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地下迷宮の女神  作者: 林来栖
第九章 クリスタル・パレスへ
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 翌朝早く、一同はまずカスタへ入る許可を得るために、地方官の庁舎へ行った。

 昨日、紹介所で許可証を貰い損ねていたのに気が付いたのは、ララだった。

 朝食を早めに済ませ、ジェイス達は紹介所へと向かった。が、そこで所長に意外な事実を知らされた。

「審査証はウチで出してるが、許可証は庁舎じゃなきゃ発行してないよ」

 道理だった。

 ミナイの紹介所が冒険者の審査を任されてはいるが、さすがに国王の代行印の入った許可証までは、民間では取り扱えない。

 許可証発行は、ローハンド子爵家のミナイ出張官吏が行っていた。

 紹介所から予め技量合格の通知がされているパーティだけが、通行許可証を発行される。

 更に、最近では技量を紹介所で認められたパーティでも、遺跡内で全滅するケースが目立って来たという。そのため、念には念というらしく、庁舎でも再度の技量審査が行われていた。

 ジェイス達は、午前中二番目で庁舎に入ったが、先に入った組より早く許可証を出して貰えた。

「やっぱり能力が違うわよねえ」

 一番の組の魔導師が火球の呪文の詠唱に手こずっていたのに反し、後から入ったクレメントとアーカイエスがいとも簡単にやって退け、さっさと検定を終わらせたと聞いて、ニーナミーナはさも自分の手柄のように胸を張った。

「ジェイスとシェイラだって、武技の検定をあっさり終わらせたしねぇ」

 うんうん、と一人悦に入るニーナミーナに、シェイラは苦笑する。

「そういうニーナミーナは、光の呪文で引っ掛かってたわね」

 審査は庁舎の中庭で、異なった能力者が同時に受ける。

 シェイラが武技の審査を受けている時に、すぐ隣でニーナミーナが呪文審査を受けていたのだ。

 神官と巫女は、光の魔法の習得度を測られる。地下に潜む小物の妖魔には、光に弱いものが多数いるからだ。

「だっ、だってしょうがないでしょ。イリヤの神官は皆戦士で、他の神殿の神官とは修行自体違うんだからっ」

 確かに、イリヤの神官は他の神殿の神官とは異なり、呪文の習得よりも武技と神学に修行の重きを置く。それは、イリヤが戦の神であると同時に、知の神であるということから来ていた。

「私だって、武技で審査されてればあんなに時間掛からなかったわよっ。でも神官だって言ったら、自動的に光の呪文の審査を受けさせられちゃったんだもの」

 ぶうっ、と膨れたニーナミーナに、パッドが「そうだよね」と同情した。

「そう言や、ララは逆に早かったな?」

 仲間で、一番最初に審査を通過したのは、実はララだった。

 ジェイスにその事を振られて、ララは赤くなる。

「あ……、ファーレン神殿とウォーム神殿の神官と巫女は、光の呪文を唱えられるのが必須ですから……」

「ララは魔力が強い。光の呪文なら、詠唱無しでも発動出来る」

 更に彼女を褒め讃えたアーカイエスに、ニーナミーナはますます膨れる。

「まあ、とにかくみんな予定通り許可証は貰えた訳ですし、次の仕事に掛かりましょう」

 これ以上こじれてはまた問題と思ったクレメントが、苦笑しつつ話題を切り上げた。

新章へ突入しました。

いよいよ、カスタ最強にして最悪のダンジョンへ!!

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