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7代目勇者ー勇者をクビになった俺が相棒となら、この世界を救えるのだろうか?  作者: 酒月 河須(さかづき かわす)
第1章 勇者としての始まり
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第12話 事態の収束と感謝

本日も投稿しました。よろしくお願いいたします。

「……まあ、そんなところかもですね」

中年の男の問いかけに、リツはうなじを指で掻きながら、視線を右上に動かした。


かくして、盗賊達の一件はリツとブライの手によって、解決された。奪われてしまった武器のすべてをリツが確認し、ガシスとアインのもとに返却された。


ガシスは無事に帰ってきたリツの姿を見て、安堵し、アインは盗賊を一網打尽にしたリツに驚いた。


「……にしても、リッツ君には驚かされたよ。まさか、盗賊達をひっ捕らえるなんて」

商会に連行されていく盗賊達の姿を眺めながら、商人のアインはリツに声を掛ける。


「たまたま作戦が上手く行ったので……」

リツは頭を掻きながら、控えめに答えた。頭を掻いている手の平は包帯で巻かれており、包帯は手首より先の服で隠れている部分まで伸びている。


「いやいや。たまたまなんて謙遜しないでよ! 調べたら、あの盗賊の頭、第一級のお尋ね者らしいよ。どれほど作戦を立てようが、君がかなり強くなければ不可能だ。そう、騎士とかその位には強くないと。どこかの騎士かなんかに所属していたのかい?」


アインの一言で、リッツの額から冷や汗が一気に噴き出た。


「いや、違いますけど……そう……ですね」


リツは言い淀む。そんな様子を見ていたガシスが、会話の中に入ってくる。


「こいつは、物を与えることでの幸せを求めて行商人を目指してんだ。あまり血なまぐさい話はご法度だ」


ガシスの言葉に、アインも申し訳ない気持ちが芽生えて、視線を下げた。


「……そっか。そういうことか。ごめんな。別に深い意図はないんだ」


「いや、良いんですよ。むしろ何も言えなくてすみません」


少しだけ気を悪くさせてしまったと感じたアインは、話題を切り替える。


「ところで、武器も奪還したことだし、武器の納品はいつ頃になるんですか?」


「さっき、取引先に向けて連絡をいれたところだ。先方の承諾次第だが、特に問題が無ければ3日後から納品を開始する予定だ」

ガシスがポリポリと白い頭部を掻きながら、答えた。


「じゃあ、それまではこの近くで待機するんですか?」


「そうだな。リツも負傷しているし、それまでは、マルテムの宿で休養することにした」


「マルテムですか。首都のホワイトセブルスに近い町で、首都ほど物価も高くないし、首都への仲介として流通もそれなりの場所ですよね。私も良いと思います」


「野宿でまた襲われても嫌だしな。お前はどうするんだ?」


「私は今後の予定の関係でホワイトセブルスに事務処理のために寄った後、すぐに出発します」


「忙しいんだな」


「何をおっしゃいますやら。 この国の首都であるホワイトセブルスで取引なんて俺のような普通の行商人では無理です。武器の生産国である、ルーブスでも指折りの鍛冶職人のガシスさんだからこそできることです」


「元鍛冶職人だし、大したものでもねえ」

ガシスがぶっきらぼうに答えると、アインは微笑んだ。


「そんなご謙遜を。いずれにしても、リッツ君のおかげですぐに商売を始められるんで、本当に感謝してます。君には今回の件で何かしらのタイミングでお礼をさせて欲しい!」

アインは深々とリツに頭を下げた。それに対して、リツは反射的に首をフルフルと振る。


「とんでもない。こちらこそ、短い間ですが、ありがとうございました」


二人は言葉を交わした後、アインは荷馬車に荷物をまとめて、馬にまたがる。


「では、また」

アインはリツとガシスに声をかけた後、取引先のところへ向けて荷馬車を走らせる。その後ろ姿をガシスとリツは見えなくなるまで見送った。


「俺らも行くか」


「ですね」

ガシスの呼びかけにリツは頷く。二人はホワイトセブルスに向けて歩み始めた。



最後まで読んで頂き、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

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