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始まりは突然

阿求「このたびは、東方二重奏を見ていただき誠にありがとうございます。この小説は、上海アリス幻楽団さんの東方projectの二次創作です。オリジナル要素や、あり得ない二次設定がございますが、それでも良し! と言うかたはこのままお読みください。それは無理だ! と言うかたは、戻るを押して、ご退場ください。


 では、東方二重奏。心ゆくまでお楽しみください。


 稗田阿求でした」

 博麗神社。朝の日差しが照らす中、霊夢は落ちた枯れ葉を竹箒で掃いている。


「ふあぁ〜〜っ」


 大きくあくびをしながら、手はせっせと動かす。枯れ葉を一定の場所に山積みにし、空を見上げると、誰かが来るのが見えた。


 日の光と被って、黒い点にしか見えないそれを、目を凝らしてなんとか見ようとする。


 一直線に降りて来るそれは、箒のような物に乗っているように見えた。それが見えた瞬間、霊夢は誰が来たか察した。


「今日はやけに早いわね」


 霊夢の目の前に降りて来たのは魔理沙だった。魔理沙は箒から降りて地面に降りる。


「よっ! 霊夢」


「何か用、魔理沙」


「用がなくちゃ来ちゃダメなのか?」


「そんな訳ないわよ」


 それを聞いて、魔理沙はヘラヘラと笑った。霊夢は鼻で溜め息をつく。


「まあ用事は実はあったんだよ」


 そう言って魔理沙は、服の中からあるものを取り出した。


「チラシ?」


「ああ。まあ読んでみろよ」


 霊夢は不信になりつつも、魔理沙からチラシを受け取り、目を通し始める。


「……」


「どうだ?」


「……これに書いてあることは事実?」


 その言葉を待ってましたと言わんばかりに、魔理沙は笑みを浮かべた。


「9割りがた信じられると思うぜ」


 霊夢は魔理沙の顔を見たあとに、もう一度チラシに目をやる。


「そう」






 同時刻、紅魔館レミリアの部屋。


 レミリアは椅子に座って、テーブルの上のチェス盤を睨んでいた。


「暇ね」


 そう言いながら、ルークを移動させた。


「そうかしら?」


 その向かいに座るのは、レミリアの親友にして魔女の、パチュリーが座っていた。


 何も考えずに、パチュリーはクイーンを敵のキングの側に移動させた。


「チェックメイト」


「また負けたか」


 レミリアは腕を頭の後ろで組んで、しかめっ面をする。パチュリーは少々疲れた顔つきなって、息を吐いた。


「それで、なんで暇なの?」


 パチュリー的に言えば、チェスをしていたのに暇と言う、レミリアの心境はどうなんだ、とゆう感じだが。あまり言っても意味がないので黙っている。


 そんな考えを知りもしないレミリアは、腕を前に組み直し、上から見下す感じで言った。


「最近刺激が少ない」


「……」


「だから、暇なのよ」


 パチュリーは溜め息を吐いた。


「なによ」


 レミリアは怪訝そうな目で見る。


「平和なことはいいことじゃない」


「平和すぎるのも問題だ」


「あっそ……咲夜、紅茶のお代わり貰える?」


 パチュリーは空になっていたカップを、レミリアの後ろに控えていた咲夜に見せた。


「はい」


 咲夜はパチュリーからカップを受け取ると、隣のワゴンに乗っかっているポットから、紅茶を注ぐ。


「それはそうとお嬢様」


「なによ」


 咲夜は紅茶に角砂糖を2つほど入れ、ティースプーンで混ぜながら、レミリアに言った。


「実は、紅魔館のポストに、こんなものが入っていたんです」


 パチュリーにカップを渡すついでに、服の中から、二つ折りにしたチラシを出して、それを渡す。


「これは……」


「あまり信用はできないと思いますが」


 咲夜はあまり乗り気ではないが、とうのレミリアは、獰猛な笑みを浮かべてチラシを見ていた。


「面白そうな内容なの?」


 パチュリーは、興味半分でレミリアに聞く。


「ええ。暇潰しにはなるわね」






「神奈子〜〜〜」


「何よ諏訪子」


 守矢神社、早苗たちが暮らす家。居間の襖を勢いよく開け放った諏訪子。それに対し神奈子は、ちゃぶ台の上にあるミカンを一つ取り、皮を剥きながら、やる気のない返事を返す。


「早苗見なかった?」


「早苗?」


 神奈子は半月形の実を一つ口に入れて考え始めた。


「……そういえば」


 ちゃぶ台の上に置いてあるチラシを手に持って、諏訪子に見せた。


「これ見た後に飛び出して行ったよ」


「これ?」


 諏訪子は訝しげな顔で神奈子を見る。神奈子は頷く。


「……まあ、いい修行にはなるかもね」






「準備はできたよ」


「そう……なら」


「ああ。開幕だ」


 ある一室。結界とにとりの技術力を使って造り上げた空間と建物。そこには、幻想郷の強者どもが集まってきていた。


 そこに一つのスキマが出現した。皆はそれに注目している中、そこから現れたのは、八雲紫と森近霖之助、四季映姫・ヤマザナドゥと稗田阿求だった。


「集まったな。幻想郷の猛者たちよ」


 霖之助はマイクを使って、全体に聞こえるように話す。


「ただいまより! 最強ペア決定戦、幻想郷タッグバトルを開催する!」


 一瞬の静寂。紫が霖之助の肩に手を置いて、後ろに下がらせる。


 霖之助はガックリと肩を落としていたが、紫はお構い無しに話を進める。


「ルールは簡単。これはペアで行うバトルよ。そして、弾幕やスペル、自分の能力の行使もOK。ただし、相手を殺したら駄目よ。勢いで殺るのはいいけど。


 試合形式はその時その時に決めるからそのつもりで。


 審判は映姫様に、記録は阿求に頼んだわ」


 そう言って、紫は隣に控えていた映姫と阿求を、手のひらで指し示した。


「まともなルールだな、真ん中以外」


「そうね、紫らしいわ。特に真ん中が」


 紫の話を聞いていた魔理沙と霊夢は、すでにルールのあら探しをしていた。


「まあ、このルールだったら楽勝だな」


「慢心は敗北をうむわよ」


 そう言って、霊夢は辺りを見渡す。一癖も二癖もある強敵揃いだ。


 紅魔組のレミリア、パチュリー、咲夜。守矢組の早苗。白玉楼組の幽々子と妖夢。地霊殿組のさとりと燐と空。星蓮船組の星とナズーリンと鵺と村紗。後は、萃香や天子、アリスなどがいる。


 しかし、魔理沙はそれらを見ても、威勢は変わらなかった。


「私と霊夢だったら楽勝だよ」


 霊夢は口元を綻ばせる。


「ルールは以上よ」


 説明が終わった瞬間から、魔理沙は気合いを入れた。


「おっしゃ。んじゃあ、いっちょ宜しく頼むぜ、霊夢」


 魔理沙は右手を前に差し出した。


「こっちこそ」


 霊夢も右手を出して握手しようとしたら。


「それじゃあ、行ってらっしゃい」


 足下にスキマが出現して、魔理沙と霊夢は握手をする前に落ちてしまった。






「よっと。ここどこ?」


 スキマから出された霊夢は、辺りを見渡す。だが、まるで見覚えがない。


 適当な空間に放り出されたかな? 紫ならありうる。


「真っ白ね」


 白すぎて、どこが壁かわからないわ。


 取り敢えず、その場にただ立っているのもあれなので、歩き出そうかと思ったところ。


「霊夢?」


 不意に名前を呼ばれたので、声のした方向に振り向く。


「レミリア! なんであんたが」


 霊夢に話かけたのはレミリアだった。どうやら近くに放り出されてたみたいだ。


「私も知らないわよ。けれど、スキマ妖怪の考えることだから、何か意味があるんでしょ」


「あんたの能力でわかんないの?」


 レミリアの能力とは、運命を操る程度の能力のことだ。厳密には、運命を操るではなく、運命を見る能力だが。


「駄目ね、うまく見れないわ。どうやら、スキマを通った時に、何かされたみたいね」


「あんたの能力が使えないとなると、自力でこの空間から脱室して、紫に話を聞くしかないわね」


「なんでそんな考えになるのかわからないけど、大いに賛成ね」


 方針を決めて、いざ破壊といった時に。空中にスキマが生まれて、音声が流れてきた。


「あ〜テステス。聞こえますか〜?」


「この声……紫?」


 霊夢がレミリアに同意を求めたが、レミリアは肩を竦めた。


「聞こえてるかしら? 今から第一回戦の内容を教えるわ」


「一回戦の内容は、制限時間以内に、紫さんが作ったその空間からの脱室です」


 急に声が代わった。喋りかたと声の高さから、多分阿求と推測できる。


「能力の行使は許可してますが、強すぎる能力は制限がかけられてますので、少しばかり使いにくくなっています」


「そうゆう理由か」


 レミリアの能力は運命を操る能力、その影響力も尋常じゃない。制限をかけられて当然か。


「姑息な手を使ってきたわね」


 レミリアはやれやれといった風に、両手を肩まで挙げて、首を左右に振った。


「ですが、それ意外はOKなので、がんばってくださいね。それでは第一回戦、レディ〜〜〜〜ゴー!!」


 阿求のかけ声と共に、スキマが消えた。すると、先ほどスキマがあった所に、制限時間一刻(約30分)と表示された。


「この時間以内に脱室すればいいのね」


「簡単そうに言うけど、レミリア、あんた結界操作できるの?」


「できないわよ」


「じゃあなんでもう脱室する気でいるの?」


 霊夢は呆れて言ったが、レミリアは愚問とでも言いたげな表情で言った。


「いくら見えにくくなっているとはいえ、わかることはあるのよ」


「……何よ?」


 レミリアはニヤリと笑うと、威厳たっぷりに付け加えた。


「この空間から抜け出ているシーンが鮮明にね」


 さすがの一言に、霊夢は唖然とした。レミリアとは知り合って長い付き合いになるが、いつ感じても、レミリアのカリスマ性に溜め息を吐かざるおえない。


「わかったわよ。10分もかからず、この空間を壊してやるわ」


 霊夢は軽く腕のストレッチをすると、袖から札を取り出した。


「期待してるわよ。霊夢」


 そんな霊夢の背中に、レミリアは優しい笑顔を向けた。

阿求「次回は第一回戦を放送します」


霊夢「映像ないけどね」


阿求「そうでした!」

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