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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第25話 旅する約束

本日も投稿しました。よろしくお願いいたします。

エリュマントスを討伐したリツ達はセレスを連れて、無事に帰還した。

これに伴い、封鎖された首都への通路も解禁され、無事に流通が再開された。


「リツ、荷物の方はすべて載せたよな?」

ガシスは荷馬車を眺めながら、荷馬車の中にいるリツへ尋ねた。


「はい、こちらは大丈夫です。すべて載せました」

リツは荷馬車の背後から降りて、ガシスに返事をした。それを聞いたガシスはうんうんと小さく、首を縦に振った。


「そんじゃあ、そろそろ出発するか。遅くなると、首都に到着するのが暗くなっちまう」


ガシスは荷馬車の先頭に乗り込み、手綱を握る。リツもガシスの隣に乗り込もうと荷馬車の後ろから先頭に向かって回り込むように歩き出した。すると、1人の女性が荷馬車の側に立っているのに気が付いた。


「怪我の方は大丈夫そうですか?」

リツは女性に声をかけた。その女性はエリュマントスとの戦闘で負傷した女性、セレス・マゼンタであった。


「リツ君の応急処置のおかげで、大事には至らなかったわ。おかげでもう歩けるようになった」

セレスは右腕を折り曲げて、力こぶを見せるような仕草を見せて、無事であることをアピールする。


「あまり無理はしないでくださいね」


「大丈夫よ。今回の戦闘で、結構な報奨金をもらえることになったしね。あとは小さな討伐依頼を何度かこなせば、目標金額まで到達するわ」

今回の一件で、一時的に首都への流通が途絶えた。それに伴い、供給不安で首都は焦りを感じたのだが、大事に至る一歩手前でリツ達が討伐したことで事なきを得た。このことで、首都への流通の重要性を感じた国家は、報奨金を上乗せするように指示したのだ。


その上乗せされた報奨金で、セレスは目標金額にかなり近づいた。


「金が溜まったのは分かるけどよ、そこからどうするンだ?」

リツの身体を経由して、ブライも顔を出して尋ねた。


「実はそこからが本番で。飛行艇に必要な素材集めをしないといけないの。そのために旅に出る」


「すげえバイタリティだな」


「悪い?」


「いや、良いと思うぜ。そうだ。その旅、俺らも手助けするか?」


『ブライ、また勝手な事を……』

身体の内側から、リツはブライをたしなめた。


(良いじゃねえか。今回の首都行きで俺は元の身体に戻ったら、記憶を取り戻すための旅をすることに決めてンだ。オマエだって、行商人として世界をめぐることをガシスさんに言ってたじゃねえか)


『確かにそうだけれど……』


「良いの?」


「俺らも世界を回る旅に出ようと思ってンだ。それに、女一人の旅は危険だろ? 俺らが護衛役になるし、あんたの飛行艇とやらも見てみてエ」

空を見上げながら言うブライに、セレスは瞬きを繰り返した。


「なんだ、ダメか?」


「本気?」


「男に二言はねえ。リツもそう言っている」


『また、そんな勝手なことを』

リツは呆れたようにため息を吐いた。


「リツ、もたもたしていると……ってお前さんはブライか?」

荷馬車の先頭から顔を出したガシスは男女が話しているのを目撃して、なんとなく気まずくなり、顎の髭を手でさすった。


「すまねえ、ジイサン。すぐに乗り込むよ」

ブライは返事した後に、懐から小さな緑の魔石をセレスに渡した。


「コイツは俺らの居場所を感知する石でな。オレらの近くにいると、色が変わるようになっているンだ。ひと月ほどはここら辺を滞在しているから、もしその期間で都合が合えば、この石を辿ってきて、オレ達に会いに来てくれ。今からここを離れるが、色の変化に注意してくれよ。その変化の逆がオレ達に接近する方角だから。そンじゃあ」


ブライは颯爽と荷馬車に乗り込んで、馬を走らせた。


「変わった人達ね」

セレスは手元の魔石が緑から黄色、青に変わっていくのを見届ける。


「まあ、それは私もか」

セレスは遠のいていく荷馬車を見る。その瞳には輝きが灯っていた。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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