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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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浴衣とセーラー服

 さて、出発の朝。

 早起き、朝湯、朝ごはん。いつものルーティーンで準備万端。おっちゃん達は計算通りに変身して、耐魔作業服がピッタリになっていた。

 前回は海岸線へ降りて港町を辿って魔窟を攻略したけど、そのまま南下すると、直ぐに国境の川に突き当たる。関所の集落でランチ。僕らしか居ないのに結構待たされて入国の手続き。東西北の三国はライセンスプレートでほぼスルーだったのと比べると凄く厳重に感じられた。2時間程で通過、次の集落で夕方かな?ってペースだろうな。

 集落に付いて宿を取ると、姉貴は弥生さん、円さんを誘って買い物に出掛けた。戻ってくると、弥生さんと円さんは南国風の浴衣に着替え、師匠とおっちゃん達の分も仕入れて来たみたい。お風呂に入って、僕らも着替えた。食堂に集まって、

「これカワイイんだけど、落ち着かないよね?」

「普段のミニと変わらへんやろ?」

「自分は帯で引き締まった気分です。」

「私も気に入ってましてよ!慈子はここが邪魔なのでは?」

遠慮無しに僕の膨らみを揉んで、

「あら下着は?」

「南国では着けないんじゃないの?」

「アレは看守がヘンタイだからやろ?落ち着かへんって、もしかして?」

「あっ、ぼ、僕ちょっと、お部屋行ってきます!」

皆んな、いや女性陣は大笑い、おっちゃんたちは、どう反応すればいいのか困った様子だった。

 着けるモノを着けて食堂に戻った。胡座をかいているおっちゃん達は絶対に視界に入れたく無いと思っていたけど、男性はハーフパンツみたいのが付いた甚平ってやつなので、胡座でも心配要らなかったようだ。その話しをすると、今度はおっちゃん達も一緒に大笑い。南国風のご馳走を味わった。

「よし、風呂入って寝るか!」

おっちゃんの号令で男性陣が席を立った。

「ローズちゃん、ひげ剃りに使うでしょ?」

姉貴はバラさんに手鏡を渡した。

 今夜は大部屋2つしか空いて無かったので、男子部屋、女子部屋になって、弥生さんも僕らと一緒。

「ダーリンと離れ離れで寂しいわね!」

姉貴に冷やかされて、もじもじする姿はとても可愛く思えた。

 しばらくすると、甚平を着た姉貴(・・)が手鏡を持って現れた。

「悪戯が過ぎますよ!戻り方を教えて下さいね!」

バラさんはいつものジェントリーな口調だったけど、あきらかに目付きが違っていた。まあ姉貴の顔だから違っていて当然なんだけどね。僕が説明すると、

「じゃあ、風呂上がりに戻って返しに来ますね!ラッシーさんもナベも中身が僕なら落ち着いて目の保養できるでしょうからね!」

姉貴をチラっと見た。

「別に、この前、酔っ払って一緒にお風呂入ったし、アタシが見られてる訳でも無いから、恥ずかしくもなんとも無いわ!」

姉貴は、平静を装ったけど、あきらかに棒読みだった。

「あっ、ヤッパリこのままじゃ、ひげ剃りが出来ないんで、戻りますね。」

バラさんは、黒い面を覗いて、いつものバラさんに戻り、手鏡を返してくれた。


「おはようさん!ホンモノのエリカだな?」

朝湯のあと、食堂でご飯を食べていると、おっちゃん達がやって来た。

「昨夜はニセモノで色々楽しませてもらったからな!一応礼を言っとこうと思ってな!」

おっちゃんは嬉しそうに、姉貴に絡んだ。

「あのボリューム、あの感触、堪んなかったな!」

ナベさんも続いた。流石の姉貴も赤面すると、

「冗談だよ、冗談!たとえ俺らが触りたいって言ったとしても、ローズが許す訳無いだろ?」

おっちゃんは嬉しそうに笑った。バラさんは冷静に、

「僕は色々触りましたよ、濡れたまま風呂場から出る訳には行きませんからね。」

「ゴメンゴメン、悪戯はほどほどにするから、もう勘弁してよ!」

姉貴の白旗で一件落着みたい。ただ悪戯しない(・・・)じゃ無くて、ほどほど(・・・・)って言うのが姉貴らしいな。って言うか、それでオーケーなのがおっちゃん達らしいよね。


 今日は魔窟のある都迄の移動。今回の移動は馬車3台連ねているのと、おっちゃんの馬車が協会のモノなので、盗賊の類いは近寄りもしなかった。邪魔が入らない順調な旅で目的地に到着。封印した魔王を消滅させる為に必要な物を買い揃え、警邏隊に入窟の申請と、他の人の立入禁止をお願いしてきた。前回、ひと悶着あったので、しっかり覚えてくれていて、すんなり手続きが済んだ。警邏隊長と手練が2人付いて来るのと、結界を維持している教会の人達も同行するそうだ。打ち合わせをして、明日の朝8時から潜る事になった。

 今夜の宿は、4人部屋1つとシングルが5室。おっちゃんたちが4人部屋を使って、あとはシングルに二人ずつ。寝袋や車中泊て慣れてるのでそんなに苦にならなかった。僕は円さんと一緒で、母さんの子供の頃のお話しを聞かせてもらって、とても幸せな夢を見ていた様だった。


 さて、出陣の朝。昨夜姉貴から渡されていた、新作の戦闘服に身を包んで食堂に集合。師匠を含め男性陣は作業服、弥生さんと円さんは、紺のタイトスカートに白のブラウス。普段は身体のラインが目立たないスタイルなので気が付かなかったけど、二人とも結構なメリハリボディで、師匠はポーッと見とれていた。僕らの新作は、日之出国の女学生の制服がモデルのセーラー服。大陸では、小学校6年と中学校3年で9年間学校に通うんだけど、日之出国では高校ってあと3年通うのが普通らしい。丁度、僕らの年代で蛍先生の母校の制服との事。紺のプリーツ白の長袖、袖がふわっとして、紺の袖口で締まっている、背中に垂れる様な大きな衿も紺色で白のラインか2本、V字に空いた胸元には赤いスカーフを合わせていた。身だしなみを整え、魔窟入口に向かった。

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