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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第十一章 怒りの女神
127/153

1

 東の部屋の階段から、一同は更に階下へと下った。

 上階と同じように、到着した部屋には壁と床に文字が書かれていた。

 クレメントとアーカイエスが見たところ、上と同様の碑文だというので、そこは早々に出る。

 やはり通路を通って出た先は、左右に分かれた湾曲した通路だった。

 壁と床はそれまでの階とは異なり、全て白い漆喰が塗られている。

 天井に当たる部分には、上階の魔法陣がそのまま乗っていた。

「なあに? 今度は本格的に迷路?」

 上からの光に照らされている細い通路内を見回してニーナミーナが眉を顰める。

「結界で魔物が出ないのがせめてもの救いね。こんなところで襲われたら、身動き出来ないもん」

「じゃあ気をつけないと。ここは結界がありません」

 ニーナミーナが、いや、彼女だけでなくジェイスやパッドも、ぎょっとしてクレメントを振り返った。

「おいっ、どっから結界無くなってたんだ?」

「ここからですよ。どうしてかは判りませんが、この階は何も施されてません」

「じゃあ、この通路に魔物が出るかも知れないんですかっ?」

 真面目な若い騎士は、険しい表情で尋ねる。

 アーカイエスが白けた顔で答えた。

「上の階に結界がされているのだ。隙間や外の通路との連絡が無い限り、ここに魔物が入って来る可能性は低い。判りそうなものだが?」

「そう……、ですよね」

 自分の慌て振りを、パッドは恥じ入る。

 シェイラが、ふと足元に屈み込んだ。

「これ……?」

 彼女は天井部分からのちらちらとする光に当たる床面を指で辿る。

「この通路、もしかしたら円形になってるのかしら」

「何だ、どうした?」

 ジェイスは親友の隣にしゃがむ。

「これ、魔法文字よ。この並びだと多分、この通路一杯に描かれてるわ」

 見ると、白い漆喰の上に細い線で彫り込まれた文字が、びっしりと並んでいる。

 クレメントも、彼等の隣に屈んだ。

「なるほど、とすると、ここは上部の魔法陣を更に強化するための場所ですね」

「……その通り」

 アーカイエスが低く言った。

 クレメントは、弾かれたように黒い魔導師を振り仰ぐ。

 アーカイエスは赤い瞳でクレメントの銀の瞳を見返すと、くっ、と笑った。そのまま、灰色の外套を翻し大股で通路を歩き出す。

 クレメントの背中を、冷たいものが駆け上がった。

「ちょっとっ! 何処行くのよっ!」

 連絡通路から見ていたニーナミーナが呼び止める。が聞こえない振りで、アーカイエスは足早に歩き続ける。

「——いけない」

 クレメントは低く呟いた。

 立ち上がり、小走りに駆け出した王太子を、ジェイスは慌てて追った。

「おいっ、待てってっ!」

「どーしたのよっ?」

 ニーナミーナが怒鳴る。

 三人が歩き出すのを、残りの者も追い掛けた。

 アーカイエスは、迷う様子も無く左側の通路を進み、水晶球の台座の右手へ折れた。

「アーカイエスっ」

 先に部屋の見える連絡通路の中で魔導師を捕まえたクレメントは、厳しい表情で尋ねた。

いよいよ大山突入です!!

ジェイス、頑張ってくれ。

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