白い部屋
阿求「はい始まりました。阿求の阿求による阿求のためのトークショー!」
霊夢「急にいったい何を始めたの?」
阿求「何って……駄弁りですけど」
霊夢「前書きってこんな風に利用するんだっけ?」
阿求「何もないのもつまらないじゃないですか。ですからこうやって、女の子たちのキャッキャウフフを、リスナーに届けるんですよ!」
霊夢「力説のところ悪いけど、これは文字だけよ、音声ないから」
阿求「そうでした!!」
霊夢「それはそうと、何で阿求が前書きをやってるの? ここは普通作者が担当するところじゃない?」
阿求「まあ、本当はそうなんですけどね。作者が、余ったページに作者コメント書いてもつまんないだろ。ならいっそ、キャラで面白いことした方が、読者に何倍もましだろ! それと一緒だ! って力説しやがりましてね。それでこの形に」
霊夢「なるほど、実は毎回の作者コメントを考えるのが面倒になってきて、コメントがなんだかどうでもいい作者の日常報告になってしまって、もうこれ作品と関係ねぇじゃん単なる作者の駄弁りじゃん、だったらキャラに喋らせた方がましだろ! って思ったからこうなった訳ではないのね」
阿求「何だか、実際に見てきた生々しさを感じるんですど」
霊夢「けどあれよね。これってぶっちゃけ丸投げよね。単に自分で前書き書くのが面倒になっただけでしょ」
阿求「霊夢さん、それは言わないお約束ですよ」
霊夢「だって癪じゃない、作者の思い通りなんて」
阿求「まあまあ。別にいいじゃないですか。それよりも、そろそろしゃくが溜まってきましたんで、今日はこの辺りで終わりにしましょうか」
霊夢「そうね、何だか疲れたし。次回はこんなのはないわよね」
阿求「何を言っているんですか? 霊夢さんはレギュラーなんだから、次回からも来て貰いますよ」
霊夢「次回あるんだ……。嫌よ、私出ないから」
阿求「まあまあ霊夢さん、ここは一つ……」
霊夢「……まあ、少しくらいだったら、手伝ってあげてもいいかもね」
阿求「とゆう訳で、次回からもこのメンツでやっていきたいと思います。ではまた来週〜」
霊夢「来週無理じゃね」
阿求「不定期更新ですからね」
第一回戦開始から早15分、霊夢はまだ結界を壊せないでいた。
「どんだけ複雑に造ったのよ。亀裂すら入らないじゃない」
「霊夢〜。まだなの〜」
あくびをして、不満げにレミリアは言った。明らかに退屈しているみたいだった。
「うっさい! 手伝わないなら口挟むな!」
霊夢は壊せなくて明らかにイライラしている。10分と宣言したのにもかかわらず、それを05分も延長しているのだ、イラつきたい気持ちはわかる。
「クッソ〜。取り敢えず、もっかいやるしかないわね」
霊夢のがんばる姿を見ていたレミリアだが、「しかたないわね」と一言言って、ついにその重い腰を上げた。
「何よ? 手伝う気にでもなったの?」
「亀裂が入ればいいのよね」
「……亀裂さえ入れば、後はなんとかなるけど」
レミリアは目を閉じて、魔力を高める。急に高めたレミリアにたじろぐも、霊夢はなんとなく、レミリアのやることを悟った。
「伏せてなさい」
そう言うと、レミリアは右手をおもむろに上に掲げた。その手で何かを掴むポーズをとると、紅い光と共に、紅色に光る魔力が、巨大な槍に姿を変えた。
「神槍 スピア・ザ・グングニル」
それを思いっきり白い空間に投げた。すると、まるで地平線に思えた空間に、レミリアの攻撃は当たった。ちゃんと壁が存在していたのだ。
壮絶な破砕音と共に、槍は破壊された。が、壁に亀裂が入った。
「これなら」
霊夢は札を四方に展開して、霊力を高めた。
「たった一つの綻びから、結界なんて簡単に崩れるものよ」
霊夢はさらに霊力を高めた。すると、壁の亀裂が大きくなり、壁全体に亀裂が入った。亀裂の入りかたから見ると、この空間は四角い箱のような形をしていた。
「砕けろ!」
霊力を最大まで上げる。すると、結界は脆く崩れ去った。
結界が崩れると、その外は先ほどの空間だった。そこには、数人の人影があった。
「……私たち以外に、もう結界から抜け出ている奴らがいたのね」
霊夢がそいつらを見ながら言った。レミリアも静に見ている。
そこにいたのは、霧雨魔理沙とパチュリー・ノーレッジ。十六夜咲夜と東風谷早苗。アリス・マーガトロイドと射命丸文。魂魄妖夢と鈴仙・優曇華院・イナバ(以下ウドンゲ)。伊吹萃香と比那名居天子たちだった。
「霊夢!」
魔理沙が霊夢たちに気づいて、パチュリーを連れて駆け寄ってくる。
「魔理沙。早かったのね」
「お前らは遅かったな」
そう言われて、霊夢は肩を竦めた。
「以外に手こずったのよ」
「確かにあの構造は手こずるな。私はパチュリーに全面的に任せたからな」
「まさか魔理沙が、結界解くのが苦手だとは思わなかったわ」
パチュリーが魔理沙の後ろで呆れている。魔理沙は、「わるいわるい」と言いつつ、表情はちっとも謝っている風ではない。
「まあ。それでも一番なのは替わりないのだけれど」
パチュリーのその一言に、霊夢は眉をピクリと動かす。
「まさかたったの03分で解除できるとは、さすがに思えなかったぜ」
「私を誰だと思ってるの? 結界系の捕縛術式は得意分野よ。まあ、苦手な系統はないんだけどね」
霊夢は明らかにイライラしている。体から、黒いオーラでも出ているみたいにイライラしていた。けれど、実際パチュリーたちより遅かったのだから、文句の付けようがない。それゆえ、怒りを押し込めている。
レミリアはそれを見て、少し冷や汗をかくも、結局は大丈夫だろうと判断した。
「お嬢様。ご無事でしたか?」
魔理沙の後ろから顔を出したのは、咲夜だった。表情は安堵としている。
「無事に決まってるでしょ、私なんだから」
「そうですよね」
レミリアがドヤ顔で言うと、咲夜は苦笑した。
「最初は手伝わなかったけどね」
霊夢は頭に怒りマークを浮かべて愚痴っている。
「結果オーライだよ。過去のことは気にしない気にしない」
「つい02〜03分前のことだけど」
「そんなことより、私なんかに気を使っていいの?」
「はぁ? どうゆうことよ」
レミリアは霊夢から視線を外し、咲夜や魔理沙など、その他の猛者たちを見渡した。
「そろそろ一刻が経とうとしているのに、いまだこの人数なのよ」
霊夢はよくわからないといった顔をする。
「だから何よ?」
「その中でも私たちは最後に結界から抜け出た」
「……そうね」
「つまりここにいる奴らは、私たちより格が上の存在になるのよ」
霊夢はレミリアの話を聞くと、一度頷いたら、鼻で笑った。
「あんたの口からそんな言葉を聞くとはね。微塵も思ってないくせに、よく言うわよ」
「そんなこともないよ、1ミリ……いや、1ミクロン位は思ってるよ」
「ほぼねぇじゃねぇかよ」
魔理沙も頭の後ろで腕を組むと、呆れたように言った。パチュリーも「本当にね」と言うと、同様に呆れた。
「でも言いたいことはわかったわよ。気を引き締めろってことでしょ?」
「伝わったならよかったわ」
霊夢は一度周りを見渡す。皆それぞれに、互い互いに会話をしている。
「それはそうと……咲夜は誰と一緒だったの?」
ふと思い付いたように霊夢は言った。咲夜も咲夜で、いままで忘れていた風な態度を取った。
「私は早苗と一緒に落とされたのよ」
「早苗と……なんだか珍しい組合せね」
「まあね。でもおかげで助かったわ、奇跡で結界解くんだもの」
「奇跡じゃありません! 実力です!」
すると、どこで話を聞いていたのか、早苗が会話に乱入してきた。
「こう見えても守矢の現人神けん巫女ですから」
けしからん胸を叩いて、威張る早苗。咲夜は溜め息を吐き、呆れた。
「私の時間操作がなかったら、一刻以上はかかってたわよ」
「ぐっ!」
言葉の刃が早苗に刺さる。誤魔化すように咲夜からの視線を見ないで、虚空を見て苦笑している。
咲夜がまた文句を口にしようとしたその時、空から場内アナウンスがかかった。
『はーい、時間切れでーす』
この声は、恐らく阿求だ。
『結界を破れなかった人たちはそのままご退場願います。あっ、そちらのスキマからどうぞ』
「どうやら終わったみたいね」
「そうね。結局私たちが最後だったみたいね」
レミリアが空を睨みながら言った。霊夢もその隣から、腕を前で組んで、空を睨んでいた。
『では続いて、第二回戦に移ります。内容はここで言ってしまいますね』
阿求のその言葉に、場にいる十二人は全員空を見る。
『第二回戦の内容は簡単です。第一回戦の時に一緒にいたかたとペアになってもらって、ステージを攻略して貰います。ステージの最後にはボスもいるので、その人を倒せたら、第二回戦は勝ち抜けです。それと、能力の制限は取り外しますので、存分に力を発揮してください』
「私はこのままでもいいけどね」
クスクスと笑うレミリアに、霊夢は苦い顔をする。
「私は少し困りますけど」
咲夜は苦笑いしながら言った。
どうやら、咲夜の能力、時間を操る程度の能力は制限がかけられるていたようだ。確かに強力なので、制限がかけられるのは当たり前か。
『ではこれより、第二回戦を始めます。ペアごとに別れてくださーい』
「さて、こっからが本番よ、霊夢」
「わかってるわよ。今度は一番に抜け出てみせるわ」
レミリアが横目で霊夢に話かけると、霊夢はレミリアの方には向かず、前を向いたまんま気合をいれた。
「パチュリー」
「バックアップは任せて。前衛はあなたに任せるわ、魔理沙」
「任された」
阿吽の呼吸でポジションを確率する魔理沙たち。ベストコンビですね。
「咲夜さん、ここも私に任せてください」
意気込んで咲夜に申し出る早苗に、軽く笑いながら返す咲夜。
「ここはの間違えじゃない?」
「ちっ! 違います! ここもであってます!」
咲夜の訂正に直談判する早苗。少しだけ息が合ってきたかもしれない。
『別れましたね。では、行ってらっしゃい』
阿求の言葉と同時に、足元にスキマが出現する。それに抗うことなく、皆それに飲み込まれていく。
「今度は通路ね」
「かなり広いわね」
霊夢は降り立つと同時に頭を掻く。レミリアは辺りを見渡す。
「まあ一本しか道はないみたいだし、迷わず進めるわね」
「気を付けなさいよ。どうやら、お出ましのようだから」
レミリアが進行方向を見ると、妖精が何匹も現れた。
「ふ〜ん、なるほどね。つまり、コイツらを倒しつつ、ボスのところに行けばいいのね」
霊夢は裾から札を取り出す。これから始まる無双劇に、レミリアは妖精たちに同情した。
「今度こそ、トップで抜け出てやるわ!」
霊夢は空中に浮かび、妖精たちに向かった。レミリアもそれを追う。
第二回戦、開始。
阿求「前書きと後書きの私物化!」
霊夢「いいのかな?」
阿求「さぁ? 次回は第二回戦、霊夢サイドです」
霊夢「お楽しみに」