17話 図書館
今日はイアと買い出しに来ているが、結構買い込むとかで一時別行動中だ。私は図書館でお留守番をしている。イアからはきつくここから動かないように言われていた。
「図書館って言ってもな……まだほとんど文字読めないし」
安全だからという理由で、私はここに放置されたのだろう。図書館は娯楽施設でありながらも、警備はしっかりしていて持ち物検査もされた。
夕方で家族連れも多い時間だ。絵本を読みに行くのはちょっと恥ずかしい。絵本以外に、私が読めるものと言えば……図鑑の類か。図鑑なら写真なり絵なりが多く載っているはずだ。
案内は見ても分からないから、棚を一つずつ覗いていく。
「何かお探しですか」
松葉杖で棚の間をうろうろしている姿が気になったであろう親切な女性が話しかけてくれる。制服みたいな服を着ているから、司書さんかもしれない。
「ちょっと図鑑を探してて……」
「何の図鑑になりますか?」
何でもいいんだよなぁ。暇潰しになれば。
「魔法とか魔術に関するものってあります? あっ、できれば図が多いやつで」
「ございますよ。こちらです」
お姉さんの後をついていく。そこそこ主流なテーマなのか、入り口に近い方にあった。
「こちらとかいかがですか。写真がメインになるので読みやすいかと思います」
「ありがとうございます」
お姉さんは机まで本を運んでくれた。良い人だ。私は椅子に腰掛け、選んでもらった本を開く。サイズは手のひら二つ分くらいの大きなサイズ。
どうやら魔法・魔術の解説本というわけではなく、芸術的な瞬間を切り取った写真集に近いものだった。さっきのお姉さんは、私が文字を読めないと何となく分かったのかもしれない。
やはり目を引くのは、カーリーも使用していた炎を操る魔術だ。写真映えというやつ。これなんか、夜に撮ったんだろう。炎の明るさが引き立てられている。
絵になりやすいと言うと、氷系の魔術も芸術点が高い。北の地方に行ったら、こんな光景も見れるのかな。……イアに言えば一発で再現してくれそうだな。
「ぉ、花火だ」
炎なのか光なのか、原理は分からないけど打ち上げ花火のような写真もある。
次は蛍が待っているような神秘的な写真。戦闘には役立たないかもしれないけど、こうゆう魔術って素敵だな。
「何か面白い本でもありましたか?」
「うわっ!?」
気配もなくいきなり後ろから声をかけてくるもんだから、図書館なのに大きな声を出してしまった……。
「イア……脅かさないでよ」
「私は普通に近づきました。欲しい本があったなら、本屋で買いますが」
「ううん、大丈夫。それにしても買い物早かったね」
「シーを一人で待たせるのは心配で……。急いで食材をゲットしてきました」
「一人で待つくらいできるよ」
イアが「ダメです」と過保護になる。
「本は片付けてもよろしいですか?」
「うん、ありがとう」
両手が塞がってる私の代わりに、イアが写真集を棚に戻してくれる。
「待たせた代わりに、シーの欲しいものを何か買って帰りましょう」
「そんな待ってないって」
代わりと言わなくても、私がただ欲しいと言えばイアは買ってくれると思う。大金を私に預けるくらいだからね。
図書館の外に出ると、空は綺麗な夕焼けだった。
「さて、何が欲しいですか?」
「いいよ、無駄遣いしないで」
「私、こう見えてお金持ちなので気遣いは無用です」
本当に特段欲しいものないんだよな……。
「じゃあチョコ。チョコレートが食べたい」
「そんなものでいいんですか?」
「うん、今日の夜、一緒に食べよう」
通りがかりの店で、イアは何種類かチョコレートを買ってくれた。一つでいいのに。食べきれないよ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
今夜はさっぱりしたお茶を淹れてもらおう。あとはせっかくだからチョコの食べ比べをして、ちゃんと歯磨きをして眠ろう。




