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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第19話 再戦

本日も投稿しました。よろしくお願いいたします。

「さあ、再戦よ!」

私は走り出して数分で、奴に辿り着いた。


目の前には私の背丈を遥かに超える隊長の猪。口元から生えた巨大な二つの牙は無数に枝分れて、大木のように天へと伸びている。身体には長年生きたであろう証と思われる、コケが無数に生えており、背中には木が自生していた。目の前に立ちはだかるそれは、まさに一つの山のようであった。


1つの小さな山は私の声に呼応して、ゆっくりと動き出す。それと同時に、黒い瞳が私を補足し、じっと睨む。


「何? 私だけでは不満?」

私は挑発しつつ、黒い金属の筒、『ライフル』を取り出した。片腕くらいはある長さの筒を右手で抱え、左手からマガジンと称される弾丸の集まりを取り出して、ライフルにセットする。

弾丸とは筒から飛ばす、弓矢の矢にあたるもの。弾丸は矢よりも早く、貫通力に優れている。弾丸の中には火薬と呼ばれるものを敷き詰めており、これが射出の原動力になっている。

 

「ゴガアアアア!」

銃にセットする所作を見て、静かに構えていた大猪は吠えた。その咆哮で、銃の筒が振動しており、先の戦闘での記憶が蘇ったに違いない。


無理もない。大猪の額に付けられた傷は、私の銃撃によるものなのだから。


大猪の枝分かれした牙の複数から、光を帯びる。その兆候に私も魔術を詠唱した。


「フーガ・トラヴィス(風の移動)!」 

周囲に風を纏うのを確認した後、疾風のごとく走り出す。大猪の動きを注視しつつ、木々を縫うようにその場から離れる。


「ゴギャアア!」

猪が吠えると、額に刻印が浮かび上がる。すると、牙から放射状に延びる雷撃が射出された。まばゆい光が目の前に迫って来るのを、木々を足場にして、ジグザグに回避する。


(エリュマントスは魔術をほぼ使用しないことで知られているのに……突然変異種って本当に厄介……)


次の一手を思案している間に、木々を押し倒した大猪が眼前に迫っていた。

先ほどの雷撃が目くらましで本命がこの突進。まったく猪に似つかわしくないこの知能も、私達を苦しめた要因の1つだった。


事態は一刻を争う。私は急いで地面に砲身を向けて、発砲する。


「フーガ!」

金属の砲身から射出された弾丸は私の詠唱により、炸裂し、風を巻き起こした。私はその浮力で、宙へと巻き上げられる。

射出した弾頭には風の魔石が練り込まれており、魔力に呼応して、暴発する仕組みになっている。今回は運よく風の魔石を組み込んでいたため、できた方法である。


宙に浮く身体。眼下には暴風が通り過ぎたように、木々が木っ端みじんに飛び散っていた。


「……あっぶな-い」

本当に肝が冷える。あの一撃は盾役のカイ君ですら負傷をおってしまう。私では致命傷になりかねない。

私は宙に浮いた逆さの身体を風魔術で態勢を整え、空中で砲身を構えた。やられてばかりではいられない。これでも、モンスターハンターなのだから。


風の浮力で落下を防止、宙に浮いた状態でライフルに取り付けているスコープと呼ばれるガラスを覗く。このガラスは遠距離を理解にとらえる代物。2代目勇者によって伝承された眼鏡の発展形だ。


(あれか。本当にめちゃくちゃするね……)

すでに猪は2キロ先まで移動している。


私は引き金下のレバーを前後にカチカチと動かす。飛び出る小さな金属の破片と同時に、詠唱した。


「マキア(拡大)!」

拡大を意味する強化の術で、砲身に魔力のオーラが帯びた。


猪は突進をやめて、背後を振り返る。私を仕留められていないことに気づいたのだろう。


だが、もう遅い。


私はトリガーを引いて、けたたましい発砲音と共に、猪に向けて弾が射出された。


空からの射撃であれば、木々に邪魔されることも無い。一直線に飛んでいく弾丸は猪の眉間に迫っていく。


「ゴギャアア」

猪が吠えると、額に刻印が浮かび上がる。再びの詠唱、猪の身体に魔力を帯びた光らしきものが纏う。おそらく、肉体硬化の術。想定以上に堅くなる皮膚に攻撃がうまく通らず、ライラさんがてこずったことが思い出される。


だが、それも承知の上。

 

弾丸が猪の皮膚に接触するか否かのところで私は詠唱した。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

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