表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第二章 帰還
24/153

12

「ですので、名乗ろうかどうしようか、少し迷ってしまいました。その辺りが、キリアン伯とシェイラさんに、相当怪しまれた由縁です。ただ……、今頃国で心配しているかとのご指摘なら、大丈夫です。僕がふらついて二、三日姿が見えないのはいつもの事で、城の者は慣れてますから」

 悪戯っぽく笑うクレメントに、ジェイスは盛大に顔を顰めた。

「自慢出来る事じゃあないでしょ、王太子殿下」

「と、いう訳で、ご迷惑でなければランダス国王陛下には、僕の探索をご許可願いたいのですが」

「それは、先程伯爵のお話に出た、魔法石ですか?」

 ソルニエスの質問に、クレメントは真顔で頷いた。

「はい。実は、本日昼頃、ロンダヌスのウォーム神殿から、アルクスク大神官の魔法石が、何者かの手によって盗まれました」

 クレメントは、これまでの経緯を、王とカーライズ公に説明した。

「そうだったのですか。それで、ランダスに」

「はい、賊がランダスに行ったという事は、次の狙いはランダス王の大剣かと」

「おいっ、そんな話聞いてないぞっ」

 賊がランダスに逃げたから、追って来たのではないのか。

 シェイラが腕を引いて注意するのを無視して、ジェイスはクレメントに詰め寄った。

「あんた、それ知っててここへ来たのか? 俺らを引っ張って?」

「ええ——すいません」

 謝る王太子に、ジェイスは二度目の溜め息をついた。

「で? 何でロンダヌスの次にランダスの石なんだ?」

「全ての魔法石を集めるためです。ロンダヌスとランダスは、魔法石の在り処が、まず分かっていますから」

「魔法石を、集める?」

 カーライズ公が聞き返した。

「 一体何のために?」

 公に続けて思わず問いを口にしたシェイラは、従者の身で発言した事を恥じるように口に手を当てる。

 ソルニエスは、笑顔でシェイラに頷いた。

「シェイラが言う通りです。クレメント殿下は理由をご存じなのですか?」

 クレメントは、一瞬困惑したような表情をした。が、意を決したように話し出した。

「これは、あくまで僕の推測に過ぎませんが。賊の狙いは、カスタ最後の王ライズワースが残した、強大な呪文を完成させる事だと思います」

「それは……?」

「『怒りの女神』の復活呪文です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ