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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第六章 山の民2
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11

「で、残ったのがジェイスとパッドですが……」

 クレメントは、神妙な顔付きで自分を見詰めている金髪の若者を見上げた。

「パッドはイリヤ神殿警護の騎士ですよね。で、イリヤの信徒?」

「は、はい。警護の騎士は必ず朝夕の礼拝に参列します」

「なら問題無いでしょう。心配なら魔法陣に入る時、ニーナミーナと手を繋いでいらっしゃい」

「えっ?」

 二人は、薄明かりでも分かる程赤くなって互いを見る。

 シェイラが、ぷっ、と吹き出し、ジェイスは苦笑いしながら彼女を肘でつついた。

「さて、ジェイスです。あなたは、実は一番問題無い人です。何故なら、ランダス王家はイリヤの子孫、あなたはその直系ですから」

「俺は、傍系だぞ?」

「神々の子孫の判断は外見です。神々には神力と呼ばれる魔力があります。ですが、先程も申し上げた通り、これは人との混血の際ほぼ受け継がれません。でも、神々の子孫を見極める方法はあります。ランダスの場合はその——」

 クレメントはいきなりジェイスの赤茶の髪に指を伸ばした。

 肩に掛かっていた一房を、細い指がひと撫でする動きに、ジェイスの鼓動が早まる。

「赤茶の髪です。イリヤ神の髪も見事な赤茶でした。それを受け継ぐ者は、全て直系とみなされます」

「へええ。じゃ、他の国でも、神を先祖に持っている王家の人間には、それと分かる特徴があるって訳だ」

「はい。スピルランドの王族は、皆、愛の女神ファーレンの目の色を受け継ぎました。菫色です。パンドールで菫の瞳はスピルランドの王族だけです」

「へえ……。で、他には?」

 聞き出そうと身を乗り出したジェイスを、シェイラが小突いた。

「今はそんな事に夢中になってる場合じゃないのっ。クレメント、説明もういいからさっさと行きましょう」

 現状をわきまえた彼女の言葉に、クレメントもジェイスも「はい」と頷くしか無かった。

「では、行きましょう」

 クレメントは立ち上がると、改めてリムに礼を言った。

「本当にお世話になりました。もしロンダヌスに来る事がおありでしたら、どうか訪ねて来て下さい」

「王宮に行くのは気が引ける。だが、何処かで会えればそれでいい」

 ぶっきらぼうなサッドの若者の答えに、ジェイスはあははと笑い、パッドとニーナミーナはさもありなんと首を振った。

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