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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第十二章 王女の葬送
141/153

1

「魔法陣がここまでっ!」

 シェイラの悲痛な声が、ジェイス達の戦慄を表す。

 先程まで上層からこの部屋を完全に遮断していた石造りの天井が、月が上空に差し掛かると同時に、まるで色が抜けるように透けていく。

 いつの間にか濃い闇に包まれたカスタの空に浮かんだカガスは、さながら女神の赤い瞳のように、廃墟の街の塔の地下に立つ彼等を見下ろしている。

 月は緩やかに動き、やがてその赤い光は完全に、クリスタル・パレスの真上へと来た。

 月光は次の瞬間、輝きの無い黒い光帯となって一直線に中央塔最上部の水晶球に降り注ぐ。

 水晶は黒い光を吸い込むと、回転を始めた。

 回転する水晶によって四方へ放射された光は、更に小塔の水晶に当たる。

 小塔の水晶は中央塔最上部のものと同様、光を吸い込み回転を始めた。

 九つの水晶は回りながら、黒い光を硝子の塔全体に放射する。

 輝きの無いはずの光は、何故か周囲のものの形をくっきりと浮き立たせ、ジェイス達の目にその黒く塗り潰された光景を見せる。

 バンシーに取り憑かれるよりも、更に激しい嫌悪と不安を掻き立てる、黒い光の乱舞。

 硝子の壁面を不規則に踊っていた光が、再び最上部の水晶に集まる。

 他の八つの水晶からの光を全て集めて束ねたそれが、また一直線に下へと降りて来た。

 時間にすれば数十秒の出来事である。

 中央塔の水晶の真下には、浮遊する台座がありその上には赤の魔法石で欠けを補われた白の魔法石がある。

 光が、魔法石に当たる。

 刹那、クリスタル・パレス全体が大きく鳴動した。

「はははっ! ノルオールの神気が間も無くカーナに注がれるっ! クレメント、早くその杖を台座に立てよっ! 最早抵抗は無駄。おまえの魔力を持ってしても、この迷宮の胎動は止められぬっ!」

 まるで誰かが泣き叫んでいるような塔の軋みに、ジェイス達は堪え切れず耳を覆う。

 ララも、その場に屈んで耳を塞いだ。

 アーカイエスとクレメントだけが、黒い光の降る様を、じっと睨み据えている。

 魔法石は、受け取ったノルオールの神気の乗った光を、物凄い勢いで増幅した。

 八方へと伸びた光は、階下の二つの水晶に受け取られ、立体の魔法陣全体へと流れる。

 それまで白い光であった魔法陣の文字が、その瞬間黒いものへと変化する。

 それと同時に、開いていた文字の間に幾つもの新たな文字が浮かび上がった。

「魔法陣が……、降りて来るわっ!」

 横目で上を見上げたニーナミーナが、叫んだ。

 黒く染まった上階の魔法陣は、最後の階の魔法陣を発動させるべく、文字を増殖させながら下へと降りて来る。

「クレメントっ!」

 アーカイエスが鋭く叫んだ。

 彼は大股にクレメントの側へ寄ると、ロッドを持つ手を掴み上げる。

「台座へ立てろっ!」

 腕を、魔導師にしては力のある長い指に拘束されて、クレメントは長身の魔導師を睨上げる。

 アーカイエスがぐっ、とクレメントの痩身を引く。

最終章へ突入いたしました。


ジェイス達の運命やいかに!? とか・・・

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