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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第九章 クリスタル・パレスへ
106/153

7

 二人の後に続き、残りの者も橋に乗った。

 アーカイエスが言った通り、虹色の光の橋は普通に歩いて渡る事が出来た。

 ただ、普通と大きく違うのは、進む先から後方の部分が消えて行く事と、飛行形の魔物が、これも彼が言った通りひっきりなしに襲撃して来る事だった。

「ほんとっ、悪魔の橋だわこれっ!」

 橋の中程で、邪眼鬼と呼ばれる片目の小型の悪魔を切り落としながら、シェイラが毒づいた。

「ヒポグリフだのガーゴイルだの、おまけにこの小悪魔っ! もーあったま来ちゃうっ!」

 ニーナミーナが、怒鳴りながらモーニングスターを振り回す。彼女の武器は急降下して来る小物の妖魔には威力絶大で、一振りで四、五匹ずつ叩き落とした。

 一方クレメントとアーカイエスの魔導師二人は、ガーゴイルやヒポグリフといった、大型の妖魔を雷撃の呪文で退けた。

 パッド、ジェイスの騎士二人は、それぞれ一行の先頭としんがりで、近くの廃墟から橋に飛び移ろうとするボガードやライカンスロープ、それにワイトやグールといったアンテッドなどを切り伏せる。

 ララは、防御の呪文を皆に唱えひたすら援護に回った。

「キリがありませんねっ、これっ!」

 五匹目のガーゴイルを雷で仕留めて、クレメントは二人分前で戦っているアーカイエスを見た。

「いっそ走って抜けた方がよかありませんかっ?」

「そのようだな」

 ララを庇いつつ、ヒポグリフ二体を相手にしていたアーカイエスが同意する。

「まず邪眼鬼を散らさなければな」

 黒い魔導師は、短い呪文を唱え掌程の雷球を作り出した。

「パッドっ!」

 先頭でボガードと斬り合っていた若者に声を掛ける。

「これを私が投げたら、走り出せ」

 意味を察したパッドは頷くと、相手をしていたボガードを長剣の先で突いて橋から落とした。

 アーカイエスが雷球を投げた。宙に放り上げられた雷は、急激に巨大化し直系一メートル程となったところで炸裂する。

 巻き込まれた邪眼鬼が、次々と落ちる。その様を見て周囲の妖魔が霧散するのを確認すると、パッドは一目散にクリスタル・パレスへと走り出した。

 続いて、アーカイエスがララを促して走り出す。

 二人に追い抜かれたのに気が付いたニーナミーナが、武器を振り回しつつ怒鳴った。

「あっ、ずっるーいっ! こっちは手一杯だってのにっ! パッドの薄情者っ!!」

「大丈夫ですよ」

 もの凄く素直に感情を吐露するニーナミーナに、クレメントが苦笑する。

「ちょっと細工しますから。シェイラさんも一緒に走り出して下さいっ」

 言うなり、彼は火球を連発で空中に炸裂させた。威力は小さいが音と熱が高い火の魔法に、驚いて小悪魔達が一斉に引く。

 その機を逃さず、女性二人は走り出した。

 だが、しんがりのジェイスは、ボガードの他にライカンスロープ二匹を相手にしていたため、そのタイミングに間に合わなかった。

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