漫才「勇者の世界の救い方」
漫才です。
二人→ボケとツッコミ両方で話す
ボ→ボケが話す
ツ→ツッコミが話す
というふうに書いています。
二人「どうもー。よろしくお願いします」
ボ「……勇者になりたい」
ツ「いきなりどうした?」
ボ「勇者になって、人々を苦しめる魔王倒したりして世界を救いたい。そしてモテモテになりたい」
ツ「後半の本心の露出酷いな」
ボ「じゃあ、君は世界救ってなにを望むの?」
ツ「……やっぱ金かな」
ボ「ハンッ! 俗物め」
ツ「こいつ鼻で笑いやがった。望みがモテモテのやつに俗物とか言われたくないんだけど?」
ボ「てことで勇者やらせてくれ」
ツ「よく俗物と鼻で笑ったやつに頼みごとできるな。頭大丈夫か?」
ボ「勇者にならせてくれないなら、無理やりにでも勇者になるぞ」
ツ「どうやってだよ?」
ボ「お前の家に忍び込んで、タンスや戸棚を開ける」
ツ「ただの泥棒!!」
ボ「勇者はそういうもんだろう?」
ツ「そうだけど! 勝手に人の家入って物かっぱらっていくけど!」
ボ「勇者はキャッシュカードを手に入れた!」
ツ「一番のお宝いかれた!」
ボ「勇者は『鑑定』の呪文を唱えた。カードの暗証番号を手に入れた」
ツ「最悪の悪用方法!」
ボ「勇者はATMで金を引き出そうとしている!」
ツ「やめろ!」
ボ「…………」
ツ「……どうした? 急に止まって? もしかして改心してくれたのか?」
ボ「残高たったの五万か……。ゴミめ!」
ツ「俺の預金残高少な!!」
ボ「こうなりたくなかったら勇者シミュレーションに協力しろ」
ツ「わかった。やるから。カードは盗むなよ?」
ボ「五万がそんなに大事か……俗物め」
ツ「こんな勇者嫌だわ」
ボ「序章、勇者の旅立ち」
ツ「旅立ちからするの? 終わる?」
ボ「いいから、俺の行動にアドバイスとかあれば言って。……では王様! 魔王を倒せば元の世界に帰れるのですね?」
ツ「勇者が王様から金をもらうの、昔からよくあるよね」
ボ「やった! 百ゴールド! これで武器が買える!」
ツ「貰える金少な!!」
ボ「お前の預金残高よりはあるだろうけどな」
ツ「口悪いな! てか、防具も買えよ」
ボ「無駄な買い物はしたくない。ぐへへ、武器を手に入れたぞ。早速、外でモンスターと戦おう」
ツ「よくやるけど、現実でやるなよ。狂気の沙汰だぞ? いのちだいじに!」
ボ「首! 目! 首! よし、スライムを倒したぞ」
ツ「戦い方エグッ! てかスライムの首ってどこ!?」
ボ「ふう。疲れた『回復』! よし、呪文で傷は治った」
ツ「最初から便利な呪文使えるな?」
ボ「よし、帰ろう」
ツ「もう!? まだ一戦だよ!?」
ボ「もう魔力無いから。……お、良さそうな宿屋発見」
ツ「しっかり休むのは大事だな」
ボ「なんだこのいっぱい女の子の写真があるピンクのホテルは!?」
ツ「お前それ絶対エッチな宿屋だろう!? やめろ! そこでは休めない!」
ボ「宿のおやじ『こんやは おたのしみ ですね』」
ツ「ほらそうじゃん! 金の使い方考えろよ!」
ボ「一夜、あけて。……あ~だっるい」
ツ「疲れてるじゃん。全然休めてないじゃん」
ボ「あ~、しかもなんか熱っぽいわー。風邪かな?」
ツ「風邪の勇者とか、くそダサいな」
ボ「……ん? ……あれ?」
ツ「どうした!?」
ボ「股間かゆい」
ツ「性病うつされとる!!」
ボ「マジで? こうなったら勇者の力で……『解毒』。勇者は梅毒が治った。ふう。楽になった。ナイスアドバイス」
ツ「勇者への助言でこんな酷いの聞いたことないよ」
ボ「こうして数々の苦難を乗り越え、勇者は成長していった」
ツ「エッチな宿屋で性病うつされたの苦難に数えんな」
ボ「ぐあー! くそ! 魔王に勝てない!」
ツ「展開早いな! 序章の次、終章? どんな二章構成?」
ボ「なにかアドバイスを」
ツ「装備いいの買え」
ボ「駄目だ金がない」
ツ「じゃあ、レベル上げしろ。そうすれば金もたまる」
ボ「わかった。……首! 股間! 心臓!」
ツ「攻撃のエグさ上がってる!」
ボ「勇者はレベルが上がった」
ツ「レベルも上がった」
ボ「勇者は『転移』の呪文を覚えた。……よしこれで帰れるぞ。『転移』。……やった。日本に帰れた」
ツ「旅が魔王倒さずに終わった! こっからどうすんだよ!? 世界救ってないけど?」
ボ「とりあえずラーメンでも食べに行く」
ツ「ああ、異世界では食べられそうにないもんな」
ボ「ずぞぞ~! 美味し! む!? どうした、隣の人。なに? 味覚がおかしい? まさか。『鑑定』……コロナだと!?」
ツ「ヤバいじゃん!!」
ボ「ええい、こうなったら、『解毒』! コロナが……治った!」
ツ「『解毒』凄いな! そんな凄いのに、うつされた性病治すみたいな使い方されてたの?」
ボ「このあと、勇者は『解毒』の呪文を世界に広め、世界をコロナの脅威から救った救世主になったのでした」
ツ「魔王倒してないけど。そんな方法で救世主に……。それでモテモテになれたの?」
ボ「めっちゃモテモテ。『解毒』のおかげで金ががっぽがぽよ。金目当てにモテるモテる。いや~、やっぱ世の中、金だね」
ツ「お前欲しいの金って言った俺を馬鹿にしてたよな!? もういいよ!」
二人「ありがとうございました」