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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第28話 まさかの遭遇

本日も投稿しました。よろしくお願いいたします。

「申し訳ございません! アマネですが、勇者様との打ち合わせがありまして。出ることができないようです」

神官のカリオスは、大変申し訳なさそうにリツとブライに謝罪した。リツとガシスはピクリと眉間がピクリと動いた。


「では、次の機会に相談できねえのか?」

ガシスは顎に触りながら、しれっと尋ねる。しかし、リツは知っていた。ガシスが顎に触る時は少しだけ焦っていることに。


「それも未定でして。アマネは構わないと言っているのですが、周囲の皆さまがあまり良く思っていないようでして。今は大事な時期だから、得体の知れないものをおいそれと勇者やその周辺人物に近づけることに抵抗があるようです」

リツはカリオスの返答を聞いて、周囲の皆さまがどのあたりを示すのか、なんとなくではあるが、察しがついてしまった。


「レイの武器をよく見てくれ。お前さんも聖職者であるなら、この剣が禍々しいものかどうかぐらいは判別できるはず。決して害はねえと思うがな。ただ不思議な感じがあるだけ」

ガシスは少しだけ食い下がってみる。このまま未定だと、剣のブライがどんなことをしでかすか分からないことは理解しているから出た発言だとリツ(レイ)は認識する。


「ええ、私もそう思うのですが、やはりそれでもとのこと。どこからほつれてしまうのか。不安でしょうがないのです。現にガシスさんもご存知でしょうが、すでに勇者の一人が脱落していますし、どんなところから崩れるか……本当に申し訳ありません。私で対応できたら良かったのですが……」

ガシスとリツは黙り込むしかなかった。カリオスの回答は、彼らを黙らせるのには十分すぎるほどのものであったのだ。特にリツはぐうの音も出ない。リツの心は思いっきり揺さぶられ、注意が散漫となってしまう。


しかし、ブライだけは違っていた。


「……オイオイ、ジイサン。そりゃあ、ねエぜ」

レイが突如として声を発したことに、ガシスとカリオスは目を見張る。リツは突然として自分の身体の統率権を切断されたことに怒りを感じた。


『馬鹿!! 何をしているんだよ!』

リツはカリオスの言葉に揺さぶられて、注意が散漫になってしまったことを悔やんだ。その瞬間こそ、ブライに統率を取られてしまう隙になってしまうためだ。


(リツ、オレがこのまま引き下がれると思ってンのか? オレはそんな玉じゃねエ。どうせ無理なら、せめて少しだけ抗わせてもらう)


「レイ殿、急にどうされたのですか? それにその声、聞き覚えが……」

カリオスの違和感に、リツは激しいため息をついた。


『はぁ。最悪だよ』

意識上のリツはため息が止まらない。


「無理なものは無理よ」

そこでガチャリと扉が開かれた。3人のやり取りを聞いていたと思われる、茶髪のロングで猫目の女性が入ってきたんのだ。


茶色のロングブーツをコツコツと音を鳴らして、薄緑色の外套をはためかせる。なびく外套の隙間からは白のショートパンツとわずかに見える肌色の太もも、髪をかきあげながるそのしぐさに妙な色気が漂っていた。その一方で、そんなことはお構いなしと言わんばかりの凛とした、強い表情をその女性は浮かべていた。


「このネーチャンは誰なんだ?」

ブライは入ってくる女性のことをカリオスに尋ねる。それと同時にリツの激しいため息が聞こえてくる。


『最悪の中の最悪だよ、ブライ!!』

珍しく怒気の籠った言動を見せるリツに、ブライは少し戸惑った。


(どうしたんだ、リツ。このネーチャンとなんかあったか? つーか、ガシスのオッサンも固まってしまったぞ)

これまで平然としていたガシスの目が大きく見開かれていた。


その時、茶髪の女性は足を止めた。そこから、ブライをまじまじと眺めた後に額に手を置いて、やれやれと顔を横に振る。


「驚いたし、呆れたわ。どうして、あなたがこんなことをしているの? ねえ、ふざけているの?」


女性の言動を観察していたブライはリツに尋ねる。


(おい、知り合いか? いや、待て。ここでの知り合いって、まさか……)


『そのまさかだよ。この人は俺と同じ勇者。名前はカナエさんだ』


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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