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「いますぐ腹に手を当ててなんじゃこりゃああぁぁ!?ってやりたい気分」

「何のつもりだ」


答えてくれるとは思わないがナイフを回して遊んでいる黒フードの男に問いかけてみる。

しかし、予想と反し男は笑いながらしゃべり始める。


「このゲームには糞みたいなシステムが多いのは分かってるだろ?その一つとしてPKプレイヤーキルがある。キルされたプレイヤーは装備を一つドロップするから初心者狩りはうめえんだよ」


なんだそのクソゲ。

PKはまだ許せるがドロップは駄目だろう。

異世界のオンラインゲームはプレイヤーが中に入れる以外、地球のものより劣っているのかもしれんな。もしかしたら異世界ではこれが初めてのオンラインゲームだったりするのだろうか。


「ま、さすがにバカ運営の方もPKが多くなったことに気づいて次のアプデでPK自体が無くなるらしいし、今が稼ぎ時ってわけだよ。君たちは選ばれし者だな、おめでとう」


初心者三人という絶好のカモを見つけた男はその嬉しさからかげらげらと笑いながら話す。

まあこちらとしては色々喋ってくれてありがたいが。


「あっし、お前動けるか?」

「いますぐ腹に手を当ててなんじゃこりゃああぁぁ!?ってやりたい気分」

「余裕そうじゃねえか、いま回復してやるよ」


神が回復アイテム「初心者用ヒールポーション」を使用し俺を回復してくれる。

初心者用だからか全回復とまでは行かなかったがさっきまでの倦怠感は消えていた。

なんだか体が軽くなったような錯覚を覚える。


「さて、もういいか?待ってやったんだから精々すぐ殺されないよう頑張れよ」


男はそう呟いた瞬間、俺たちに向かい急接近する。

スズが即座に反応しダーインスレイブで迎撃しようとする。が、斬撃が当たる瞬間に男は一瞬だけ急加速する。

 俺はその技に見覚えがあった。

 あれはゴーレム種族スキル"ジェット"だ。

 どうやら攻撃が当たる瞬間に"ジェット"で加速し紙一重で避けているようだ。

 それを知らないスズと神は中々攻撃が当たらずイライラしている様子が見えた。

 "動いている方にしか加速できない"と言う性質を知っている俺はスズ達の攻撃に合わせ後方から「最古の小銃」で銃撃し加速する方向を調整させる。

 しかし流石と言うべきか。男はそれに即座に反応、俺を標的に変え接近してくる。

 それをジェットでバックステップの距離を稼ぎながら避けようとする。

 結果的にいうと攻撃を避けるのは成功した。だが、俺の後ろに居た小熊まで飛び越えてしまったのだ。

 しまったと思いジェットを発動させ小熊に手を伸ばすがもう遅く、黒フードの男は「邪魔だ」と呟き小熊を斬撃する。

 斬撃した隙だらけの男をジェットの勢いで蹴り飛ばし小熊をキャッチする。

 どうやらあまり傷は深くないようだ。よかった。

 そう安堵していると誰かが俺の手から小熊を引きはがそうと腕を引っ張られハッとする。

 さっきの黒フードの男かと思い負けじと抵抗するが相手の腕を見てギョッとする。

 その腕は黒い毛に包まれており背は高く、小熊を引っ張る手には鋭い爪がギラリと鈍い光を放っていた。


 そう、俺はクエスト対象モンスターである”ビッグベア”と綱引き大会をしていたのだった。

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小説家になろう 勝手にランキング ←押してくれるとうれしいのです by水戸 感想とかくれたらうれしいな~。
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