149話 囚われの姫 7/●
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「ワンは行く!」
重い空気を破り、そう言ったのは森榮だ。
「ワンは、絶対行く。父さんもオバアもいるから平気やっさぁ!」
顔を真っ赤にして眉毛を釣り上げ、今にも泣きそうだが、ぐっとこらえていた。
「そ、そんな鬼なんて、ワンが退治してやるからよー!アンクトゥ、ネーネーも来たらいいさぁ!」
強がっているのは一目瞭然。
頬を指で突いたら、きっと泣き出してしまう。そう思ってしまうくらいギリギリな精神状態だと見て取れた。
どう言葉をかけていいのか、黙ってしまう。
【何が正しいのか】と【何が傷つけないのか】と【何が最善なのか】は似たようで全く違うからだ。
誰もが黙ってしまう場面。
そんな中、一人声を発するものがいた。
「わ、わたくしも参ります!」
予期しない方向から声があがった。チルーだった。
「ナギィさんと森榮さんの言葉で目が覚めました。わたくし達には、海榮さまがいらっしゃる。わたくしは宮廷の者として海榮さまを信じております。だから、参りましょう!」
チルーも声が震えてはいたが、決心が固い事は、その目を見れば疑いようが無かった。
本気なのだ。
未来の大きな方向を決めてしまう、そんな一言だと自覚をして発言している。
それを汲み取り、それぞれの顔を見回したカマディが、口を開いた。
「お前たち、言っておくが、……いや、もう言わなくてもいい事だろう。ナギィは、どうするんだい?」
そして最後にカマディがナギィの目を見る。
ナギィはこの目を知っている。
母が亡くなったと知った日から、ずっと、自分たち姉弟を大切に育ててくれた温かい、そして厳しい目だ。
もちろん、トイフェルは怖い。
しかしここで逃げたら、一生後悔する。
何もしないまま、大好きな家族を、友達を失いたくはなかった。
「イチュンドー!」
そういうとナギィは、わーっと泣きだしてしまった。
「アキサミヨー。まだまだナギィも子供やっさぁ。」
カマディはそう言いながら、馬から下りるとナギィを抱きしめた。
「よしよし……。涙そうそうやっさー。もう泣き止んで。ほら、急ぐよ。出発するさー。」
泣きじゃくるナギィの背中を優しくさすりながら、カマディがそういうと、ナギィは一つ深呼吸をしたが震える横隔膜が、深く息を吸うのを邪魔をする。
何度かそれを繰り返し、ナギィが少し落ち着くとカマディは、じっとナギィを見据えた。
「ここからは、もうお前のオバアだけではいられなくなる。……わかったね。」
ナギィはキッと口を結び、無言で頷いた。
「よし。ジョウトー。」
カマディがにっこりとした。そして振り返り、森榮を見た。
「森榮。偉いねぇ。それでこそ、スイの親軍の息子。ヤシガ、口だけでは駄目だよ。ちゃんとネーネーを守るさぁ。」
森榮も真っ赤な目で口を一文字に結び、「うん、」と頷いた。
「それじゃ、スイに向けて出発するさぁ!」
カマディの掛け声で、スイへと再び馬を走らせた。
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