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プロローグ

「ふうん、随分とデカい掲示板だな」


 中年小太りの男性が、壁一面を覆う木製の掲示板を見て、顎に手を当てる。


「そりゃあ目立ってナンボだからな」


 水谷才蔵は苦笑した。やはりこの世界の住人には理解されにくいものらしい。


「それじゃあ、おやっさん。向こうのカウンターを借りるぜ」


「ああ、精々頑張れよ」


 興味がなさそうに軽く手を振って、おやっさんはその大きな腹を揺らしながらメインカウンターへ戻っていく。


 彼はモリアーノ・ビゴット。宿屋兼酒場『海が恋しいアホウドリ亭』の店主だ。才蔵は親愛を込めておやっさんと呼んでいた。


 彼の経営するこの宿屋は、二階が宿泊施設、一階がまるまる大きな酒場となっている。


 元は商会の施設だったこの建物には、商談用のカウンターやスペースが存在していたが、今日まで活用されていなかった。宿屋には必要の無い設備だったからだ。


 だが、才蔵にとっては違った。


 才蔵は渋るモリアーノのおやっさんを口説き落とし、彼がこれから始める商売の本拠地として借り受けたのだ。


「うん、やっぱりいい。あれぐらい大きくないとな」


 才蔵は専用窓口となった商用カウンターに座ると、そこから掲示板を眺めて頷いた。


 巨大な掲示板の半分は黒板で、もう半分はピンの刺しやすい木材で作られている。


 チョークの代わりになる石を探すのに少々手こずったが、それもなんとか見つかった。


 絵画を飾る額縁の様に、豪奢な枠で象られた掲示板。そのてっぺんには、見事な金文字でこう彫り込まれていた。


 出会い掲示板【ファインド・ラブ】


 異世界出会い掲示板である。



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