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追憶の花嫁  作者: 三下
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出会いまで

僕は積極的に人と関わるタイプの人間ではなかった。君に出会うまでは。

よくある話だ。君が僕を変えたんだ。

君に出会うまでの僕はというと、もちろん友達なんかいなかった。

それ自体は問題じゃないんだ。友達がいないことに劣等感を感じたりしなければまだ自我があるってものだが、僕の場合は違う。

親しい人間がほしいのに、どうしてもできなかった。

それは僕自身の社交性の問題もあっただろうが、一番は僕の思想の問題だった。

「話しかけてくれない相手が悪い」「僕のことを理解しようとしてくれない奴の方が悪い」

とまあそんなようなことを考えながら人と接していた。

それが一般的には不適合な考えであるのは重々承知していたが、簡単に修正できるのなら苦労はしない。

四半世紀近く僕はその考え方を貫いた。

僕は書き出しで、他人の期待するような人間を演じた、と書いてきたが、こういう具合の人間だったから、そもそも「他人が期待すること」を理解できていなかったことの方が多かったのではないかと振り返りながら思う。

「お前、人の話聞かないよな」

と言われたことが幾度となくある。

適当に相槌を打ったり、返答をしたりはしていたつもりだ。しかしそれが実際的な効力を持っていなかったのだろう。言葉では聞いていても、相手の気持ちを理解しようとしていなかったんだ。

それを改善しようと試みたこともある。だけれど相手の気持ちを理解しようとすると今度は言葉が出てこなくて黙ってしまうんだ。

融通が利かないよな、僕って。

いや、融通が利かないだけならまだ救いがあるのかもしれない。

生きる姿勢そのものに問題があるのではないか。

「お前、ミスをしたのに人に謝ったことないだろ」

「ありがとうぐらい言えないのか」

「お前からは謙虚さが感じられない」

そう言われたことが何度あっただろう。

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