待ちに待った初登校日と二人の弟
朝が来た。いよいよ待ちに待った初登校の日だ。
これからどんな日々が待ち受けているのだろう。楽しみだな。前の学校ではうまく馴染めなかったけど、今回は違う。頑張って友達を作ろう。そして青春を謳歌する。
僕はガッツポーズを取って、布団を剥がして起きた。母さんが用意してくれている服に着替えて部屋を出る。別の部屋から二人の弟が出てきた。
「にーちゃん、おはよーござる?」
「おはよーです、にーに」
「二人共、おはよう」
舌足らずで言葉の使い方に慣れていない様子。覚えたての言葉を使っているように聞こえる。
まだ幼い二人は人懐こくて可愛さが残っている。僕とは大違いだ。
「今日の朝ご飯何かな」
「わかんないー」
「ぼくもわからんですー」
僕は目を閉じて鼻を利かせてみる。甘いような、塩辛いような、それでいてとても食欲をそそられる匂いだ。僕の大好物に違いない。
「匂いでわからない? ……これは卵焼きの匂いだ!」
「たまごやきー」
「やったーです」
弟たちは喜んでいる。子供は素直だなあ。僕も昔はこんな感じだったのだろうか。
いや、昔といっても僕は小学生なのだけど。ちょっぴり変なだけで。
「にーちゃん、はやくいこー」
「にーに、はやくするです」
弟二人に両腕を引っ張られ、階段まで引きずられる。元気なのはいいことだけど、少し強引な弟たちにたじたじとしてしまう。兄を困らせるのが弟の仕事みたいだ。
「まあまあ、危ないからゆっくり行こう? 逃げたりしないから」
「ほんと?」
「にーに、にげないです?」
「ほんとほんと。逃げないから」
苦笑いで応対する。弟二人も納得してくれたようで、手を離してくれた。代わりに手を繋いだ。二人はニパッと笑って僕の手を引いた。
こんなに仲良くできるのは、今の間だけだろう……。もう少しすれば反抗期が来る。