エピローグ
第一章エピローグ投稿しました。
――血の味がした。
鉄と塩の臭いがして、思わず舌先で口の中を調べる。血が出ているような感じはない。
ただの錯覚だ。
そんなことわかってる。
わかっていても……僕の中で不快感が暴れ始めるのを止められない。
胸の内側で、何かがギュッと握り締めてきて、そのままゆっくりと押し潰そうとしているようだ。頭の中では、グルグルと気持ち悪さが渦巻いている。
息苦しい。気持ち悪い。
そんな不快感の中で、嫌なことを思い出す。
それは、ロクでもない記憶だった。とっとと忘れてしまいたいような代物だけど、それがないと僕は僕でいられなくなる。狭い視野に戻り、何かを比較できなくなるのが怖いんだ。
あのことを思い返すことはまだ耐えられる。あの過去には二度と戻りたくない。地獄というオカルトな言葉で例えるしかない――反吐が出そうな、あの頃には……。
……いや、違う。
そうじゃない。これは、そんな話じゃないはずだ。絶対に違うはずだ。切羽詰まっているのはそういうことじゃない。何か別のことだ。転移による生理的なズレがどうのとか、そんな世間話みたいなもののはずだ。
「……切羽詰まってるって、何が、ですか」
「そのままだよ」
「そのままって……」
「――擦り切れそうに、見える」
けれども、フロイドさんの言葉に、逃避気味な思考は消し飛び、記憶は現実に引きずり出されてしまった。
瞼を開いているのにかかわらず、視界が真っ黒になって、記憶がフラッシュバックする。〈エルダー・テイル〉の世界に来る前に、起きたことを。
思い切って、瞼を閉じる。視界は闇の中だ。けれども、記憶はフィルムのように回り続いている。止まる気配はまだ来ない。
僕は、深呼吸する。深く、深く、肺の中をからっぽにするように。そうすれば、スッキリするんじゃないかと思いながら。
記憶は蠢いたまま、思考は少しだけクリアになって。
「そう見えるんなら、そうなんでしょうね……」
僕は、勇気を振り絞るようにして声を出す。この弾みで、言ったらいけないことを、言いたくないことまで言ってしまいそうな気がするのに。答えることが怖いはずなのに。――後ろめたい気持ちが、僕を内側から食い破ってしまいそうなのに。
「……何か、あったのかい?」
「ありましたよ。無けりゃ、ここに僕はいない」
問いかけに反射的に答える。切羽詰まっている。他の人からは擦り切れそうに見えている。何かあったかどうかという話なら、無かったとは言えない。
頭の中は、未だに混乱している。
でも。
「救われたと感じている僕は――ここにいない」
胸の中で抑えていた、言葉が口を突いて出てしまった。ここに来ていてから感じていたもの。湧き上がってくる感情。得体の知れない安堵感に、足元がわからなくなってきて……だから、きっと。
僕は、何もかもを終わらせた時のことを鮮明に思い出し始めた……。
――口の中を、錆びた鉄のような味が満たしていた。
簡潔に言ってしまえば血の味がする。殴られた拍子に、口の中を切ってしまったせいだ。痛い。
でも、この程度の痛みなら耐えられる。
そして、何より僕にはあと一つだけやらなくちゃいけないことがあった。
「――こんの!!」
包丁を振り上げて下ろす。マウントポジションを取った。これが最後のチャンスだ。狙いは心臓。躊躇うな。覚悟は決めた。腹は括った。
それを選んだんだから、最後まで貫き通せ!
「死ねよッ!!」
包丁が、敵の心臓のある位置に突き刺さる。そいつを人間だと思うな。敵だ敵。人間の形をしている僕の敵。皮膚を突き破って、肉を抉る。それでも、包丁は心臓まで届かなかった。
「かはっ――」
僕の下で、父が吐血する。父、親父、糞親父。僕を生んだ夫婦の片割れで、憎むべき怨敵……だった。
けれども、それも終わりだ。僕が終わらせる。敵の命を終わらせる。
そして、僕の人生も終わらせてしまうんだ。
そう決めたんだよ、少し前に僕は。
「が、あっ、×××――」
×××。それが僕の名前だ。見っともなくて気持ち悪くて反吐が出そうな、僕を示す記号。もう二度と使いたくもない名前。
もう、二度と聞きたくもない。
「その名で、僕を呼ぶんじゃねぇよッ!!」
拳を握り、心臓のある位置に突き刺さったままの包丁へと振り下ろす。一撃じゃ、深く刺さらないから駄目だ。肉と骨が邪魔をする。心臓に到達するまで、何度も振り下ろさないといけない。だから僕は振り下ろす。
「あっ――ガッ――ぁ――ッ」
何度も何度も、ハンマーのように腕を振る。包丁の柄目がけて、釘を打つように叩き付ける。手が痛み出す。胸の中で蠢く感情が何もかもを麻痺させる。
悲しめ苦しめ悔しがれ痛がれくたばれ傷付け死んじまえ。僕は殺す、お前を殺す、全力を持って殺す、死んでいたって殺してやる。何度も何度も、僕はお前が憎いんだ嫌いなんだ死んでしまえば良いんだ、だから死ね。死ねよ、糞親父。
「ぁ――ぅ――ッ、ぁ――」
そして、父さんは死んだ。呼吸を止めて、何も言わなくなった。口からはコポコポと血が溢れ出てくる。意志の抜けた瞳を虚空に定めたまま動かない。
寂しいから、そんな目をしたのかな。
知ったことじゃないけど。
まぁ、安心しなよ、母さんも死んだ。僕が殺した。だから、安心して逝きやがれ。天国と地獄があるかどうかもわかりゃしないが、あるんだったら、そこで二人仲良く暮らしてな。僕はどうせ地獄に行くんだろうし、お前らの顔なんて二度と見たくないから天国に行ってくれ。
ねぇ、そうでしょ母さん。僕を攻撃していた母さん。父さんと一緒になって、間接技を決めやがって。僕がどれだけ痛くて苦しくて醜くて気持ち悪かったか知らないだろうけど、本当に辛かったんだからね。煙草の火傷とかも、痛かったんだから。それをずっと我慢してきたんだ。もう良いでしょ、楽になっても。
母さんの死体からは血が流れていない。僕が紐で首を絞めて殺したんだから当然だ。多少脱糞しているせいか、臭いけど。
「……ぺっ」
ついでとばかりに、母さんの死体に唾を吐き捨てた。妙に心地良い気分だ。これからのことを考えると胃液吐きそうだけど。……吐いちゃおっかな、二人の死体の上にでも。
この死体が胃液でドロドロに溶けちゃえばいいのに。そしたら、トイレで流せそうなのに。
「あはは」
父さんと母さんの死体が溶けることを想像して、思わず笑えてくる。でも、上手く笑えてないせいか、ぎこちない。それもそうだ。二人が死んだのは嬉しいしおかしくてたまらないけど、一寸先の未来が真っ暗すぎてよろしくない。
僕の人生はこれで完全に真っ暗闇に落ちてしまうんだ。憂鬱だ。もう笑うしかない。無意味だとわかっていても。
――これから、どうしようか。
ふと、僕はそんなことを考える。父さんと母さんを殺した。すっきりした。気分は最高だ。だけど、僕はこれからどうすれば良いんだろう。遅くても早くても、人殺しとして逮捕されるのは目に見えているのに。
でも、まだ捕まるまでには時間がある。
だったら、それまでにやれることが一つだけある。
〈エルダー・テイル〉をするんだ。
僕は、血で汚れた服を脱いで、別の服に着替える。手を洗って、母さんのパソコンを拝借して、電源を入れる。パスワードが設定されていないのが幸いだった。
そんな母さんのパソコンに、〈エルダー・テイル〉をインストールする。多少スペックは低いけど、十分使えるパソコンだ。
僕は昔からこれが欲しかったんだけど、今ようやく手に入れることが出来て、少しだけ嬉しいと思っている。元々母さんのものだから、ネコババということになるんだろうけど。でも、僕の方が有意義に使えるような気がするよ、このパソコン。
僕知ってるよ。母さんがいつもネットで、僕の教育について相談して、周囲からボコボコに反論されてるの。そして、その八つ当たりが僕に返ってくるのを、僕自身がよく知っている。
母さん死んじゃったから、もうどうでも良いことなんだけどさ。
夕日が沈み、夜が来る。
冷蔵庫の中身を調理して、腹に詰め込んでいる内に、インストールが終わった。
さぁ、遊ぼう。
今日は、新規拡張パック〈ノウアスフィアの開墾〉が適用される日だ。
最後だから目一杯楽しまないと。そんな風に気持ちを切り替えて、寂しさを紛らわすつもりで、口元を歪めて笑みを浮かべてみようとする。
でも、今日が最後だと思うと、やっぱり寂しいや。苦笑するしかないけど、上手く笑えないものなんだね。
そんなこんなで、ログインして、コーヒーを片手に友達と音声チャットを楽しみながら、僕は最後の冒険を始めた。
キャラの名前は、シンイチ。僕が自分でつけた自分のための名前。僕の分身であり、こうあって欲しかった僕そのもの。〈冒険者〉として生きている、パラレルワールドの僕。僕よりも自由で活き活きとしていて思わず嫉妬しちゃうね。
僕に残された時間は少ないんだ。だから、〈エルダー・テイル〉のシンイチに嫉妬しちゃうんだ。自由に生きれる〈冒険者〉なんだから。
さて、楽しもう。警察が僕を捕まえるその時まで。
これまで僕の嫌な感情を抑えてくれて、僕を救ってくれた〈エルダー・テイル〉の世界を卒業しよう。友達とさよならをしよう。本当は嫌なんだけどさ。
だから、せめて最後まで。
そうして、しばらくゲームを楽しんでいた時に、視界を真っ白な光が包み込んで――。
僕は、気が付けば〈エルダー・テイル〉の世界に来ていたのだ。
そこで、僕は思い出すのを止めた。
ふと、気が付けば、空になったマグカップを指先に引っかけたまま、胸を抑えていた。心臓がバクバクと鼓動を早くしている。頭の中は真っ白なのに、得体の知れない不安で潰れてしまいそうだ。
僕は、両親を殺した。罪悪感はない。むしろ、清々しい気持ちで胸の中はいっぱいだ。けれども、不安は胸の中に残っている。
軽蔑されたくないわけじゃない。
――僕の傍にいるはずの誰かが、離れていくのが怖いんだ。
本当なら、無知なままロクでもない視野の狭いクソッタレな人生を送ってもおかしくなかった。でも、麟太郎とテルオに出会って、色々なことを知った。
父さんと母さんに、ずっとずっと攻撃され続けて麻痺しかけていた時に、二人と出会って、二人に連れられてやってきたネットカフェで、僕は〈エルダー・テイル〉を知った。
それがあったから、ナナと出会った。
――だから、だから。
「……友達はいるのかい?」
そんな僕を気にしてか、フロイドさんは別の話に切り替える。僕の友達の話。――僕が、好きになった友達のことを思い出す。
……会いたいよ、二人とも。
「います。男友達が二人……」
絞り出すように、フロイドさんに言う。麟太郎と輝夫。いつもつるんでる大事な友達。……僕の半身のような。
「会いたいかい?」
「もちろん」
その問いかけには自信を持って答えることが出来た。二人にはあのことは言えないし、会ったところで物事がどうにかなるわけじゃないし、そもそも麟太郎はこの世界にいないけど、会えるなら会いたいと思った。
「いいなぁ、そういうの。少し羨ましいよ。なんだか、ちょっとだけ怪しい感じがするけどね」
フロイドさんは、冗談めかしてそう言う。友達のことを思うことが、怪しい風に見えるんだろうか。
……いや、まぁ、僕と麟太郎たちがホモっぽい風に見えたのかもしれないなぁ。クラスにいた女子が言ってたように。今更だけど、無責任に人のことをホモ呼ばわりしないでほしかったな。
「違いますよ。……友達を親なんかより信頼しているだけです」
「親より……か」
フロイドさんが、僕の言葉にちょっとだけ考え込むような仕草をする。どこか遠いところを見ているような感じだ。親に対して何かあったんだろうか。
ふと気が付けば、僕の気分は比較的落ち着いていた。会話の流れが変わったおかげだろう。どうやら、僕の中でそれは、いつか準備して自分から触れなきゃいけない地雷になってしまったようだ。今踏み込むのは早すぎる。
「君は、帰りたいとは思わないのかい?」
フロイドさんからの問いかけが形を変えて、僕に投げかけられる。その答えを探して、少しだけ考え込んだ。本当に少しだけ。元いた世界に、未練はあるにはある。けれども――。
「――少しだけ、そうは思います。心残りがないわけじゃないんです。でも、帰りたくはありません」
僕は、正直にそう答えるだけだった。色々と言いたいことはあるし、考えていることもある。
でも、それを上手く言葉に出来そうになかったし、今この瞬間に帰りたいか帰りたくないかを天秤にかけて、帰りたくない方に傾いたのも事実だ。
だって、僕には――。
「僕には、帰りたい場所なんて、ないんですよ」
帰ったって、どうしようにもないんだから。
親は死んだ、僕が殺した。家にいるのは死体だけ。ついでに言うと、帰ったところで警察に捕まって鉄格子の中に入るのがオチだ。僕の人生はあそこではほぼ終わったも同然だ。
「奇遇だね。僕もだ」
僕の答えに、フロイドさんも同意するように呟いた。それはどこか諦めの混じったような声で。
「――帰る必要性も、僕には無いんだ」
悲観的な部分が欠片ほどしか見つからないような――そんな囁きに聞こえた。虚しくもあるような、そんな風に。
そして、静寂が訪れる。
言葉が尽きてしまったせいか、或いは浮かんできた話を選んでいるせいか。月も夜空も変わらぬまま、僕らはただ口を閉ざしたままでいる。
でも――限界は訪れるわけで、現実逃避気味に頭の中では親を殺したことについて考え直していた。後悔についてとか。
結局は無意味だとわかっていたけど。
僕は、両親を殺した。そのことに関してはあんまり後悔していない。強いて言えば、両親を殺したことが、現実世界の枷になることだけが後悔と言えば後悔だ。
でも、きっとここは違うんだ。何がどうとは言えないけど。多分としか言えないけど。
だからだろうか。
「フロイドさん」
「ん?」
そう、言ってしまったのは。
「――僕、親殺しに見えますかね?」
それから、少しだけ時間が流れた。
フロイドさんは、結局は何も変わらないまま僕と話を続けていた。色々と話をした。話せることは出来るだけ。輝夫のこと、麟太郎のこと、ナナのこと、僕が殺した親のこと。とにかく色々と。
現実世界での人殺し、それも世間的に見下されがちな親殺し相手に、偏見も何も無く何も変わらないまま。
普通軽蔑するもんだろうと思ってしまうくらいに、彼は平静を保っていた。どうして軽蔑しないのか聞いてみたら。
「――軽蔑してほしかったのかい?」
「いえ、少しだけ……同情してほしかっただけです」
「そうかい」
「はい」
以上。これでおしまい。なんというか、かなり変わっている人のように思える。色々な意味で。
結局のところ、僕の思う不安というのは、フロイドさんにとってはさほど大したことじゃなかったらしい。ある意味拍子抜けのような気がしないでもない。
我ながら、もっと軽蔑されるかと思ったんだけど。
「自分の足を引っ張る親は、死ね。殺してやる。そう思う気持ちはよーくわかるんだよ。僕の場合、僕が手を下す前に、そいつらは事故で死んじまったけどね」
とまぁ、同情というか共感されてしまったもんだから、色々とどうしたものかなと思わなくもない。
……細かいこと考えてたら駄目なこともある。そういうことかもしれない。
これにて、話はお開き。
先に寝るよ、と言って、フロイドさんは僕に手を伸ばした。マグカップを返してくれ、というジェスチャーらしい。僕は頷きながら、取っ手の方を向けた。
その時、フロイドさんは、ふと思い出したという顔をした。ちょっとした
「そういえば、一つだけ気になっていることがあるんだ」
「……なんですか?」
「シンイチ君。両親を殺した時はスカッとしたんだろ?」
「しましたよ」
「じゃあ、良いんじゃないかな」
「何が、ですか」
そう僕が言葉を促すと、フロイドさんは一瞬だけ躊躇うような素振りを見せたけど、次の瞬間には薄い笑みを浮かべた。
その口から、続きが紡がれる。
「――大声で笑っても」
考えてみれば、僕は親が死んだことで心の底から笑ったことがなかった。笑おうとしたけど笑えなかった。
でも、ここなら……。
フロイドさんは、僕からマグカップを受け取ると「おやすみ」と挨拶をして屋上を去って行った。彼はどんな夢を見るんだろうか。少しだけ気になる。
僕の方はと、視線を再び夜空に移す。
果ての見えない夜闇の中に、幾億の星と、一つだけの月が浮かんでいる。
月を見ていると、頭がおかしくなりそうになる。
何かの小説だったか詩だったか、あんまり思い出せないけど、たしかにそうかもしれない。
その証拠に、今の僕は口元を歪めている。
笑い――始めている。
「――――はは、は」
今の僕に出来ることと言えば、笑うことだけだった。
口元を引きつらせて、喉を震わせるように、無理やり笑ってみせるだけ。
けれども、そうやって無理にでも笑っている内に、だんだん腹の底がムズムズとしてきた。それは少しずつ大きくなって、そして。
「――あはははははっ!」
僕は、腹がよじれるほど笑い出した。
両親が死んで以来、初めての大爆笑。生みの親を心の底から軽蔑して、ギャグがツボにはまったみたいに笑えている。
笑う。笑う。嗤う。
嬉しくておかしそうに笑い続けている。おかしくておかしくて仕方がない。口は開きっぱなしで、腹筋が少し痛いくらいだ。
このまま笑い死んだらどうしようかと、ちょっとだけ不安になるけど、多分きっと大丈夫。なんとかなる。こんな世界だもの。
不条理な現実世界に、〈エルダー・テイル〉という不条理が襲いかかったから、僕はここにいるんだ。
そうだ。僕は、ここにいる。両親をぶっ殺して、この世界にやって来た。
輝夫がいて、ナナと出会ってセックスして、フロイドさんとスアンさんとも出会って――。
そして、僕は殺した両親が死んだことに笑えている。
現実世界では無理なことだった。あの時点で人生はおおむね終わっていたはずだった。けれど、僕はここにいる。
――この世界に、僕はいる。
夜空に浮かぶ月が、あいも変わらず光を地上に降り注いでいる。やっぱり、月を見ていると頭がおかしくなりそうだ。気分が高揚して、大抵のことがどうにかなりそうな気がしてくる。
そうだ。僕は、まだ終わってない。むしろ、僕の人生はここからが本番だ。
幾つ目かのスタートラインは、すでに踏み越えた。ここから、僕の全てが始まる。
遠慮なしに不条理と戦える、そんな人生が始まる。
だから、僕は笑っていた。
――夜空に吸い込まれていく声が枯れるまで、笑っていた。
これにて、第一章はおしまいです。
色々と伏線を散りばめるだけ散りばめて、不完全燃焼気味に一区切りつけました。プロットはあるけど、結構行き当たりばったりです……本当は親殺しのシーンは、第一章プロローグでやるつもりだったし……。
続きとなる第二章は、大ざっぱなあらすじはありますが、考え中です。一応、出す気ではいますが、小説で出すかもしれないし、TRPGのリプレイ風……といった感じになるかもしれないし。とまぁ、そんな感じです。
ともかく、三か月ほどかけてやっと第一章を終わらせることが出来ました。読んでくださった方々、ありがとうございます。
それでは。
続きの第二章か、
これとは全く別の物語でか、
また会いましょう。
では、また。