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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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逮捕

「もしかして、慈子の刀って南国のお宝じゃないかな?」

トンネルを通って(どれみ)が呟いて、プランタンと入口を探し始めた。

「円さん、それがオリジナルって言ってたでしょ?今まではレプリカだったから反応無しだったんじゃない?」

プランタンは、直ぐに怪しいポイントを抑え、試しに鞘のまま突いてみたけど反応無し。

「違うのかな?」

皆んなに、通路を開く感覚を聞いてみたけどそれぞれバラバラで参考にならなかった。ただ、プランタンはこの捜索で間違った事無いんだよね。剣の柄で叩いて見ると、あっさり開けてしまった。皆んなで通過して、音が北への帰り道を確保、プランタンは東と西の入口も見つけ、彩菜と風香が道を開いた。

「さて、どっちに行く?」

姉貴は下に行きたいオーラを出していた。

「最下層にはおっちゃんに言ってからにして、今日は20階層迄にしようよ!お宝頂いて一旦地上に行って南国か確かめたいです!」

皆んな納得して下を選んだ。

 ずっと魔物も出ず黒い力も無く、ラクラク19階層。今日の目標、20階層にはすんなり降りられたけど!そこは黒い力がギッシリ詰まったかのような黒さだった。手探りで歩くと、ドスンと落とし穴。ふわふわの地面で怪我の心配は無いんだけど、上下への階段があって、お宝が有りそうな20階層に行けるのかと思ったけど、なぜか19階層に戻ってしまった。20階層に降りて落とし穴、階段を昇ると15階層だったり17階層だったりを繰り返した。20階層に降りてウロウロせずに浄化してみる。通過する度に浄化してはいたけど、濃厚な黒い力はなかなか手強くて薄まったイメージはほとんど無い。魔晶石でダウンした時に近いダメージで周りが薄ぼんやりしたところで休憩。一旦19階層に上がり、モルミ薬を飲んでヒールを掛けて貰った。4回繰り返して、やっと皆んなの魔法が使えるまで浄化が進み、姉貴の結界の中での作業になって、かなりダメージが軽くなったのと、風香がずっとヒールしてくれるので、浄化がどんどん進んだ。他の皆んなは魔力を東雲に集め、白い霧をパワーアップした白い放水で手伝ってくれた。薄明るくなって来ると様子が解ってきた。黒い力の濃さは、ステージみたいな所、他の魔窟ではお宝の置いてあった所から染み出して、濃さをキープしていたみたい。ステージ上の台は黒い力が染み込んだ感じの真っ黒でその上に乗っていたのは、刀の鞘。日光・月光のものだろうね。円さんが持っていた日光・月光のオリジナルみたいに化石のようになっていた。

 レプリカの頃から使っている鞘を化石の鞘に乗せると、周りに残っていた黒い力をギュッっと吸収して真っ黒になって砕けた。黒い力破片を浄化しながら払うと、薄っすら金色に光る鞘が現れた。それを手に取ると、乗っていた台がガラガラと崩れ、巨大な魔晶石になった。サイズ的に、浄化しきれるとは思えないので、耐魔繊維を重ねて作ったバッグに入れて持ち帰る。余程強力なようで、バッグからも、黒い力が漏れていたので、その分を浄化しながら、地上を目指した。

 降りて来たときは平和だったけど、昇りは各階層に魔物が出て、結構な魔石や、アイテムを拾った。9階層に付くと、

「西と東のトンネル、完成させたらどうじゃ?向こうから鞘で突いて、鞘の力を試すのも良かろう。」

なるほど、ベルの提案でトンネルを潜り、東で日光の鞘、西で月光の鞘を試して、どちらも成功した。西から南に潜って全ての往復を潜ると、北への入口を残してガラガラと崩れ、もとの岩肌になってしまった。残った入口を潜ると、北の9階層ではなく、こじんまりしたスペースで入口があと3つ。調べて見ると、それぞれの東西南北の魔窟に繋がっていた。

「もしかして、僕らの専用スペース?」

「専用かわからへんけどな、朝から飲まず食わずなんは間違い無いで!」

かなり遅いランチにして一休み。元気になった所で、魔晶石の浄化。リミットギリギリかな?具合いが悪くならないうちに中断して、バッグに仕舞った。今度は黒い力が滲み出る事は無かったので、浄化が進行しているのは間違いないみたい。

 一気に地上まで登った。素振りと変わらない位でバタバタと魔物を切り伏せ、まだ日の高い、南国の空を仰いだ。

「警邏隊です!両手を上げて下さい!指示に従えば危害は加えません!」

えっ?犯罪者扱い?それにヤツ等ホンモノ?

「おとなしく聞いておくのよ!抵抗しなければ、最悪でも身元引受人を立てれば解決するわ。」

姉貴が落ち着いているので、手錠を受けて、警邏署に連行された。魔窟に似合わないメイド服で不審者扱い?牢に入れられ鉄格子越しに取調べを受けた。ライセンスプレートで身元照会、無罪放免かと思ったら、密入国の罪で逮捕。持ち物も着ていた物も没収され、白いミニ丈の浴衣って言うか、道着の上だけみたいな服と黒い帯だけに着替えさせられた下着も無くて落ち着かない。

 牢は大部屋で、男女の別は無かったので、男性も捕まっていて、着る物も同じで、前をわざとに開けて固くなった物を見せながら寄ってきた。

「1人金貨3枚で独房に移れますけどどうします?俺達の休憩室でもいいですよ!」

看守のオッサンが、ズルい顔で格子から姉貴の顎を触った。ぱっと払うと、

「あら、この部屋、快適よ!」

ウインクすると、僕らにちょっかい出そうとしていた囚人達が格子に貼り付いて、看守を抱き締めて濃厚なキスをしていた。

 しばらくすると、おじさん?おじいさん?計3人が駆け付け、警邏隊長がガチガチになって付いていた。

「あらた、なんか?」

「じいちゃん、ウチや、あらたや!」

10年振り位の再会らしい。

「大っきいなったな。」

「せやろ、ここは、まんまやけどな。」

次のおじさんに姉貴は、

「看守に看守付けなきゃ駄目ね!」

ヘヤピンでガチャリと鍵を開けると、さっきのエロ看守に鍵に使ったヘヤピンを伸ばし、言う事を聞きたくなる針金にして彼のモノに巻きつけた。姉貴はパチンと指を鳴らすと、エロ看守はのたうち回り、囚人からのワイロや女囚人への暴行やセクハラを白状していた。

 3人目のおじいさんは、

「博士、在りし日のお姉さまに瓜二つですね!」

ベルの、って言うか、鹿男博士の後輩との事。

 領主の顧問、警邏庁の長官、警邏学校の名誉教授が揃うと、

「お三方の1人でも頭が上がらないのに、穴を掘って入りたいくらいです!」

警邏隊長は、部下の不始末を詫びて、入国の手続きをしてくれた。因みに、長官は姉貴の拷問で、恵比寿隊長だと確信したそうだ。

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