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お弁当とアイスのことを考えると涙が止まらないが、それを嘆いて泣いてばかりもいられない。



前世のことを思い出して整理できたが、今の現状についてはまだまだ把握できていないからだ。



死んだ後なぜ、ゲームの世界に転生しているかは記憶にない為分からない。


むしろ転生なのだろうか?


意識だけ入ったとかも考えられる。



(でも今の体で育った記憶もあるってことは、転生の方よね?)



そうなのだ。

13歳までこの体で成長した記憶が私にはある。



転生でなく憑依なら記憶はないはずなので、間違いないだろう。



だが、なぜゲームの世界なのか。



(それもよりにもよってこの乙女ゲームへ転生とか、大好きな作品だけど、いざこの世界で生きるとなると私には厳しすぎる)



このゲームはオメガバースという性別とは別の性が存在する少し変わった乙女ゲームなのだ。

オメガバースはもともと男性同士の恋愛で使われていた設定だった。

だが男性と女性での恋愛でも使用されることもあり、今では人気の設定となっている。



この乙女ゲームのヒロインはΩなのである。

伯爵令嬢である主人公が、狙われることの多いΩであることを隠してβとして学園へ入学するところからゲームはスタートする。


そこで、攻略対象であるα男性達と恋愛していくオメガバース設定以外は王道の乙女ゲームだ。


王道だが、美麗なスチル、個性豊かながら魅力的な登場人物達、そしてエンディングはどれも素敵だ。

王道のハッピーエンドから、切ないながらも心を掴まれるバッドエンド。

どちらもプレイして一喜一憂した女性は私を含め多い。


特に第ニ王子のハッピーエンドとバッドエンド両方をプレイした後に攻略可能になる王太子ルート、これがすごく人気だった。



まず王太子だがパッケージの真ん中に表示されているメインヒーローなのだ。



私もこの王太子の見た目が大好きでこのゲームを購入した1人である。


なのにすぐに攻略できない。



購入後に気づいたプレイヤーはみんな叫び、ネットに怒りを書き込んだものだ。



だがプレイして気づく。



あ、これ納得だと。



第二王子を攻略したからこそ王太子のルートでこんなにも感動できるとはなんたる神業!


プレイ後は、怒っていたプレイヤーもみんな揃って神ゲーだと讃えたものだ。



愛が強すぎて、語りすぎてしまったが、私はその大好きな乙女ゲームへと転生したことを喜べない理由が2つある。


まず1つ目は、世界観だ。

オメガバース設定はマンガやゲームなら非常に面白く、キュンとする。

だが実際に薬で抑えることができるとはいえ発情期があり、その身を狙われる世界など危険この上ない。


そして2つ目、こちらが本命だが、それは私の転生したこの体にある。

私は王太子の婚約者、公爵令嬢のクリスティーナ=テンペストへと転生したのだ!

推しキャラの婚約者とか美味しいと思うだろうが、ところがどっこい!

この令嬢だがβとして暮らしているが、実は隠れΩで、王太子が好きすぎて、王太子と番になれるようあの手この手でせまり、バッドエンドでは計画が成功して王太子の番となることができる。

王太子も責任をとって正妃にはするものの相手にはせず、孤独な人生を歩むのだ。


ちなみにハッピーエンドはもっと酷い。


ヒロインに嫉妬した公爵令嬢はヒロインがΩであることを知り、ヒロインを内密に他国へ売ろうと企てる。

だがその計画に気づいた王太子に逆に公爵令嬢が他国へ売られ、子供を産む道具としてその一生を終えるのだ。



(最悪だ!王太子とは結ばれても結ばれないか、一生閉じ込められて子供を産むだけなんて耐えられない!)


そんな辛い人生でなくもっと平凡で幸せな人生を歩むことを心に決めてお医者様の到着を知らせるマリーに入室の許可をだすのであった。



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