光の鞘で突くと下層への縦穴が現れた。ほぼ垂直な壁を伝って降りると、21階層は黒い力が充満していた。

「じゃあ早速浄化するね!」

かなり濃い目だったけど、すんなり浄化完了、薄明るくなったフロアは迷路タイプで、ガイドマップとは全く違った。因みに、20階層の降り口も真っ赤な嘘。

 フロアを隈なく回ってから、下への反応が解るのでちょっと面倒だけど、デカイ魔物は居ないので、危険は少ないかな?24階層迄、同じパターンで降りられた。

 25階層は大広間に、巨大な魔物。以前対応した岩みたいなヤツかと思ったら、土なのかな?泥なのかな?ノソノソ動いて、重さだけが取り柄の攻撃は、岩と同じなんだけど、壊しても壊しても、再生するのが面倒だ。

「お主の出番じゃ、登鯉で斬り刻むんじゃ!」

あらたは、土の魔物の両腕を切り落とした。今度は再生する事無く落ちた腕は土になり、更に片足を膝の辺りで斬ると、バランスが取れずに転倒。一旦土の塊になると、一回り小さくなって立ち上がった。更に斬って土になる分が増えると胸の位置に魔石が見えた。

「交代するわ!」

愛菜が飛び出して赤く光った東雲で胸を斬ると、結界で護られていた魔石が飛び出した。シフォンが絶妙なタイミングで魔石をキャッチ、咥えたまま僕の所に運んでくれた。シフォンの口の周りと魔石を浄化して、一件落着。

 主役をプランタンに交代した。サクっと見つけ、26階層に降りる。やはり黒い力が満ちていて、浄化すると最下層の雰囲気。待っていたお宝は、扇子だった。虫メガネで、、、いや、何となく『扇子』としか見えない気がしたので取り敢えず、ポーチにしまっておく。ちょっと早いけど晩ごはんにして、このままここでお泊まりにしようかな?相談しようとしたら、もう食事の支度とテントの準備が始まっていた。

「11階層に保護した奴ら、大丈夫かな?」

ちょっと心配だけど、

「初心者では無さそうですから気になさらずに!世話を焼くと野良猫みたいに付き纏われましてよ!」

愛菜はシフォンに聞こえる様に悪態をつく。シフォンは気にする事も無く、ご飯を催促していた。

「10階層で引き返す予定なら、ご飯の用意していたのかな?」

やっぱり心配だな。

「食料ならば、幾らか置いて来たから大丈夫じゃろう。」

 あと大丈夫だとは思うけど、結界から出るのはカンタンでも、一度出たら二度と入れないんだよね、出ちゃったらあそこの魔物には敵わないよね?心配しても仕方が無いか。うん、気にしない、気にしない。


「せや、もうチョイや!」

あらたが音頭をとって何か組み立てていた。風香のジョークかと思っていたら、ナント実現したみたい!ドラム缶を浴槽にした五右衛門風呂を携帯していた。まさか魔窟の最下層でお風呂に入れると思っていなかったよね!ちょっと狭いけどしっかりリフレッシュ出来た。

 ご飯を食べて、寝袋に包まった。魔窟はお日様と縁がないから何時か解らないので、早寝かどうか微妙だけど、きっと早寝。明日も早起きだろうから丁度いいよね。


 翌朝、うん、多分朝。多分早起きして地上に向かった。ガンガン魔物を狩って11階層に到達、結界の洞穴を見に行くと、お兄さん達が震えていた。ゲートを出られるか調べると、まあ大丈夫っぽいのでライセンスプレートをかざしてゲートを開けた。バタバタと共連れで通過しようとしたけれど、お兄さん達はゲートに拒まれていた。僕らは出入り自由なので、もう一度ゲートを通って、お兄さん達を洞穴に匿った。

「地上の係の人に伝えておきますね!」

助けて貰えるだろうけど、勝手に入って叱られるんだろうね。


 地上の事務所に20階層からのガイドマップがデタラメだった事、26階層が最下層でお宝が扇子だった事、それからお兄さん達の事も報告した。係のオバサンが不機嫌そうに、

「そこのレスキュー申請書に記入して罰金も合わせて金貨5枚だよ。」

姉貴はキレて、

「別にアタシ達の知り合いでも何でも無いの。11階層で野垂れ死にしても痛くも痒くも無いのよね、教えて貰って有り難いと思わないの?」

差し出された書類をボッと燃やして事務所を出た。

「一応、人命が関わってるんだ、チンタラ手続きしてるヒマあるのか?」

(どれみ)のセリフでオバサンは急に訳の解らない言い訳を始めてアタフタしていた。

「レスキューの依頼なら、金貨10で受けたるで!前金やで!」

上司らしいオジサンが走って来た。

「スミマセン、ゲートの向こう任せられる人がいないんで、レスキュー引き受けて頂けませんか?10で結構ですから!」

「では、お引受け致しますわ、ゲートの鍵はどうしましょう?」

「どうって?」

「鍵を借りて行くのか、強行突破するのかの選択ですわ。」

オジサンは慌てて鍵を用意していた。

「5階層もフリーですわね?」

「あっ、ハイ、勿論!こっちが5階層、こっちが10階層です!それと報酬の金貨10枚です。」

 サクサク降りて11階層、洞穴の前で結界を破ろうとしている熊の魔物をサクっと倒して、サッサと連れ戻った。

 お兄さん達は、レスキュー費用と罰金で1人金貨5枚支払い、ライセンスプレートを没収、しっかりお説教されていた。事務所はちゃっかり黒字なんだね。まあ、職員さんも迷惑掛けられたんだもんね。

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