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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第5話 襲撃

本日も投稿させていただきます。

「モンスターか?」

ガシスは手元にあった武器を構える。


「周辺の大気の魔力を感知していますが、これはモンスターの感じでは無いです。まずい、これは人……」

突如、黒のフード姿の二人が現し、ガシスとアインの喉元に刃を突き立てた。


「ちっ……盗賊」

ガシスは舌打ちした。


「動くな……下手な真似をすれば、首が飛ぶぞ」


ガシスを捕らえている黒のフード姿からは、落ち着きのある、低音の男の声が聞こえてきた。声の質から言っても、中年以上であるとガシスは理解する。


「要件は何すか?」

アインは額に汗をにじませつつ、尋ねた。


「行商人を狙う理由なんて明白。品物を頂くこと以外無いでしょ? ほら、お爺さんの方は剣を離して抵抗しないように」

アインを捕らえている方の男からは若い声が聞こえてきた。


「くそが」

ガシスは剣を手放した。刀身がカランと音を立てて、横たわる。


「ガシスさん! アインさん!」

物音に気付いたリッツが、急いで自分の剣を手に取り、ガシスの元へ駆けつけて、目を丸くする。


「動くな! 下手な真似をすりゃあ、こいつらの命は無いですよぉ」

若い男がアインに刃物の切っ先を向けつつ、リッツを脅した。


「条件はなんだ?」

リッツは恐る恐る男達に尋ねた。


「荷馬車に積んでいる、武器全般だ。取引さえ成立すれば、血を見ることは無い」

中年の男がリッツに条件を提示する。リッツはアインとガシスの顔をチラリと見る。アインは目を大きく開き、閉じた唇がプルプルと震えている。一方のガシスは無言で、表情一つ変えずにじっと見ている。


「……分かった。武器を渡す代わりに、二人の安全は保障しろ」


「良いですよ。ただし、あんたが変な動きさえしなければね。それでいいですよね?」

若い男が中年の男に尋ねる。


「ああ、交渉成立だ。出てきて良いぞ!」

中年の男が叫ぶと、すぐさま、4人の黒のフード姿の集団がガシス達の背後から現れた。現れた男達には、それぞれが大きなリュックサックを背負っている。


「品物の運搬、お願いします!」

若い男が叫ぶと、一斉に品物の回収が行われる。回収している間のアインは明らかに落ち込んでいた。


「順調そうですね。ああ、そうだ」

アインを捕らえていた若い男は、リッツが握っている剣を見た。剣の刀身は、リッツの背丈の半分ほどの長さで、剣の青い柄は上腕ほどの長さを有している。また、鞘には刻印と、獅子の絵が描かれている。


「あれも運びましょう。あとは爺さんが落とした剣もね。交渉成立後に反撃でもされたら、困りますし! 武器は徹底的に奪いますよ!」

リッツが握っている剣の柄に、フードを被った一人の人間が触れる。


「ほら、離してください」

若い男がリッツに武器の放棄を催促する。リッツは眉間に皺を寄せながら、剣を手放した。


かくして、黒いフード集団はすべての武器を強奪し、その場から去っていった。


「一応、全部回収できたようですね。彼ら自身も武器を隠し持っていなかったようですし」

若い男が中年の男に尋ねる。


「ああ。取引は成立だ」


「もう分かっただろ。さあ、二人を離せ!」

青年リッツは珍しく、声を荒らげた。


「ああ、そうだな」

中年の男はそう言うと、ガシスを開放した。それにつられて、若い男もアインを開放する。


「アインさん、ガシスさん!」

リッツは、二人に駆け寄ろうとしたその瞬間、後頭部に衝撃を受けて、視界がぼやけた。


「こい……つ……」

リッツは瞬時に理解した。隠れ潜んでいた人間の一人が自分を仕留めたことに。


「すみませんね、俺らの足跡そくせきを取られても困るんでね」

リッツは遠のく意識の中、若い男の声をかろうじて聞き取った。ぼやける意識では、ガシス、アインがフードの男達に峰打ちを喰らっているように見えた。

そのまま、リッツは意識を失った。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

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