婚約破棄されましたけど、だから何ですの?
リベンジとして書き直しました。
宜しくお願いします!
「私との婚約を破棄してほしい。」
声高々に言われた言葉に広間にいた貴族達はざわめいた。
ざわめくのは当たり前だろう。
王太子が自身の婚約者、つまりマリエッタ=セルベルストに婚約破棄を言い渡したのだから。
私の返事も決まっている。
「勿論ですわ。」
この一択しか私にはない。
この返答に更にざわつく貴族達。
王太子も驚いたようだ。
「な、何か企んでおる訳ではなかろうな!」
王太子の後ろに怯えたようにいる子爵令嬢もかすかに頷いている。
これだから顔だけ良くて阿呆な皇太子は……。
「何も企んでおりませんわ。わたしくしは只、貴方様が仰ったことに対して返答をしたまでです。婚約破棄の件、受けさせていただきますわ。」
「何だその上から目線は! そもそもこの婚約破棄は貴様がランティール嬢に仕出かしたことが原因だぞ!!」
何ですかその仕出かしたこととは。
「言い掛かりも甚だしいですわ! 私がそんな子に何を仕出かしたというのです?」
「わっ、私、マリエッタ様に、ドレスをよ、汚されたり、階段から突き落とされそうになりましたわ! それに根も葉もない噂を流されたり。」
何言ってるのかしらこの子は。
「ほらっ、ランティール嬢がこう言っているのだ! 証拠として各令嬢にも言質を取っている!」
この人も何を言っているのでしょうか。
「なら、その方たちに証言させてくださいな。」
「いいだろう。証言しろ!」
貴族がいる広間に目を向ける。
何人かの令嬢がおずおずと前に出てきて涙ながらに口々に言っていく。
「わ、私、マリエッタ様に言われて彼女の服をよ、汚しましたわ! でも、マリエッタ様の為にやりましたのよっ!」
何処かの令嬢がのべる。
「わ、私は、物を壊せと、「私は、服を破けと「私は「私は」」
次々と令嬢が述べていく。
「これで分かっただろう! 貴様の罪がっ」
高々に王太子が叫ぶ。
アホらしい茶番だこと。
「わたくし、今述べた令嬢方に聞きたいのですが。貴方方誰です? 本当に私に言われてやったのですか? 私は指示していませんのに。言っておきますが侯爵令嬢たる私に嘘をついた場合それなりの罪がありましてよ。」
その言葉に引き攣った顔をして、それでも言葉を発する令嬢達。
「で、でも私は、マリエッタ様を思って!」
「私も! ランティール様は人様の婚約者にひっつくような子ですわ! マリエッタ様も嫌悪感を出した顔で見ていらしたでしょう?」
「だから、私達、いても立ってもいられずマリエッタ様に喜んでいただこうと。」
「か、彼女達もこう言ってますのに、ま、まだ罪を認めて下さらないのですか?!」
震える声でさも自分が被害者だと思っているランティール嬢に私は微笑みを返す。
「何故ですの? わたくしに罪など1つもありませんのに? 貴方方勘違いしているのではなくて?」
「この後に及んでまだそんな口を叩くというのか!!!」
何て愚かな王太子でしょう。
言葉の裏も読めない愚かな皇太子……。
「はぁ、いいですわ。説明して差し上げます。この場にいる貴族の皆さんによく聞いて頂きたいですわ。まず、第一にわたくしがランティール嬢を虐めたと言われた件ですが、証言を聞く限りわたくしがやった訳ではありません。意味を履き違えないで頂きたい。彼女達は私が指示したと言ったあとこう言いました「マリエッタ様のため、マリエッタ様に喜んで頂こうと」と、それはわたくしが指示したものでして? 私に喜んでほしくて、媚を売ろうと勝手になさったことでしょう? 私は彼女達と話した事も無いのに。勝手にやった事に対しどうして私が責任を取らなきゃならないのです? まさか、自分がやった事を私に擦り付けて自分は何もしてないとでも言うおつもり?」
ひと呼吸おいて辺りを見渡す。
広間にいた貴族達は数分前の彼女達の発言を思い出し、納得したように頷いている。
彼女達は顔を真っ青にしている。
「そ、それでも! 私の根も葉もない噂を流していたのはマリエッタ様ではないですか!」
根も葉もない噂?
「噂? 何ですのそれは? 私がした発言は、「人の婚約者に最近近寄っている方がいますのね。」と、「婚約者を放っておいて違う女と遊ぶとはどの様な理由があっての事でしょう。」だけですわよ。噂とは尾ひれが付くものですし、そもそも私と言う婚約者がいるのを知っていながら近付き、二人きりでお茶をしたり出掛けたりするのは不貞を疑われてもしょうがないのでは無くて? 王太子様も婚約者を放って他の方をエスコートなさるのは私の家に喧嘩を売ってるとこちらは認識しますわ。婚約者をいきなり取られたのは私なのにどうして被害者面しますの?」
「で、でも、マリエッタ様は未来の妃になりたいが為に私が邪魔だったのでしょう?!」
あぁ、何処までこの子は妄想するのだろう。
はぁ、この事は内緒だったのですが、仕方ないですね。
「ランティール嬢、貴方、自分にそんな価値が本当にあるとお思いで?貴方が邪魔になるほど貴方が私に勝ってるところなどどこにありますの? そもそも、この婚約は王家の方からの申し出ですわ。私自身は学生過程を終えたら隣国へ留学を希望しておりましたの。しかし、私の家の力を王家に取り入れたいばかりに現国王様の方から申し出がありましたのよ。お父様は渋りましたけど王家からの申し出を蔑ろにできて? だから私も興味のない王妃教育を受けて、留学を諦めたのに。そんな私がどうして貴方の邪魔をすると?」
こんな婚約望んでいなかったと言ってやりましたわ。
私の言葉にざわつく会場と、口汚い言葉でまだ言いがかりを付けてくる王太子。
これ以上言っても埒が明かないと思っていた頃、丁度席を外していた現国王が血相変えて戻ってきた事により後日、日を改める事となった。
勿論お父様はこの事にお怒りになってしまい、王太子の言った婚約破棄を実現させてくれた。
それに、お父様は諸々のことを調べ上げ徹底的に仕返しをするらしい。
それから、前から希望していた留学も出来ることになり、私は急遽隣国へ行けることとなる。
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数年後、私は隣国の王太子と結婚することとなった。
彼とは恋愛結婚だ。
王太子だと言う事を隠し生活していた彼と数年付き合い、正体を明かされた末、結婚まで至った。
無駄だと思っていた王妃教育も形式は少し違うが役に立った訳で、今では少し愛情の重い王と幸せに暮らしています。
あぁ、元婚約者の方はどうなったかって?
これは噂なのですが、あの後、私に罪を着せようとした令嬢方は家で厳重に監視され、ランティール嬢は売女として貴族間で噂されたそうです。
何故売女と噂されたかと言うと、彼女、王太子に飽き足らず他の方も誑かしてたらしいのです。
その事実を王太子は知りショックを受けている中、国王に降格を命じられ、もともとプライドの高い彼は自信喪失。
それでも、婚約破棄の責任としてランティール嬢と強制的に結婚が行われたそうだ。
その時も地位と名誉を落とした夫を慰める訳ではなくランティール嬢は結婚を拒絶したらしい。
それでも、王命令の結婚が覆ることなく今もランティール嬢は監視をつけられ生活しているそうだ。
まぁ、所詮は噂。
何処までが本当かなんて隣国にいる私には関係ないことだし。
取り敢えず今は夫の重い愛をどうするか、という問題が先ですわ。
ご指摘ありがとうございます!
アホ→阿呆
!と?の後のスペース全角
私も必要のない王妃教育→私も興味のない王妃教育
結婚破棄→婚約破棄
座喚いた→ざわめいた
根もはもない→根も葉もない
調度→丁度
上記、直しました。
まだあったので、再度修正しました。
またありましたら修正します。