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「どうしたんだ二人共?」
「王太子殿下、私達にも魔法石の奪還を手伝わせて下さいっ」
ニーナミーナの強い言葉に、ジェイス、シェイラ、クレメントは、顔を見合わせる。
「昨日、皆様が帰られた後でニーナミーナと話したんです。このまま盗られっ放しではイリヤ神殿の者として悔しいと」
パッドも、真剣な表情で言った。
「私達、騎士団長と神官長にそれぞれ許可は頂きました。殿下と伯爵がお許し頂けるなら……、いいえ、お許し頂けなくてもついて行きますっ」
「……おいおい、勝手な事言うなよ」
一筋縄では行かない賊を追うのに、手は多い方がいい。
騎士のパッドは戦力になるだろう。が、ニーナミーナはどうか?
確かに、イリヤの神官は皆戦士としての訓練を受けていると聞き及んでいる。しかし、明らかに修行途中の、しかも若い娘がどれ程の戦力になるのかは、全く疑問だ。
治癒魔法を掛ける程度にしか役に立たないのなら、足手まといである。
「相手は並大抵の奴じゃねえんだぞ。魔力は強いし。それに他にどんな仲間がいるかってのはまだ分からねえんだ。付いて来て、歯が立たないから帰りますって訳には行かねえぞ」
「分かっていますっ」
「ほんとかなぁ……」ジェイスは、わざと片眉を上げ、疑っている、という表情を作る。
「私たちだって、平素、それなりに訓練をしていますっ」
ニーナミーナが向きになる。
助け舟は、クレメントが出した。
「いいですよ、僕は」
いつものアルカイック・スマイルで、クレメントは二人を交互に見遣った。
「戦力は多い方がいいですし。それに、ニーナミーナさんは神官戦士でしょう? イリヤの神官戦士は皆さん武勇に優れ勇猛果敢と聞いています」
知っていたのか、と、ジェイスはクレメントを見る。
クレメントはジェイスの心配を読んで、大丈夫です、と軽く頷く。
王太子が許可を出したので、二人はやったとばかりに手を叩き合った。
「では、僕達はこれから仲間という事になります」
「えっ? 私達殿下の従者じゃあ……?」
「今僕は自国に内緒で動いてますんで。身分は大っぴらに出来ないんです。と言う事で、ただの旅の仲間、として接して頂けたら有り難いです」
「え? それで宜しいんですか?」
「ええ」と頷くクレメントに、ニーナミーナとパッドは、戸惑いの表情で互いを見合う。
「いいんじゃねえの? そのほうが、先々気楽だし」
ジェイスは平静を装いつつ、クレメントとより緊密になれるチャンス、と内心でほくそ笑んだ。
シェイラも笑って頷いたので、後から来た二人は「それなら」と、同意した。
ジェイス・・・大丈夫か?