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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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南国の魔窟

 わざわざ言うのが無駄に思えるけど、今日も早起き。朝日と共に目覚め、夜のうちに用意していた朝ごはん。まだ誰も居ない魔窟に挑む。

 小さい魔窟なので、午前中には片付けるつもり。5階層迄は、日光・月光を使った魔力刃の練習。威力のコントロールも上手くなって、楽々クリア。6階層では結界を試してみた。それ程の魔物じゃ無かったので、結界の強さを試したりは出来なかったけど、まあ、実用に足りそうだ。ついでに結界の中から魔力弾を撃って見たら、しっかり効果有り!ガンガン倒して12階層。ここもカンタンそうだったけど、他の皆んなが欲求不満だと、総出で攻めて秒殺。昇りもあっさり済ませ、お昼には地上に戻っていた。

 残るは南国最後、いや大陸最後の魔窟。情報では最下層迄攻略済みなんだけど、最下層とされている所の雰囲気がイマイチそれっぽく無いので、まだ下層が有りそうで、ちょっと期待。今日はその近くの、最南端温泉にお泊まり。夕方には着きそうだな。狩りもしなくてもいいし、盗賊さえ出なければ、ちょっとした観光気分。

 早目に宿に着くと、南の国らしい熱帯植物が生い茂り、トロピカルな小鳥が囀っていた。宿はコテージタイプで、ごはんはキッチンも使えるけど、いつものテント泊と違った方がいいので、運んで貰う事にした。

「水着のレンタルも有りますよ!」

宿のお姉さんが教えてくれた。ここの温泉は、温度が低いので、お風呂は沸かしているそうなんだけど、源泉掛け流しの温水プールがウリらしい。姉貴がノリノリで皆んなを引き連れて水着を見に行った。

 プールでプカプカ遊びながら水魔法の練習。水道の蛇口を捻る要領で割と上手くコントロール出来た。

 (どれみ)とあらたはガチで泳いでいた。風香は、合う水着が無くて、何とかムリヤリ着ていたのでちょっと、ぎこち無く浮かんでいた。猫達は、お昼寝がいいとコテージに残り、カトリーヌだけ一緒に泳ぎに来ている。

 僕等のはしゃいだ声に釣られたのか、ナンパのお兄さんが繰り出して来た。風香はそっと結界で隠れてコテージに帰った。下は大丈夫だけど上はちょっと溢れ過ぎていたからね。ベルも付いて行っちゃった。

「一緒に泳ぎましょ!」

お兄さんの誘いに音は、

「受けて立つわ!」

競泳対決になっていた。いきなり全力で泳いだお兄さんは、足を吊ったようでリタイアして苦しそうにしていた。

 僕等の方に来た人達は愛菜にシャットアウトされ、姉貴にあしらわれて、すごすごと退散していた。面倒な事にならない内に撤退、お部屋で寛ぐ事にした。

 ごはん迄少し時間があるので、温泉に行こうとすると風香は、

「覗き対策ザルよ、お部屋のシャワーがいいわよ。」

クタクタになるまで泳いだ音とあらたもも戻り、

「もう腹いっぱい泳いだ!ウチもシャワーやな。」

結局皆んなシャワーで済ませた。

 ご馳走が運ばれると、猫達は人型で起きていて、テーブルを囲んだ。海の幸とフルーツがメインで果汁入りの甘いお酒が凄く飲みやすくて、ちょっと飲み過ぎたみたい。いい気持ちでベッドに潜り込んだ。


 翌朝、朝風呂ならぬ朝プールしてから朝ごはん。朝は食堂でバイキング。幸い面倒なナンパのお兄さんは居なかったので、

「落ち着いて食べられて良かったです!」

なぜか風香が意味深に微笑んだ。

 しっかり食べて、コテージに戻ると裏の小窓の所にナンパのお兄さん達が固まっていた。

「一晩立ちっぱなしって、疲れるでしょ?」

風香の覗き対策トラップだった様で、パチンと指を鳴らすと、お兄さん達はヘタリ込んでいた。這う様にして逃げて行った。


 明日の宿泊予約をして魔窟に向かった。今夜は魔窟でテント泊になる筈なので、明日はここでリフレッシュするつもり。

 何事もなく魔窟に到着。入口には、食堂やお土産屋さん、武器や防具のお店が並んで、すっかり観光地になっていた。管理事務所で、深層に潜る手続きをしなければ、10階層迄しか潜れないので、受付が始まる迄並ぶ事になった。時間より遅くになって受付が始まり、ちんたらちんたら事務処理。別に急いで潜りたい訳じゃ無いけど、かなりイラ付いた。

 気を取り直して魔窟攻略。5階層迄は観光客向けに整備されていて、魔物も安全な物を放している位なので、ガンガンスルー。6階層からはCランク以上の人がいなければ潜れないので、大半はここで折り返す。ライセンスプレートを見せるゲートが有るんだけど、係員が居なかった。しばらく待っていると、受付に列が出来て、1時間も待たされたかな?やっと来た係員は、地上で手続きをしたおばさんだった。さっきライセンスプレートを見せて手続きしたのに、また見せて、名前と生年月日を言って本人確認。やっと通過して、サクサク魔物を狩って行く。7階層に降りると、

「待って!チカコちゃん!」

聞き慣れない男性の声が僕を呼び止めた。振り返ると、宿にいたナンパのお兄さん達だった。さっきの本人確認で名前を聞いて覚えたみたい。

「女の子だけなんて危ないから、俺達が先頭に立つよ!」

面倒だけど、断るのは更に面倒なので、勝手に先を歩かせた。まだ練習になりそうな魔物も出ていないので、まあラクさせて貰いましょう。

 11階層からは、登録が必要なので、お兄さん達とはお別れ。地上の事務所で貰ったプレートをかざして、ゲートを開くと、ここでサヨナラ出来る筈だったお兄さん達が勝手に付いてきた。

「どこまで潜るつもり?」

「最下層以外の目的地って存在しますの?」

「アイナちゃん、強気だね!」

肩を抱こうとしたお兄さんは感電して泡を吹いていた。仲間にヒールしてもらうと、

「益々強気だね!まあ、先頭は任せて!」

さっさと先に進むと、10階層とは段違いに強力な魔物が現れた。多分手に負えないだろうな。3人は勢いで斬りかかった。熊の魔物は、お兄さん達を蹴散らし、僕等の所に突進して来た。僕の結界を試すチャンス。体当たりの魔物は、脳震盪かな?結界に貼り付いたまま意識が無いみたい。結界を張ったまま内側から魔力弾でトドメを刺した。

 風香は、お兄さん達を死なない程度迄ヒールして、地上に帰る事を勧めた、流石に、無理と悟った様で言うとおりに上へ行こうとしたけれど、ゲートを通過出来ない。仕方が無いので、小さな洞窟っぽい窪みに押し込んで結果で蓋をしておいた。

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