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第三話「非正義部員パート2」

今回の話を読む前に

今回の話は性的描写のようなものが存在します。そういったものに不快感を覚える方は、この回を飛ばしてください。またこの回を読んで、「いや、そんなことはなかったのだぜ」と思ったら、ツイッターの方かこっちの方のコメントを使って言って下さい。

前回のあらすじ。奇怪研究部が仕事するようです。あらすじ終わり。

…というわけで、とっさの思いつきみたいなノリで始まった『正義』についての研究。ここで僕は、当然といえば当然な質問をした。 「ところで、この部活って一体どんな手順で研究するんですか?」

当初からの疑問だった。何をするのか今まではぐらかされてきたのだ。

「ふむ。そういえば説明がまだだったか。」

いや、あんたらが濁してきたからでしょうが。

「よし。最近存在感がない室井。説明してやれ。」 「存在感がない、は余計だっ!」

確かに、あまり会話に参加してなかったような…。 「じゃあ、手順を説明しよう。…俺もよくわからないけど。」

ものすごく頼りなかった。彼が語り手だったら、文字通り「信用できない語り手」である。

「基本的には、そのテーマ―今回だと『正義』だが―に沿った雑談のようなことをするんだ。」

「雑談?なぜ雑談なんです?」

「これは俺にもよくわからん。なんでも、『真実は日常的雑談に含まれているのだよ、ムロソン君』とか部長が言っていたが。」

「はあ…」

「まあ、とにかくそんな四方山話の中からわかったことをまとめる。この後は結論をレポートにまとめて終わるんだが、場合によっては『突撃調査』を行うことがある。」

「『突撃調査』?」

「その辺は実際にそうなってから説明する。ややこしいからなぁ。」

簡単にまとめると雑談して、それいいね!と思ったことをメモる。…この活動を部活と呼べるのだろうか?まあ、同じ県に「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を探して、一緒に遊ぶ」という目的の部活のある高校があるくらいだから、あったっておかしくないけれど。

「説明は終わったようだな。ではまずは、『正義』のイメージから語ろうか。」

「ではまず俺から。やはり『正義』という以上、正しいこと、という意味ではないのか?」

「ふむ。では、ゆーこ」 「…可愛いは正義。」

「………。な、なるほどな。じゃあ、桐谷。」

「うーん。僕はポリシーみたいなものだと思いますね。」

「なるほどな。俺は、正義は大義名分だと思っている。」

それぞれ個性的な意見が出た。人それぞれ価値観が違うので、一つの言葉にまったく違う意味を見いだしている。

「どうやら意見が、もとい考え方がバラバラだな。やはりこの方法は効率が悪いな。」

「いや、今日が初めてだぜ、この方法。」

どうもこの部長の脳内は空っぽなのか、詰まってるのかよくわからなかった。とりあえず、思いつきで行動するタイプのようだ。

「致し方あるまい。いつも通りパソコンで調べるぞ。」

「パソコンで調べてるんですか…。」

「…うちのパソ子は優秀。」「パソ子て…」

ゆーこちゃんはどこからともなくノートパソコンを取り出した。・・・。

「どこから取り出してきたんですか!?」

「…乙女の秘密。」

サムズアップしながらそういった。もう謎過ぎるよ、この人。

「ということは、ゆーこちゃんが調べるんですか。てっきり男子のどちらかがしていたのかと…。」

「うむ…。俺がやると煙が出てくるんだ…。」

機械音痴過ぎる!?おかしいだろ、部長!

「俺の場合は入力がうまくいかないんだ。ちゃんとひらがながかかれているとこ押したのに…。」

ローマ字入力なのにひらがな入力だと思ってるのかよ!?

…もうツッコムのはよそう。先に進まなそうだ。

カタカタカタ………。

「…出た。…やはりヌーヌルは便利。」

ちなみにヌーヌルとは検索エンジンのことである。 百科事典的なサイトのページに書かれていることをゆーこちゃんが読み上げる。

「…社会における物および人に関する固有の秩序である、と書かれてる」「ふむ」

意味ありげに部長は感心する。

「まあ、正直そんなのはどうでもいいがな」

どうでもいいのかよ。

「いや、どうでもよくないこともない訳だが、とにかく、『正義』とやらは秩序を表しているようだな」

「まあ、そうなるわな…」「そういえば、この学校に『正義』って感じのものってありますかね?」

「む? そうだなぁ、先生? いや違う。だとすれば…………」

そうして三人とも考え込み始めた。数十秒ぐらいたった。

「…あ、あった。…『正義』を司る組織」

全員がゆーこちゃんに目を向ける。

「…それは」


「で、我々『生徒部』になにかご用ですか?」

生徒部。それは一般的な学校でいうところの生徒会みたいなものである。

この学校での部活の異様なことは以前話したが、さらに付け加えると、生徒会や委員会といった組織まで部活動にしているのだ。当然、公式非公式の法則も適用されている。そこで、今回は公式の方を訪ねた。

ご丁寧なことに、生徒部部長――河原田望かわはらだのぞみが直々に出迎えてくれた。こんな訳のわからん部活に相手してくれるなんて、よっぽど暇なんだろうか。

「…聞こえてますけど?」 地獄耳だった。恐るべし、生徒部。

「とにかく、本題に入らせてもらうぞ」

「生徒部部長に向かってもため口なんだな、おい」

「…そこに痺れる、憧れるぅ」

「うるさい。…話はだ、河原田さん、貴女のやり方は『正義』なのか?」

「…生徒部部長に向かってとんだ口を聞いてくれるわね。その言い方だと私が正しくない、とでも言いたげね」

その場の空気が凍った。さっきまでの空気が一瞬にして氷点下まで下がった。 そんな空気を読んでるのか、読んでないのか、部長は続ける。

「いや、そんなつもりはないさ。ただ、学校内のちょっとした不安因子をすぐに追い出そうとする姿勢はいかがなものかとおもってな…」

売り言葉に買い言葉とはこのことだった。壮絶な口論が展開されるのかと思い、僕はヒヤヒヤしたが、河原田部長はそうではないらしく、意外そうな顔をした。

「あら、当然じゃない。邪魔なものは切り捨てる、学校内の秩序を乱そうとする輩は排除して当然でしょ?」

「なっ……!?」

会話の途中で、僕は思わず驚愕した。

「じ、じゃあ、真面目にしてても、成績が良くない人は…」

「当然切り捨てます。即刻この学園から出ていって貰います」

無茶苦茶だった。そんなの、許されるわけがない。「だから貴女は、『正義』のためなら、例え生徒の過半数を退学にしてもかまわないと?」

「ええ」

澄ました顔でとんでもないことをいってのけた。

「私たちは、未然に問題を防いでるだけです。それのどこがいけないんですか?そもそも、あなたたち奇怪研究部って、学校からみたら邪魔なんですよ。なんの成果も上げないし」

その言葉に、今まで沈黙を貫いていた室井先輩とゆーこちゃんが、この外道をにらみ始めた。

「それとも何?私の行いを全校に言いふらせる?無駄よ。真面目な生徒部と実態不明な奇怪研究部。果たして、生徒はどちらの言葉を聞き入れるかしら?」

「くっ!」

悔しいが正論だ。返す言葉もない。もう、ダメなのか?

しかし、黙り続けていた部長は、

「果たして、そうかな?」と呟いた。

「どういうこと?」「突破口は常に隣り合わせだ。偉大なる隣人だ。彼らはいつも空気のようにそこにいて、いつも我々を見守っている。そして、時には姿を現し、俺たちを導いてくれる。さらに……」

「長いわよ!早くいえよ!なんなのよ!」

「ククク……。いいだろう。我が手腕を見せてやろう……。これが何かわかるかな?」

「そ、それは!」

「ククク……。そう、ICレコーダーだ」

「さっきまでの会話、全部録音していたというの!?いつのまに!?」

「そうさ。これを先生につき出せば、どうなるか分かっているな?」

「ぐっ……。で、でもそれだけじゃ意味ないわ。反省文は書かされるだけですむはずだから……」

「もちろん、その対策も用意している」

そう言って、部長は何枚かの写真を地面にばらまいた。

「こ、これは……」

「貴女が今まで新聞部に口止めしてきた写真だ。勿論、『非公式』の方だ」

「どうやってこれを……」「俺の親友が『非公式』新聞部の部長でな。頼んで、もらってきたのさ」

「相変わらずお前の人脈は無駄に広いな……」

「…顔が広い」

状況が優勢になってきたのを見たのか、二人が後押しするように入ってきた。ついでに僕も入ってみる。「うわぁ、裏金使ってたんだ……。こっちなんか怪しいおじさんにお金渡してる。これってもしかして…」「見るんじゃありませんわ!」

ヒステリックに叫び始めた。ここまでくれば十分だろう。

僕は、トドメを部長に譲った。

「さて、これらをどうしようかな?」

「お願い!何でもするから、それをばらまくのはやめて!あ、そ、そうだ!部費!部費を上げてあげるから!ねぇ!」

もはや、生徒部部長としてのプライドも捨ててしまったらしい。

「…………」

「ねぇ、いいでしょ?なんだったら、今よりいい部室を用意するから!」「河原田部長」

「は、はい?」

「貴女がもし、先ほどの言葉を訂正して謝る、といっていれば考慮の余地はあったな。…ま、でも」

部長は、窓を思いっきり開け、

「そういったとしても、絶対に許さないがな」

そう言って、いつの間にか拾っていた、さっきの写真を窓からばらまいた。

放課後だというのに、結構人がいた。

「あ、ああ……」

河原田部長は、全身の力が抜けたように崩れ落ちる。目からは、先程までの輝きはなく、虚ろになっていた。

「いや……うそ……」

うわ言を繰り返す。何度も、何度も。

ふと、彼女の足元の方を見ると、水溜まりが出来始めていた。あまりのショックに失禁したらしい。

「見ないでぇ……見ないでぇ……」

顔が真っ赤になっている。自業自得だとはいえ、ここまでくるとかわいそうに見える。

部長もそう思ったのか、思ってないのか、僕達を手招きして部屋を後にした。

今回のまとめ。

絶対的正義など存在しない。人の上に正義は存在しない。正義とは常識の範囲で守るべきものである。

終わり。

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