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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第九章 クリスタル・パレスへ
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「一遍に確認出来る魔法って、ないの?」

「それは無いわね」

 シェイラが苦笑した。

「……罠だとか、無いですか?」

 心配したパッドに、アーカイエスは素っ気なく「ないな」言い切った。

「ここまで入れる人間は、そういない。更に魔法で仕掛けがしてあるには違いないが、既に選別はなされているのだ、わざわざ危険な罠を仕掛けるのは、通常考えて必要がない」

「まあ、ここはまだ結界内で妖魔もいませんから、ひとつずつ確認して行きましょう」

 言うと、クレメントはさっさと一番近い右手の塔へと入って行く。

 その背へ、ジェイスが怒鳴った。

「おいおいっ! 何処行くんだよっ?」

「何処って……、水晶を調べるんですが?」

 判り切っているだろうに、何を訊くのかという顔で、クレメントは返す。

「って、俺らは他のとこへ回ればいいのか?」

「ああ——すいません。魔力が無ければ多分水晶に近付いても無駄です」

 クレメントは、単に事実を述べただけだが、言われたジェイスは、その直裁な言い方にむかっと来た。

「じゃあ、どーしてろってんだっ」

 低く唸った彼に、クレメントは表情を変えずに答えた。

「そうですねえ。取り敢えずそこで待ってて下さい」

 アーカイエスは安全だと言ったが、魔法の罠が無いとは限らない。

 魔法は魔力がなければ感知出来ないし、もし狭い空間でトラップが発動した場合、魔力の無いジェイスを完全に庇い切れるかどうか、クレメントには自信が無い。

 好きな人を危険に曝すより、安全な場所にいて欲しいと思っての提案だった。

「はあ?」

 だが素っ気なく用が無いと言われて、ジェイスは声を荒げた。

「そりゃねえだろーがっ! 何か手が要るだろっ、護衛とかっ?」

「必要ありません」

 クレメントとしては、ジェイスの申し出はとても嬉しいが、敢えてにべもなく断る。

「なにいっ?」

 それ以上言うべき言葉が見付からなくて、ジェイスは塔に入るクレメントの背を睨み付けた。

「ったくよお……」

 愛しい人の素っ気ない態度は、結構ジェイスの自尊心を傷付けた。

 ただ、側に居たかった、クレメントの手助けをしたかったのだ。

  ぶつぶつ文句を言っている大男を横目に、アーカイエスが、

「こちら半分は引受ける」

 と、クレメントとは反対側の塔へと動いた。

 その態度に、嫉妬心がムラムラと涌いてくる。

「ちくしょうっ、魔力があるからって……」

 ジェイスと王太子のやり取りに忍び笑いをしていたシェイラだが、思い立って声を上げる。

「あ、ねえっ! 魔力があれば何とかなるの?」

 クレメントは、東の塔への入り口から顔を出して、

「古代語魔法が使えれば」と返した。

「じゃあ、私も手伝うわっ」

 シェイラは一番奥の北の塔へと走って行った。

久々の次話投稿となってしまいました(汗)

まあだ、全員クリスタル・パレスの入り口でうついております。

もう少しすれば、中へと入るはず、です。

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