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東方二重奏  作者: みずたつ(滝皐)
第三回戦
9/28

安息の時間2

阿求「皆さん、おはにちばんは〜。阿求です。


 始まりました、阿求の駄弁りその八」


霊夢「今の挨拶って……」


阿求「おはようございます、こんにちは、こんばんはを一遍に言った時の略です」


霊夢「略語はもういいんじゃないの?」


阿求「昔のことは……忘れたよ」


霊夢「あんたが忘れる訳ないだろ。と、ツッコンで欲しいのかしら?」


阿求「霊夢さん。ボケ潰しはやめてください」


霊夢「ごめん。無意識だった」


阿求「それ違う人の言い逃れです!」


霊夢「はいはい、わかったわよ」


阿求「何だか私が駄々をこねて、お母さんが渋々言うことを聞いたみたいになったんですけど」


霊夢「そんなことないと思うわよ」


阿求「そうですか? そう言えば思ったのですが」


霊夢「何?」


阿求「霊夢さんって大抵のことは、はいはいわかったわよ、の一言ですませますよね」


霊夢「え〜と。そうかな?」


阿求「自覚ないんですね。でもそうじゃないですか、今だってそうだし」


霊夢「自分ではよくわかんないわね。何か例えない?」


阿求「例え? そうですね……例えば霊夢さんに、別にやらなくていい仕事が来た場合、霊夢さんは嫌だって言いますよね」


霊夢「そうね」


阿求「けれど執拗に迫って来たら、簡単に終われる仕事だったら、渋々、はいはいわかったわよ、って言うと思うですよ」


霊夢「……確かに」


阿求「まあ、ものによると思うんですけど」


霊夢「なるほど、でも大概はそう言ってるわね」


阿求「さながら適当なおかんの言い逃れみたいですね」


霊夢「私はまだ子供はいないわよ」


阿求「そうゆうことじゃなくて……。けど、それでも霊夢さんは、ちゃんと問題を解決してくれますよね」


霊夢「……ありがと」


阿求「照れてる霊夢さん、可愛いですね」


霊夢「なっ! う〜〜。もう帰る!」


阿求「あっ! ちょっと待ってくださいよ! おとと、今回はこれでおしまいです。また次回〜。






 霊夢さん、待ってくださいよ〜」

「お嬢様、ご無事で何よりです」


「お前はいったい何を想像していたんだ?」


 咲夜は鼻から鼻血を出しながら、キリッとした顔つきで言うもんだから、レミリアは呆れて頭を抱えた。


「着替え終わったみたいね」


「まあね」


 アリスが腕を組んで、霊夢の格好をよく見る。霊夢は気だるそうに左の首筋を擦りながら、また気だるそうに返した。


 霊夢とレミリアが着替え終えたのを皮切りに、各々着替えに行った。


 特に服が酷かったアリスと文を先に行かせて、次に魔理沙たち、早苗に続き、妖夢の順番に着替えた。


 その他の皆は、服に切り傷一つ付いていない。相手が例え妖精とはいえ、傷一つ付かないのは可笑しなことだ。もしそうゆうことが起こるなら、誰かを盾にしたか、普通に強いかのどっちかだ。


 恐らく咲夜なんかは味方を盾にした口だろう。早苗に大体を任せて、自分は安全圏から弾幕攻撃。とても利口な遣り口だが、友達をなくしそうです。


 それと同様で、なぜウドンゲに傷がないのかと言うと、何だかんだ妖夢を盾にしていたからだ。しかしウドンゲは咲夜とは違い、信頼関係からなせる異形と言えよう。それは、ウドンゲが攻撃を受けそうになると、妖夢が割って入って攻撃を受けるのだ。だからウドンゲに傷はないのだ。


 そしてこの二人と違うのが、天子と萃香だ。この二人は本当に実力で、それ故に傷などついていないのだ。


 天人に鬼のコンビは、はっきり言って力では死角はないだろう。力以外だったらあるが。なんせ、この二人は……と言うか天子が萃香のことをあまり好いていないのだ。だから連携を取るなどといった、魔理沙たちが得意とする戦術は、この二人には一切ない、そこが唯一の欠点だろう。


 しかしそれでも、大概の敵は一瞬でやられてしまう。レベルが違いすぎる。


 皆が着替え終えると、各々ゆっくりと時間を過ごしていた。魔理沙たちはアリスと一緒にお喋りを。文は取材、他も各メンツで話ている。


 霊夢たちも同様に萃香と天子と話ている。


「しかし、霊夢を瀕死に追い込む妖怪なんて、紫くらいだと思ってたよ」


 萃香は徳利を片手に、少し上擦った声で言った。お酒が入って酔っているのだ。


「あんたの容赦のなさは体をもって体感してるけど、それを上回るなんて…………はぁ(悦)」


 天子は攻撃の激しさを想像して、甘美に浸っている。この変態!


「あんたのそういう所は、本気で引くわ」


「誉め言葉として受け取るわ!」


 駄目だこいつ、早くなんとかしないと。


 隣で見ていたレミリアと、言った本人霊夢は、天子のバカさ加減に行く末を案じたが、パートナーの萃香はガン無視だ。


「それで、いったい誰と戦ったんだ? あの様子だと、レミリアも少なからず一撃はくらっているんだろう?」


「まあね。とゆうより、一回死んでるわよ」


 レミリアのその一言に、萃香と天子は共に驚愕した。


「お前でも死ぬことがあるをだな。少し以外だったよ」


「私はあんたと戦ったことないけど、充分に強いっていうのは肌でわかるわ」


 その言葉に霊夢は溜め息を吐いた。


「わかる以前に、レミリアは幻想郷でトップをはれる実力を持ってるわよ」


「鬼の中でも、レミリアのレベルは桁が違うな」


 萃香は言い終わると、徳利から直接酒を飲んだ。


 天子はまじまじとレミリアを見つめる。レミリアは少し恥ずかしそうにするが、照れ隠しなのか、批評的なことを言う。


「鬼って言っても、吸血鬼・・・の中ではって意味よ。全体的な意味合いじゃないわ」


「まあレミリアがそう言うなら、私は構わないけどな。それでも死んだのは信じられないよ、本当に誰に殺られたんだ?」


 萃香の質問に二人は顔を見合わせた。言うがどうか迷ったようだが、レミリアが頷くと、霊夢は肩を竦めた。


「私たちが戦った相手はリリー・ホワイト。妖精よ」


「リリーか……」


 霊夢の予想だと、萃香と天子は笑うだろうと思っていたが、そんなことはなかった。寧ろ納得といった顔をしている。


「あいつの力は中々バカにできないからな。面白いタイプの妖精だし」


「彼女の気質、温暖も、気温を上げていくのと、自分の力を上げるのとで=(イコール)になってるからね」


「リリーの力をわかってたの?」


 霊夢の反応に萃香は笑って、何となくね、と返した。


「まあ、妖精の力は計りきれないからね。気質も様々だし」


「他の妖精の気質は何なんだ?」


 レミリアの問いに、天子はう〜んと唸った。


「あまり覚えてないけど、チルノの気質はダイヤモンドダスト。その友達の気質は……月蝕だったかな」


「月蝕?」


「そう、月蝕。光を写さない気質、存在があやふやになる。とゆうより、隠れるって言った方がいいのかな?」


 それを聞いて、レミリアは腕を組んで考えた。その友達というのは、恐らく大妖精のことだろう。しかし、彼女は確かに影は薄い気がするが、けして確認できない奴ではない。現にチルノとよくいるのを見かけている。気質はその人を表すと聞くが、はっきり言ってこの気質は大妖精にあっていない気がする。影になる性格をしているが明るく、存在があやふやなったり隠れるなんて、理解できない。


「あいつが何かを隠してるのは確かだと思うわよ」


 話を聞いていであろう霊夢が、割り込んで言った。


「私の勘だけどね」


「相変わらずね」


 でも、霊夢の勘は当たるからな、もしかしたら本当なのかも。それを考えると、月蝕の気質は間違ってはいないか。別の意味で隠すね。


「は〜い皆さ〜ん、一時間経ちました。これより第三回戦を始めます」


 急に阿求のアナウンスが入った。皆会話を止めて、部屋の真ん中に出現したスキマを見る。


「三回戦の説明は、場所に着いたらいたします。では皆さん、行ってらっしゃい」


 すると、足元にスキマが出現した。皆それに吸い込まれる。






「……ここは?」


 レミリアが着いた場所は、辺り一面水で覆われ、遺跡を思わせる石碑が水面から剥き出しになっている場所だ。


「こんな場所、幻想郷にはなかったと思ったけど」


 レミリアは懸念そうに辺りを見渡す。しかしこんな場所は、記憶にはまったくない。


「ここは私と籃が創りあげた、固有結界の中よ」


 不意に後ろから声がした。振り向くと、主催者である八雲紫がそこにはいた。


「紫……これを壊すのが、三回戦の内容?」


「違うわよ。三回戦の内容は、もっと別にある」


 紫は手に持った扇子を、宙に向かって指し示した。レミリアはそれに釣られて、指された方向を見る。すると、そこからスキマが出現した。


「第三回戦の内容は、仲間救出ゲーム!」


 阿求の声がした。


「救出?」


 レミリアは、はっとして辺りを見渡す。


「現在皆さんは、パートナーがおらず一人になっていると思います。仲間を救出したければ、目の前の敵を倒してください。因みにパートナーの皆さんは、こうなってます」


 スキマに映像が映った。そこに映されていたのは。


「霊夢!」


 籠の鳥のように閉じ込められていた霊夢の姿だった。


「因みにこの籠は、霊力および魔力を吸い取る仕組みになってます。パートナーの力がなくなった時点で時間切れで失格です。勿論敗けても失格ですからね。では、ご武運を祈ってます」


 本当にそう思っているのか、あやふやな言い方だった。レミリアは苦虫を噛み潰したような顔をして、紫を見つめる。


 紫はクスクス笑うと。


「そうゆうことだから、早くした方がいいわよ。いくらあなたと言えど、私はそう簡単に倒せやしない……とゆうより、勝てるかもわからないんだから」


 紫から漏れる微量の霊力には、まるでそれだけで相手を刺し殺すほどの鋭さと殺気が籠められていた。普通の妖怪や人間では、確実に身が竦んでいるか、もしくは気絶してるかだ。しかし相手は吸血鬼最強のレミリアだ。竦みもしなければ、気絶なんかする訳がない。寧ろ普段と変わらない毅然とした態度を取る。


「さすが幻想郷最古の妖怪。化け物じみてるわね」


「そうゆうあなたの殺気も、化け物じみてるわよ」


 二人の間に冷たい空気が立ち込める。


「……当たり前だろ。私は今、気が立ってるんだ!」


 レミリアの一睨みに呼応するように魔力が上昇し、空気を震動させた。


 紫はそれを見て、口笛を一度吹くと。


「凄いわね。でもそれでも私に勝てるかしら?」


「行くぞ」


 第三回戦、開始。

阿求「ついに三回戦が始まりましたね」


霊夢「これからどうなるか楽しみね」


阿求「そうですね。では皆さん、次回は咲夜さん回です」


霊夢「お楽しみに」

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