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悪夢の園  作者: 龍仁あゆん
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プロローグ

「おまえんちの遊園地、廃園になったんだろ? やっぱり呪いの遊園地だったんだな!」

「違う……呪いの遊園地なんかじゃ……ない。あそこはパパとママとノゾミの夢が詰まった素敵な遊園地なの!」

1年前に父を失った中学1年の裏野ノゾミは、その父が経営していた遊園地『裏野ドリームランド』の廃園を受け、クラスの男子2人から冷たい言葉を浴びせられていた。

「だってさ、”子供がいなくなる”とか変な噂たくさんあんじゃん。他にも夜勝手にアトラクションが動いてるとか。みんな言ってるぜ」

「気味悪いんだよ! 呪いの女!」

「っ……。そんなの知らないよ! 呪いなんてあるわけ無いじゃん!」

そこで、ノゾミの親友マリが男子達とノゾミの間に割って入った。

「あんた達、なんであそこに呪いがあると思ってんの? 実際に呪われたことあるんですかー?」

「おまえは関係ないだろ。俺は今呪い女と話してんだよ」

「関係あるわよ。『裏野ドリームランド』に呪い? 家族の思い出の場所をそんな風に言われてノゾミも傷ついてるじゃん。友達がそんな目に遭ってたらほっておけない」

「はっ、じゃあせいぜいその呪い女と仲良くやってろよ」

マリの登場に男子達はあっさりと帰って行った。

「ありがとマリちゃん……」

「良いの良いの。私にとってもあそこは思い出の場所だから。あんな風に言われたら腹立つじゃん?」

そう言って明るく微笑むマリにつられ、ノゾミも頬を緩めた。

「でも呪いだなんて……ほんと、酷いよね」

腰に手を当てながらマリが言う。

その言葉にノゾミはうなずくことしか出来なかった。代わりに後ろから、同じクラスのスミレコが返事をする。

「呪いなんて非科学的なこと、あるわけありません。ノゾミさん、大丈夫ですか?」

「あ……うん、平気……ありがとう」

良いんです、とスミレコが続ける。

「それに、これはあくまで個人的に、証明できないものをあると盲信する人たちは許せませんから。特にそれをみんなの前で言ったりする人」

少し鋭い口調でそう言って、スミレコは教室の隅の席の目をやった。同じクラスのオカルト大好き女子、ヤヨイがスミレコを睨んでいた。どうやら一部始終を見ていたヤヨイが口を開く。

「スミレコが見えないだけでしょ。自分に何も見えないからって、見える人のこと目の敵にして、気持ち悪っ」

「なっ……!き、気持ち悪いですって!」

顔を真っ赤にするスミレコに、ヤヨイはさらに追い打ちをかける。

「それにスミレコ、証明証明っていつも言うけどさ、逆に”幽霊や呪いが無い”証明は出来てるの?」

「それは、」

スミレコは一瞬何か言いかけて、唇を震わせながら閉口する。

それを見て更にまくし立てようとするヤヨイとスミレコの間に、割って入る女子が1人。

「もおー2人とも喧嘩はやめてよおー」

尾を引く、媚びた話し方が女子から不人気なハルナだった。

「げっ、ハルナ」

露骨に嫌な顔をしたのはヤヨイ。スミレコはハルナの介入によってどうやら落ち着きを取り戻したようだ。

「ありがとうハルナ、もう良いわ。無いものが見えちゃう狂った人と、まともな話し合いが出来るわけ無かったんだわ」

そう言ってスミレコは踵を返し、自席に戻っていった。

あっさりとした幕引きに拍子抜けの様子のハルナ。しかしヤヨイは視線を巡らせ、次の言葉を探していた。

そんなヤヨイを牽制するように睨め付けるマリ。

気がつけばクラス全体の注目がこの5人に集まっていた。ノゾミ、マリ、スミレコ、ヤヨイ、ハルナ――次に話すのは誰なのか、と。

その時、がたん、と音を立ててヤヨイが立ち上がった。

「じゃあさスミレコ!」

普段はあまり表に出ないヤヨイが、クラス中の注目を浴びながら言い放つ。

「呪いや幽霊なんてものがこの世に有るのか無いのか、この目で確かめに行こうよ。『裏野ドリームランド』にさ!」


――これが。この一言が、地獄の始まりだった。いつも通りの学校で起こった少女達の小さな喧嘩。それがまさか、それぞれの人生を大きく狂わせる事態になるとは、この時はまだ誰も気づいていなかった。



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