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夏の思い出

作者: MSK

夏をテーマにした王道な小説です

夏の思い出


季節は夏。

ギラギラと太陽の日差しが力強く降り注ぐ夏。1週間、猛暑日が続き外に出るのも嫌になるほどだ。だが、そんな夏だからこそ思い出す。あの夏の思い出を。


ちょうど思春期の頃だった。当日はスマートフォンなどの便利なものが生まれて3年ほどの頃、世の中がだんだん便利化してきた頃だった。私は昔から便利なものに頼るのはいいけど、頼りすぎるのはあまり好きではなかった。なので極力自分で無いものは作る、というのが私の心得だった。元々、都会は苦手で田舎の方が好きだった。暑いのは変わりないが、外で思いっきり遊べるし、山を散策したりもできるし、アウトドア派な私にとってはかなりいい環境だった。その頃の日課といえば毎朝、新聞を読んで学校へ行き、仲間と夕暮れまで遊び、学び、帰ってきたら親の手伝いをしたあとに少し勉強して寝る。休みの日には学校へ行かない代わりに、畑仕事をして終わったら、幼くして病死した妹の墓にお花を手向けにいく。なんの変哲もない田舎の人間の暮らし方だ。

ある夏休みのことだ。山に1人で山菜を採りに出かけた。しょっちゅう山の中に潜ったことがあるので、迷うこともないと思っていた。急に雲行きが怪しくなり、ポツポツと降ってきたと思ってたら、急にザーッと雨が降ってきた。

「はぁ……はぁ……。」

遭難するとまずいので、急いで山から出ようと走る。

「はぁ……はぁ……、?……」

だが、正しい道を進んでいる筈なのにどうしてか道は開けない。そして、悪夢は起こった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

足元の土砂が崩れ、そのまま崖下まで転がり落ち、意識を失った。


目を覚ますともう日が暮れていた。体は少々痛むものの大きな傷はなく普通に立って歩けた。

だが周りを見渡しても周りの景色にも自生してる草木にも見覚えがなく、記憶がなくなったかと自分自身を疑いさえした。そもそもこれは夢なんじゃないかとも思った。しかし、記憶がなくなってもなければ、夢でもなく現実だった。よく見ると右脇の方に道らしきモノが見えたので、そちらに進むことにした。

草木をかき分けながら、暗い夜の森を明かりもなく進む。流石に夜の森は怖かった。体がガタガタ震えて、夏なのに寒気もした。

そんな中、恐る恐る進んでいると淡いロウソクの明かりが見えた。私は獣のようにその光に釣られてもがき、走った。

森を抜けた先には、1つの屋台があった。

「すみません。少し迷ってしまって、大きな道に出る未知を知りませんか?」

そう質問すると、おかしな回答が帰ってきた。

「青年よ。なぜここに迷ったかわかるかね?」

「いえ、わかりませんが。とりあえず、戻る道を教えてください!」

「お主は生きるためにここに連れられたのだ、村には戻らない方がいい。」

何を言っているんだこの老人は。

「ですから!村に戻りたいんです!家族が待ってるんです!!」

「お主が何を見ても後悔しないならばついてくるがいい。」

老人は屋台をたたみ、少し身支度をして森のさらに奥へ進んでいく。

「いまは、ついていくしかないか。」

老人のあとを恐る恐るついていった。

不思議と森の中なのに、少し明るかった。きっとホタルの光だと思いその幻想的な光に目を奪われながらも老人についていった。

目線の先に光るところが見えた。何故か眩しいくらいに光が差し込んでくる。

「ここじゃ、はようこい。」

言われるまでもなく、引き寄せられるように光へと向かっていった。

そして驚愕する。目の前には黄金に光り輝く大きな葉桜と木の根元に立てられている3つの墓標。そこには左にお母さん。左にお父さん、そして真ん中には妹、杏奈の墓標があった。

「どうしてこんなところに杏奈の墓標が?それに母さんと父ちゃんのまで…。なんで?」

妹の墓標に触れると声が聞こえた。

「お兄ちゃん。」

「杏奈ッッ!?」

その声は間違いなく杏奈だった。

「驚かないで聴いて欲しいの。」

「今日ね。村の神様が暴走しちゃったの。生贄となる私がいなくなって、それで誰も生贄にならなかったから怒っちゃった。全部、全部、私のせい。」

「だからね?私が大切なお兄ちゃんだけでも生きて欲しいと思ってここに連れてきたの。いきなりでごめんね。」

「お父さんとお母さん、それに村の人達はみーんな死んじゃったけどそれに絶望しないで!必死に逃げて、それで生きて!私はいつもそばにいるから。」

「なにを…言っているんだ…?」

「父ちゃんも母さんも死ぬわけ無いだろ!だいたい神様ってなんだよ!生贄ってなんだよ!」

「ごめんね、お兄ちゃん。もう限界みたい。」

「待てよ杏奈!!いきなりそんなこと言われて信じろっていうのか!そもそもお前は杏奈なのか?どうなんだ!オイ!!」

「お兄ちゃんの気持ちはすごくわかるよ。でも信じて欲しい。じゃあねお兄ちゃん。」

その一言を聞いたあと、急に眠くなりその場に力尽きた。


その後は村はずれの病院で目覚めた。

村は草木が1つも残らず焼け野原になっていた。あの出来事が本当か嘘かわからないが、私はこの出来事のあとこの土地から逃げた。遠くへ…遠くへ、と。

私はもう間もなく死に絶えるだろう。肝臓ガンらしい。最後に私の昔話を聞いてくれてありがとう。


これは老人の不思議な不思議な夏の物語

ご覧いただきありがとうございます

この小説は学校の文化祭で出そうと思っている作品だい1弾です。

これからも暇があればこういう短編小説を投稿していこうと思います

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