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「モテモテ価格ってなんやねん」

「えっへへ~」


 俺はにんまりとした表情を浮かべるタマとバザール街を歩いていた。


「どうした?やけに上機嫌だな」

「えへへへ~だってマスターと一緒に歩くの久しぶりなんですもん」

「……そうだったか?」

「そうですよ~」


 ……まあ確かにタマ達は戦えないから小さくなって俺たちの服に潜っているのが普通だからな。たしかにこうして一緒に歩くのは久しぶりかもしれないな。

 そんな事を思っていると突然タマが腕を組みにきた。傍から見たらちょっとしたカップルに見えるだろうがタマがペットだとわかっているのか冷たい視線のようなものは無かった。……でも胸当たってるんです嬉しいんですけど女性経験無いんです。助けてください。


「はやくっ!マスターはやくいきましょう!」


 タマが腕を引っ張り走る。ふにゅっ。……おおう、小さい胸の感触が腕に当たって……っていかんいかん。

 俺は胸に気を取られ転ばないよう気持ちを切り替えタマについていくことに集中した。


「あらあら、お兄さんモテモテだねぇ」


 不意に横からそんな女性の声かかる。声のした方をみると屋台の中にあぐらをかいて座っている女性がいた。

 な、なんという巨乳だ!これが爆乳ってやつなのか。

 だが巨乳以外は結構ずぼらというか……髪はぼさぼさで服はちょっと乱れている。


「モテモテ記念で装備とか買ってかないかい?」

「モテモテ記念ってなんですか」

「いーからいーから」

 

 女性はけらけらと笑いながら商品を見せてきた

 やはりこの女性も出品しているらしい。

 せっかくなので装備を見てみるが……た、高え。やっぱ初心者向けのはあまり扱ってないのだろうか。いやいや、男はやっぱり定価で買うべきだろう。タマも見ているしそれが男ってもんだ。

 俺は堂々と言う。


「もっと安くお願いします初心者なのでお金がないんです」


 俺の土下座が決まる。後光が差すほどの綺麗な土下座だ。

 ……いや?あのね。財布にないほどのお金を要求されましてもね?払えないんですよね。

 タマは俺の行動にどこかがっかりしたような表情をしていた。し、仕方ないでしょうが!高いんですもの!

 そう店員のお姉さんに懇願すると女性はいきなり笑い始めた。


「あっははははは!君は正直な子だねぇ。大丈夫、ここには中級者から上級者よ用の装備を出品してたからね。待ってて、在庫に初心者用の装備があったと思うから。」


 そう言い店の中をごそごそと探り始めた。

 良かった。これで装備は何とかなりそうだ。


「よかったですね、マスター。でももっと稼がないとですね」

「……はい」


 もう一度値段をみる。そして、自分の財布の中を覗く。……これ本当に貯まるんだろうか。課金とかそういうシステムないよな?

 そうしていると女性が顔を見せ聞いてきた。


「そういえば君はどんな装備が欲しいんだい?かっこ良くてめっちゃ弱い奴か、ちょっとダサいけど結構強い奴。どっちも安くしておくからお金大丈夫だと思うけど。」

「んーそうだな。見た目はあまり気にしないしダサい方でいいかな?」

「じゃ、これだね。」


 そういって女性が出してきたのは……はかま。

 ……はかま?えっ!はかま!?


「ち、ちなみにかっこいい方はどんな奴なんです?」


 流石にはかまはすこし抵抗があったのでかっこいい方を聞いてみる。


「んー。こんなのになるんだけど。」

「おお、かっこいいじゃないですかマスター!」


 か、かっこええ!欲しい!

 そういって女性が出してきたのは暗殺者が着てそうな白と赤で染まったパーカーだった。


「ちなみにこれの値段はいくらなんです?」

「んーとね。かっこいい奴は7500Gでいいよ。んでダサい奴は全然需要がないからねー。うーん……モテモテ価格で4300Gでいいよん」

「モテモテ価格ってなんやねん」


 しまった。年上の人に普通に喋ってしまった。

 そっと女性の顔を見るが全然気にした様子は無くむしろその言葉に笑ってすらいた。なんだか親しみの湧く人だな。


「君面白いね。よかったら私とフレンド登録しないかい?」


 フレンド登録か。たしかに商人をフレンドにもつのも悪くないな。


「こちらこそよろしくお願いします」


 メニューから開きフレンド以来を送るとすぐに返ってくる。

 どうやらこの女性は”なぎ”という名前らしい。


「それでどっちにするんです?マスター」


  うーむ。どうしようか。やはりはかまと暗殺服だったら暗殺を選びたいが値段で決めるとするとモテモテ価格のはかまがいいんだよな。あ、モテモテ価格って自分で言ってしまった。

 ふいに俺は財布をのぞき込む。アクセサリーとかも出来れば買いたいしな。で、えーっと……所持金……7450G。

 ……うん?

 もう一度のぞき込む。……7450G。

 …………うん。


「はかまを……下さい……」

「マスター!?」

「まいどー♪凪商店にまた来てね」


 なぎさんのウインクを受けながら俺は泣く泣く4300Gを財布から出しはかまを装備したのだった。



 ”田中 敦” HP260/260 種族 ゴーレム Lv14

武器 【[最古の小銃Lv4]、STR+13 DEX+6(DEXブーストLv4)】       

頭 なし

腕 なし

胴体 【風来のはかまLv1、DFF+32 VIT+8(虫の知らせLv1)】

足 なし

アクセサリー なし

CP24/24                     

所持金 3150G

最終能力値

STR 22+13,DFF+32、INT 6, VIT 29, DEX 10

PET タマ(ねこ)


スキル解説

虫の知らせ……遠くの敵を発見できる。レベルアップで範囲拡大。 

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小説家になろう 勝手にランキング ←押してくれるとうれしいのです by水戸 感想とかくれたらうれしいな~。
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