表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第六章
96/96

149話 囚われの姫 7/●

こちらのアカウントでの更新を中断しました。


「メラニー」名義のアカウントで引き継いで更新しています。


(こちらは「e-scale」名義です)


https://ncode.syosetu.com/n9080hd/




お手数ですが、登録の変更をお願いいたします。

 「ワンは行く(イチュン)!」

 重い空気を破り、そう言ったのは森榮しんえいだ。


 「ワンは、絶対カンナジ行く。父さん(スー)もオバアもいるから平気やっさぁ!」

 顔を真っ赤にして眉毛を釣り上げ、今にも泣きそうだが、ぐっとこらえていた。


 「そ、そんなウニなんて、ワンが退治してやるからよー!アンクトゥ、ネーネーも来たらいいさぁ!」

 強がっているのは一目瞭然。

 頬を指で突いたら、きっと泣き出してしまう。そう思ってしまうくらいギリギリな精神状態だと見て取れた。

 

 どう言葉をかけていいのか、黙ってしまう。


 【何が正しいのか】と【何が傷つけないのか】と【何が最善なのか】は似たようで全く違うからだ。

 誰もが黙ってしまう場面。



 そんな中、一人声を発するものがいた。

 

 「わ、わたくしも参ります!」

 予期しない方向から声があがった。チルーだった。


 「ナギィさんと森榮しんえいさんの言葉で目が覚めました。わたくし達には、海榮かいえいさまがいらっしゃる。わたくしは宮廷の者として海榮さまを信じております。だから、参りましょう!」

 

 チルーも声が震えてはいたが、決心が固い事は、その目を見れば疑いようが無かった。

 本気なのだ。


 未来の大きな方向を決めてしまう、そんな一言だと自覚をして発言している。



 それを汲み取り、それぞれの顔を見回したカマディが、口を開いた。

 「お前たち、言っておくが、……いや、もう言わなくてもいい事だろう。ナギィは、どうするんだい?」

 

 そして最後にカマディがナギィの目を見る。


 ナギィはこの目を知っている。

 母が亡くなったと知った日から、ずっと、自分たち姉弟を大切に育ててくれた温かい、そして厳しい目だ。

 


 もちろん、トイフェルは怖い。

 しかしここで逃げたら、一生後悔する。


 何もしないまま、大好きな家族を、友達を失いたくはなかった。


 「イチュンドー(いくよ)!」

 そういうとナギィは、わーっと泣きだしてしまった。


 「アキサミヨー。まだまだナギィも子供ワラバーやっさぁ。」

 カマディはそう言いながら、馬から下りるとナギィを抱きしめた。


 「よしよし……。ナダそうそうやっさー。もう泣き止んで。ほら、急ぐ(イスジュン)よ。出発する(タチュン)さー。」


 泣きじゃくるナギィの背中を優しくさすりながら、カマディがそういうと、ナギィは一つ深呼吸をしたが震える横隔膜が、深く息を吸うのを邪魔をする。

 何度かそれを繰り返し、ナギィが少し落ち着くとカマディは、じっとナギィを見据えた。



 「ここからは、もうお前(ヤー)のオバアだけではいられなくなる。……わかったね。」

 ナギィはキッと口を結び、無言で頷いた。


 「よし。ジョウトー。」

 カマディがにっこりとした。そして振り返り、森榮しんえいを見た。


 「森榮。偉いねぇ。それでこそ、スイの親軍オヤイクサ息子イキガングヮ。ヤシガ、口だけでは駄目ヤナーだよ。ちゃんとネーネーを守るさぁ。」

 森榮も真っ赤な目で口を一文字に結び、「うん、」と頷いた。



 「それじゃ、スイに向けて出発するさぁ!」

 カマディの掛け声で、スイへと再び馬を走らせた。




こちらのアカウントでの更新を中断しました。


「メラニー」名義のアカウントで引き継いで更新しています。


(こちらは「e-scale」名義です)


https://ncode.syosetu.com/n9080hd/




お手数ですが、登録の変更をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ