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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第十一章 怒りの女神
136/153

10

「大丈夫っ?」

 ニーナミーナと、彼女に魔法で解毒して貰ったシェイラが側へ来た。

 見れば二人共、革鎧やこてで覆っていないところがあちこち切れている。

 あれだけ夥しい数の妖魔と戦えば、掠り傷の十や二十は仕方ない。

「ご苦労さま」

「おう。……そっちは大丈夫か、シェイラ」

 疲れ切ってぐんなりした顔で片手を挙げる。

 と、女剣士は苦笑した。

「おかげさまで」

「あー、魔法石見事に真っ二つねー」

 シェイラを支えたニーナミーナが、溜め息混じりに言った。

「しょーがないんだけどねえ。ちょっともったい無かったかも」

「ぶった斬れって言ったの、ニーナじゃないか?」

 剣を納めたパッドが笑い含みに言う。

「まあ、そうなんだけど」

「それにしても、ニーナミーナ、よくあんなに連続して魔法唱えられたわね?」

 面白そうに顔を覗かれて、ニーナミーナは眉を釣り上げた。

「シェイラさん、あたしだって神官ですから、あれくらいの魔法は使えますのよ?」

「あら、そうですの? それは大変失礼を致しました」

 女二人は、惚けて顔を見合わせ、笑い出した。

「ったく」

 ジェイスも釣られて苦笑いする。

「さて。いつまでもここで呑気にしてられねえな。——っしょ……」

 立ち上がろうと手を掛けた瞬間、台座がずるりと向こう側へ滑った。

「おわっ!」

 その下に出現した穴に、ジェイスは転がり落ちる。

「ちょっとっ! 大丈夫っ?」

 シェイラ、ニーナミーナ、パッドは慌てて中を覗いた。

 それは、下の階へと続く階段だった。ジェイスは、折れ曲がった階段の踊り場まで転がり、止まった。

「ったー……。ああ、何とか大丈夫だ」

 シェイラが駆け足で降りて来た。

「何処か打った?」

「……頭を」

「ああ、それなら治す必要無いわね。少しは良くなったかも」

「あのなあ……」

 冗談を言いながらも、女剣士は主の頭を指で触り、傷の有無を素早く確認する。

 すぐに、ランタンを点けたニーナミーナが降りて来た。

「怪我あった?」

「いえ、大丈夫。段があんまり無いし。それより、こんな事くらいで怪我するような人間らしい身体してないわよ、この人は」

 イリヤの神官は「そーだね」と吹き出した。

「ったくなあっ。何言ってやがんだってのっ。いてーのは俺だろーがっ」

「はいはい。で、お手柄のジェイスさん、これ、下へ降りる階段よ」

「おう。んじゃいっちょう、身勝手な王太子さんを助けに行きますか」

 ジェイスは立ち上がる。

 他の三人と頷き合うと、彼は下の階へ向かって歩き出した。

ユガーか、ジェイス・・・(汗)

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