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東方二重奏  作者: みずたつ(滝皐)
第二回戦
3/28

春を告げる者

阿求「はい始まりました。阿求の駄弁りその二」


霊夢「タイトルあったんだ」


阿求「五分前に決めました」


霊夢「言わなくてもいい事実を。なんであんたは、そんなにも素直なのかな?」


阿求「それだけが、取り柄ですから。真っ黒は霊夢さんとは違って」


霊夢「ああぁぁぁん! 誰の脳細胞が真っ黒だって!」


阿求「そこまでは言ってないですよ。どこをどう聞いたらそうなるんですか?」


霊夢「うるせぇよもやし、もやし炒めにすんぞ」


阿求「まさかの悪口! 二回目して早くも不仲に!


 ちょっとちょっと、どうしちゃったんですか? いったい。何だかノリが某漫画みたいになってますよ」


霊夢「別二損名事内出巣世」


阿求「どこの暴走族だよ!! つーか今の時代、そんな古くさい人いませんよ!」


霊夢「古苦内夜」


阿求「何でもかんでも漢字にすればいいってゆう訳じゃありませんよ! ぶっちゃけ何を言っているのかわからないですし!」


霊夢「博麗霊夢、夜露死苦」


阿求「……いや、それはわかりますけど。霊夢さんって、何歳ですか?」


霊夢「乙女にそんなこと聞くもんじゃないわよ」


阿求「戻った」


霊夢「あれ疲れるからね」


阿求「ならやらないでください」


霊夢「でも不思議よね。一昔前は、暴走族っていったら、リーゼントに膝まである革ジャンに、背中に漢字で夜露死苦が基本の中二病だったのに。いつの間にいなくなったのかしら?」


阿求「現代の暴走族は、チャライ人たちばかりですからね」


霊夢「ルックスは上がったかもしれないけど、怖さ半減って感じだし」


阿求「信号もきちんと守ってますし」


霊夢「音と二人乗りを除けば、単なる普通のドライバーよね」


阿求「そこら辺に、現代らしさを感じますよね」


霊夢「昔に比べたら、大したことないかもね」


阿求「でも迷惑ですよ。最近は私の安眠を邪魔しますし」


霊夢「阿求も悩んでるんだ」


阿求「いえ、作者が」


霊夢「何で阿求が作者の代弁を?」


阿求「言い忘れてたんですけど、私と作者は考えを共有してるんで、私の言葉=作者の考えでもあるんですよ」


霊夢「へ〜。話てる時は何も違和感がないけど」


阿求「八割方無視してますから」


霊夢「そりゃまた気の毒なことで」


阿求「おっと、そろそろ収録も終わりの時間ですね」


霊夢「だから音声ないから」


阿求「気分だけでもパーソナリティー」


霊夢「はいはい」


阿求「霊夢さんも呆れてきたところで、また次回!」


霊夢「またね〜。






 …………阿求、今回のギャラは?」


阿求「霊夢さん、会話筒抜けですよ」


霊夢「あっ、やばっ」

霊夢サイド




「道を開けなさ〜い」


 霊夢は妖精に命令しながら、追跡魔具ホーミングアミュレット用に改良してある札で、妖精をバッタバッタと薙ぎ倒していく。


 レミリアはその後ろを悠々と飛んでいる。


「まるで虫ね。さながら霊夢は、殺虫剤ってところかしら」


 その言い方は失礼なんじゃないかって言うくらいの、超上から目線でものを言う。が、霊夢は上機嫌なので、鼻唄まじりに言う。


「誰が殺虫剤よ」


「そんな楽しそうに返す言葉ではないと思うけど。楽しいの? 霊夢」


 霊夢は一度考えると、首を横に振った。


「楽しいじゃなくて、爽快ってだけだと思うわ」


「楽しいじゃなくて嬉しいか。どちらかと言うとそっちみたいね」


「あんた私の話聞いてた?」


 霊夢が如何わしい顔つきでレミリアに聞くと、レミリアは目を積むって肯定する。


「大丈夫だよ、ちゃんと聞いてたから」


 霊夢は「本当に?」と言うと、レミリアが返事をしないので前を向くことにした。


 数分後。何十匹と妖精を狩った霊夢たちは、開けた場所に出た。


「待ってたで〜」


「あんた」






 香林堂の居間。そこには、紫と阿求と映姫がいた。


 店の方には、霖之助が商品にかかった埃を掃除している。


 紫たちは、お茶を啜りながら、スキマカメラで試合状況を見ていた。


「やっと本格的に始まりましたね」


 阿求がカメラを見ながら、紫たちに言った。


「そうね。やっと」


 紫は考え深そうな顔をして、それらしい口調で言った。


「しかし紫。なぜあんなことをしたのですか?」


 映姫がお茶を持ったまんま、お茶に立った茶柱を見て言った。


「なんのことですか?」


 綺麗な笑顔を浮かべる紫。映姫は真顔で追及を続けた。


「惚けないでください。あの・・ことです」


「…………」


 二人の間に沈黙が走る。阿求がその空気に耐えかね、挟むつもりもなかっただろうに、結局口を挟んだ。


「まあまあ、紫さんにも何か考えがあるのかもしれませんし」


「ですが阿求」


「このほうが、皆本気になりやすいから……ですかね」


 なおも追及しようとした映姫に、理由を言った紫。たが、真実かは定かではない。


「だからこその、あの約束ですか?」


「ええ、その通りです」


 映姫は溜め息を吐くと、やれやれと頭を振った。


「わかりました。今回はあなたの考えに乗りますよ」


「ありがとうございます。……絶対に退屈はさせません」






「待ってたで〜」


「あんた」


 霊夢たちが出会ったのは、春を告げる妖精、リリー・ホワイトだった。


「やっと来なはったか。遅いわ〜ほんま」


「なんであんたがここに?」


 腰に手を当てて呆れていたリリーに、もっともな疑問をぶつけた。


「阿求が言ってたやろ、ステージのボスを倒したら終りって」


「つまり、お前がここのステージのボスって訳ね」


 霊夢の後ろから出てきたレミリアは、霊夢の前に出てきた。


 リリーを見るレミリアの目を見て、霊夢は少したじろいだ。レミリアは、全てを葬る鬼の目をしていたからだ。


 そんな目を真っ正面から受け止めるリリー。その表情に、恐れはなかった。


「倒せたらの話や」


「言うわね」


 レミリアが大人げなく魔力を開放する。このとき、霊夢はある勘違いをしていた。相手は妖精、しかもリリーだ。こちらには、夜の王にして鬼のレミリアがいる。それに加え、自分もそれなりに強い人間だ。レミリアに劣る部分はあるが、妖精程度に負けるこのなどない。


 だが、それこそが慢心だった。


 霊夢は知らないのだ。妖精の、可能性とゆう名の力を。


「霊夢たち相手に手加減なんかせえへんで、始めっから全力や!」


 そう言うと、リリーの六枚の羽が桜色の光を纏った。その羽で、リリー自身の体を包むと、それが弾け、光輝く鳥の羽が散ると共に、中から黒くなった服を着たリリーが現れた。リリーの羽は翼のなり、桜色に輝く。


「いくで」


 霊夢は戦慄した。リリーが強くなったことにも驚きはしたが、それよりも驚愕だったのが、リリーが放ったレーザーの威力だった。


 リリーが手を前に翳すと、桜の花びらのような魔方陣が展開した。その中心から放たれる桜色の高出力レーザーを、霊夢とレミリアは躱す。しかし、その余波で大きく空中に投げ出された。その後に続いた大爆発でも、風圧に押され、顔を腕で覆った。体制を立て直し、放たれた方向を見ると。


「なっ!」


 なんと、壁が大きく崩れ、地面が抉れていた。


 たとえレミリアが、グングニルやスカーレットデビルを使ったからといって、一発でここまでの惨状にはならない。かも……。


 けれどたかだか妖精風情が、ここまでの威力の技を使うなんて。


「やっぱりこの状態は慣れへんわ、攻撃があたらん」


「春の力か」


 レミリアの呟きに、霊夢思考を巡らせる。


「もしかして……春を集めたの?」


「もしかしなくてもそうでしょ。でなきゃ、あそこまでの力はでないわ」


 厄介なことになったわね。レミリアの言ったことが正しければ、かなりの春がリリーに集まってるはずね。


「考えてはるとこ悪いけど、隙はあたえへんで」


 リリーは翼を縮めると、瞬時に翼を広げた。


「春風 チェリーブロッサム!!」


 大量の桜の花びらが展開した。その一つ一つはとても細かく、とても避けきれる大きさと量ではなかった。


「これは……不味いわね」


 さすがのレミリアも、これには驚いたらしく、冷や汗をかいている。


「レミリア、こっちに!」


「うわっ!」


 霊夢に引っ張られて、変な声をだす。霊夢はレミリアを抱くような体制になり、右手を前に翳す。


「夢符 二重結界!」


 名前の通り二重に展開した結界が、霊夢たちを包む。それをリリーの攻撃が纏うように襲う。


「くっ……うっ……」


 結界内で、霊夢は苦い顔をする。


 なんて威力。このままじゃ結界がもたない。


「霊夢! 私の魔力を感じ取れ!」


 一瞬ハッとすると、レミリアに言われた通りに、目をつむり魔力を感じ取る。


「いい子ね。……いくわよ」


 レミリアが魔力を高める、それに霊夢が波長を合わせる。すると、結界が紅く染まり拡張した。


「転換。紅夢コウム 鬼神結界キシンケッカイ!」


 結界は元の形を失い、新たな形に作り変わった。もうチェリーブロッサムの攻撃は、完全に防がれている。


「はああぁぁぁ!!」


 レミリアがさらに力を加えると、結界は弾けとんだ。


「拡散結界!」


 それに合わせて、霊夢がスペルを唱える。弾けとんだと思った結界は、形を留めたまま、幾重にも拡散し、そのままチェリーブロッサムを弾き返し、リリーに迫った。


「春の力を嘗めるでないで」


 リリーは焦ることなく右手を前に突き出す。


 すると、弾けとんだはずの桜たちが、リリーを守ように楯になった。


「その程度の攻撃で、春を止められると思っとるんか?」


「思ってないわよ!」


 ハッとして、リリーは上を見上げる。すると、上空には霊夢がいた。


「宝具 陰陽鬼神玉!」


 霊力により巨大化した陰陽玉が、リリーに直撃。チェリーブロッサムの防御網を突破した。


 そのままの勢いで、リリーは陰陽玉と一緒に地面に叩きつけられる。


「やった?」


 霊夢が不安げに訊ねる。だが、レミリアは首を横に振った。


「いや、まだよ」


 その瞬間、リリーの魔力が急激に増大した。陰陽玉が砕け、見ると、リリーの翼が大きくなり、さらに輝きが増していた。


「うそでしょ……」


「これは冗談抜きに、辛い状況になってきたわね」


 そして、リリーは静かに顔を上げた。

阿求「次回は魔理沙さんです」


霊夢「お楽しみに」

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