7
二人の後に続き、残りの者も橋に乗った。
アーカイエスが言った通り、虹色の光の橋は普通に歩いて渡る事が出来た。
ただ、普通と大きく違うのは、進む先から後方の部分が消えて行く事と、飛行形の魔物が、これも彼が言った通りひっきりなしに襲撃して来る事だった。
「ほんとっ、悪魔の橋だわこれっ!」
橋の中程で、邪眼鬼と呼ばれる片目の小型の悪魔を切り落としながら、シェイラが毒づいた。
「ヒポグリフだのガーゴイルだの、おまけにこの小悪魔っ! もーあったま来ちゃうっ!」
ニーナミーナが、怒鳴りながらモーニングスターを振り回す。彼女の武器は急降下して来る小物の妖魔には威力絶大で、一振りで四、五匹ずつ叩き落とした。
一方クレメントとアーカイエスの魔導師二人は、ガーゴイルやヒポグリフといった、大型の妖魔を雷撃の呪文で退けた。
パッド、ジェイスの騎士二人は、それぞれ一行の先頭としんがりで、近くの廃墟から橋に飛び移ろうとするボガードやライカンスロープ、それにワイトやグールといったアンテッドなどを切り伏せる。
ララは、防御の呪文を皆に唱えひたすら援護に回った。
「キリがありませんねっ、これっ!」
五匹目のガーゴイルを雷で仕留めて、クレメントは二人分前で戦っているアーカイエスを見た。
「いっそ走って抜けた方がよかありませんかっ?」
「そのようだな」
ララを庇いつつ、ヒポグリフ二体を相手にしていたアーカイエスが同意する。
「まず邪眼鬼を散らさなければな」
黒い魔導師は、短い呪文を唱え掌程の雷球を作り出した。
「パッドっ!」
先頭でボガードと斬り合っていた若者に声を掛ける。
「これを私が投げたら、走り出せ」
意味を察したパッドは頷くと、相手をしていたボガードを長剣の先で突いて橋から落とした。
アーカイエスが雷球を投げた。宙に放り上げられた雷は、急激に巨大化し直系一メートル程となったところで炸裂する。
巻き込まれた邪眼鬼が、次々と落ちる。その様を見て周囲の妖魔が霧散するのを確認すると、パッドは一目散にクリスタル・パレスへと走り出した。
続いて、アーカイエスがララを促して走り出す。
二人に追い抜かれたのに気が付いたニーナミーナが、武器を振り回しつつ怒鳴った。
「あっ、ずっるーいっ! こっちは手一杯だってのにっ! パッドの薄情者っ!!」
「大丈夫ですよ」
もの凄く素直に感情を吐露するニーナミーナに、クレメントが苦笑する。
「ちょっと細工しますから。シェイラさんも一緒に走り出して下さいっ」
言うなり、彼は火球を連発で空中に炸裂させた。威力は小さいが音と熱が高い火の魔法に、驚いて小悪魔達が一斉に引く。
その機を逃さず、女性二人は走り出した。
だが、しんがりのジェイスは、ボガードの他にライカンスロープ二匹を相手にしていたため、そのタイミングに間に合わなかった。