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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第八章 魔法王国カスタの遺跡
93/153

7

 三十分後。

 アーカイエスとララは巨竜亭の食堂に姿を現した。

 全員揃ったところで、一同は二階のジェイス達の部屋へと移った。

 クレメントは、ジェイスとパッドに窓際の文机二つを、運んで中央でくっつけてくれと頼む。

 ジェイス達がその通りにすると、彼は自分の荷物袋から王宮の書庫より失敬して来た、カスタの都の古地図を出して、机上に広げた。

「凄い地図だな。こんなのがあったんだ」

 街並が詳細に描かれた地図に、ジェイスは感心する。

「この地図は描かれた年代が不明なんです。でも少なくともライズワースの時代でないことは言えます」

「って?」

「ライズワースの伝記の中のカスタの首都の様子には、この地図とは幾つか異なる点があるからです。もし、この地図がライズワースの時代より後に描かれたものならば……」

「それは、無いな」

 アーカイエスが否定した。

「これは、ライズワース以前の地図だろう。何故なら、この地図には現存する東西の大門が無い。あれは、多分ライズワースの時代かその直前に新しく造られたものだ」

 クレメントは、綺麗な眉を片側だけ上げ、アーカイエスを見た。

「東西の大門、というと? どの辺りに?」

 アーカイエスは無造作に地図の東西を差す。

「ここと、ここだ」

「こんな、港町ルイザの近くに……」

 ルイザは、ロンダヌスの領土でありながら、東側にカスタ遺跡が広がっているため、唯一陸路では行かれない町である。海産物で生計を立てているが、物流は、従って海路で一度クルタ海運国へ入り、そこからロンダヌスの他の地域へ運ぶ。

 地図を見詰めるクレメントに、アーカイエスは冷淡な目を向ける。

「他にも、ライズワースは色々と都を改造している。だから、こんな地図があっても無駄だな」

 クレメントは銀の瞳をきりっ、と上げた。

「それは、既にご自分の目で、中を見られたという事ですか?」

「いや」問いに、黒い魔導師はそら恍ける。

「全体がどうなっているのか、眼鏡を何度か飛ばしたのだ」

「それで、分かった事は?」

 シェイラが、硬い声で訊いた。

「カスタの首都アレルの中心であるクリスタル・パレスは、北門に寄っている、という事だ」

「クリスタル・パレス?」

 ニーナミーナが首を傾げる。

 アーカイエスは、小馬鹿にしたような目付きで彼女に答えた。

「硝子を魔法で編み上げた、光の宮殿だ。行けばその名称の由来が判る」

「あそ」

「しかし、先程教えて頂いた位置からすると、アレルの北門へは大変な道程ですね。ミナイがここですから、ざっと三百五十キロ」

「さっ……、三百五十っ?」

 ジェイスが頓狂な声を上げる。クレメントは涼しい顔で「はい」と答えた。

「この地図で見ると」

 と、王太子は大袈裟な手振りで地図を指した。

「カスタの都は、文献によると南北が二十キロ、東西が五十キロもある、巨大都市だったそうです。更に、カスタ遺跡として現在言われていて魔物がうろついている地域の範囲は、南北約二百キロ、東西実に約四百キロ」

「げえっ」

「そんなに……?」

 一同は、改めて遺跡の大きさに驚く。

 クレメントは「そうですね」と微笑んだ。

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