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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第23話 銃という武器

本日も投稿しました。よろしくお願いいたします。

「これで終わりです。動けますか?」

リツがセレスに治療を開始して40分が経過していた。

セレスは負傷箇所を気にしながら、立ち上がった。


「うん。これまでよりずっと楽。これなら、自力で戻れそう」


「一応、戻るまで同行しますよ。ガガンさん達から合流地点を聞かされていますし。みなさん、セレスさんのこと、心配してましたよ」

治療中、リツがセレスを発見するまでのいきさつを説明した。

リツとブライが最初に発見したのはセレスではなく、ガガン達、負傷者だった。そこでガガン達からこれまでの経緯を聞いて、急いでセレスの救援に向かったという説明である。


「ネーチャンの事、みんな、心配していたぞ。さっさと元気な姿を見せてやれ」

急にリツとブライが変わって切り替わり、ブライがセレスへ助言を送る。


「!? そっ、そうね。というか、いきなり変わるの、心臓に悪いから……」

セレスはいきなりのことで、戸惑ってしまう。


「ああ。すまねエな。次から気をつけるわ……切り替わるぞ」

すっと、目つきも穏やかになる。


「では、ガガンさんと合流地点まで行きましょう。荷物は俺が持ちますので」


「ありがとう。荷物はガガンさん達が避難のために利用できるように、ガガンさん達にほぼ託していたの。だから、武器ぐらいかな」


「わかりました。では、運びますが、その武器はどこに?」


「エリュマントスに吹き飛ばされた時に手放してしまったんだけれど……」

セレスはキョロキョロと周りを見渡した。


「多分、あのあたり。形状は黒い筒状のものなの。おそらく、リツ君にとっては見た事ない、武器かもしれないけれど……」

セレスは木々が激しく押し倒されている、南東の方角を指さした。


リツは、その方角にむけて速足で移動し、捜索を開始した。そして、探し始めて数分後にはその武器を発見した。


『リツ、これか?』

ブライはリツに尋ねる。


リツは黒い筒上の武器を持ち上げて、その感触を確かめる。


「うん。間違いない。この形状は銃だ」


リツはセレスの元まで即座に戻った。


「セレスさん。この武器ですか?」


「ええ、そうなの。よく分かったわね」


その瞬間、リツの目つきが鋭くなる。


「リツから切り替わって聞きたい。ソレを使えば、あの猪にあんな氷の攻撃を食らわせられンのか?」

リツから切り替わったブライは、セレスに尋ねた。


「あれは銃と魔法の組み合わせなの。銃は弓矢と同じく、遠距離攻撃の武器。この銃というのは弓の役割で、この小さな金属が弾丸と言って、矢のような役割なの。銃は威力がそこまでではないけど、貫通力が高く、弓矢よりも的を当てるのに技術はいらないのが長所。ただ、矢と同様にそこまで威力は無いの。だから、その威力を補うのに、魔法を組み合わせる」


「そんであんな風になるのか? だが、あれほどの魔法を使えるということは結構な魔力を使うんじゃねエのか……」


「そうね。さらに準備にも時間がかかるし」

セレスはじっと銃を見ながら、淡々と答えた。

その言葉を聞いたブライはじっとセレスの顔を無言で眺めた。急に訪れた静寂に違和感を覚えたセレスはブライの方を見る。ブライはセレスが自分の方に顔を向いたことを確認したうえで、口を開いた。


「それはホンネか?」

ブライの言葉にセレスの目が泳いだ。

そこで、畳みかけるようにブライからリツへと切り替わる。


「セレスさん。ブライは人の魔力を感知できるタイプなんです。あなたがそこまでの魔力を所持していないことは見透かされています。それに、この武器、銃って名前ではありませんか?」


「何でそのことを……」

その瞬間、リツはピクリと眉間が動いた。リツもまた、失言してしまったと思っていたが、とっさに理由が思い浮かび、冷静さを取り戻した。


「行商人の情報網で何となくは……ですね」


セレスは頬を人差し指で掻きながら、苦笑いした。


「参ったね。それだと、ごまかしきれないね」


セレスは白状するように、懐から金属の小さな筒、弾丸を取り出した。


「ブライさんの言った通り、私には魔力がそんなにない。それでも、あの威力が出せるのは、この弾丸というものに魔石を詰めて、魔力を高めているの。相手に直撃した時に少しの魔力を与えることで、連鎖的に魔力が膨張し、強力な魔法が発動する。これで狙ったところに強力な魔法を打ち込める」


「たまげた。それはつまり、その武器は魔力の低い奴でもかなりの戦闘ができるようになるじゃねエか」


「そこなのよ!」

ブライの言葉に反応して、セレスの声には熱を帯び、声量が大きくなる。その様子にブライはビクリと驚いた。


「……ごめんなさい。でも、まさかこの説明だけでそこを言ってくれるとは思わなくて」

セレスは自分の異様なテンションに気付いて、深呼吸を行い、少し落ち着かせる。


「いや、良い。ネーチャンがそこまでになるってことは、何か思い入れがあるンだろ?」


「そうね……」


セレスが大事そうに銃を抱える。


『ブライ。俺に変わって』


(あいよ)

リツに言われたブライはリツに身体を返した。


「急に割り込んで、すみません。その銃って武器はどうやって入手したんですか? 正直、流通では見た事ないので」

リツは警戒するような目でセレスに尋ねた。


「そうね……まあ、リツ君達ならきっと」

セレスは1人でブツブツと呟いた後、リツに正直に答えることを決意した。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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