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「よしスズ、お兄ちゃんとこっちに行こうか」

「うりゃああああああああああああああああ!」


 草原に気迫のこもった声が響く。

 その声の発生源であるスズは草原のいたるところを走り回っては敵をなぎ倒していた。


「あっははははは!次の獲物もってこーい!」

 

 モンスターがスポーンした瞬間を狙って切る切る切る切る。スズさんこえーっす。ってかこのゲームってそういうことしていいの?

 まさか抱き着き魔の上に戦闘狂だったとは……。

 特にヒューマンレベル10で覚える”合成”を会得してしてからの戦闘が怖い。

 モンスターから盗んだ素材を組み合わせてぶつける。たったそれだけなのに組み合わせ次第で威力や効果が変わるので合成した効果を覚えたスズは敵を倒す最大効率の組み合わせでモンスターを一掃する。

ちなみに俺の種族、ゴーレムのレベル10スキルは”ジェット”という自分の動いている方向に一瞬加速するという微妙な技だったのでとても羨ましい。……そういえば神のドワーフのスキルはどうなっているのだろうか。後で聞いてみるか。

 パーティを組んでいるおかげでどんどんレベルは上がるから俺たちにとっては良い事尽くめだがこのゲームはMMOのようで周りのプレイヤーは敵が出現してもすぐにスズに取られていた。そのせいか周りのプレイヤーは俺達をにらみつけている気がする。

 まあそれを狙い俺たちは雑魚一掃クエストを受けていたので財布がほくほくなのだが……視線も痛いしそろそろ町へ帰るか。


「スズ、そろそろ町へ帰るぞ」

「えっ!待って!あと1匹!」

「……わかったよ」

「わーい!”合成”「ペティットのトサカ」×2――”サイクロン”」


 スズの言葉が終わると同時に台風がフィールド全体をつつみ敵を巻き上げる。そして最頂点まで巻き上げた敵を落下させ倒す。……うーん。なんか何回も見てるとちょっと地味に思えてくるな。ってかスズお前ペティットのトサカってレアドロだぞ。大事に使いなさい。


「さて、倒したし帰るぞ」

「……もう一匹だけ!」

「はいはい、マスター帰りますよー」

「うにゃあぁぁぁ離してー!」


 このままだといつまでたっても終わらないと思ったのかウミはスズの言い分を無視しながら首根っこをつかみ町まで引きづりながら連れていっていた。




 スズのうめき声を後ろに聞きながら俺たちはいつものリスポーン地点、カスラに戻ってきていた。


「なんか久しぶりだな、ここ。」


 神がそんなことをつぶやいてきた。言われてみればそうかもしれない。もしかしたらスズと会ったからそう思っているのだろうか。というか神、お前はただ座ってるだけじゃなかったか。


「じゃあ防具とか買いに行こうか」

「そうだな」

「うぅ……はい」

「あ、マスター!防具なら多分、普通の防具店で手に入れるよりいいところがあります!」


 隣を歩いていたタマが急に声をあげそんなことを言ってきた。


「へえ、じゃあそこに行こうか」

「任せてください!」


 そして俺たちはタマが先頭をずんずんと歩く道をついて行くこととなった。




「そこの兄ちゃん!最古の小銃、2万で買い取るがどうだ!?」

「あげません」

「くそう……3万でどうだ!」

「うっ……あ、あげませんよ!」


 俺とすれちがった店の親父の声が通路に響く。

 そう、タマの言った”いいところ”というのはカスラの中で行われているバザールの事だった。バザールは普通のNPCではなくプレイヤーが自分の意思で商品を出展しているので普通の店では無いようなレアアイテムも取り扱われている。もちろん値段も個人が決められるので安く買える時もある。

 なるほど。確かにNPCよりもプレイヤー同士の売買は良いかもしれないな。

 スズがモンスターを倒しまくったからお金もちょっと余裕があるしな。


「よし、じゃあ1時間くらい別行動しよう。各自、自分の装備を整えてくれ。終わったらささやきとかしてくれ」

「よしスズ、お兄ちゃんとこっちに行こうか」

「じゃあ私あっちいってきます!」


 俺の言葉が終わると同時にスズ誘う神とその真逆のほうに歩くスズを見送りながら俺はバザールを回ることにしたのだった。


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小説家になろう 勝手にランキング ←押してくれるとうれしいのです by水戸 感想とかくれたらうれしいな~。
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