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虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第六章
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144話 囚われの姫 2/●

 トイフェルは未だかつてないほどの焦燥を感じていた。


 もうスイ側には自分に対抗する手段は無いと結論していた。

 だと言うのに、ここに来て予想外の強い力が動いているのを感じたからだ。

 ありえない。


 確実に何かが確信を持って動いている。


 神降カミウリやスイに移動しているものの力……。

 自分が知る中で、力の強い能力者はカマディくらいだと思っていた。

 それが数年前に戦った経験からも確定だった。

 あの忌々しい結界が無くなった今、自分に歯向かう力などないと思っていたのだ。


 もう一つ気になることがある。

 スイに向かっている集団から感じる花の香。あれが全ての因子なのか?

 神降まで行けば手に入ると思っていた花の香が遠のいていく。


 あの花の香……


 あの花の香は「そういう事」なのだ。

 違えようがない。

 知っている香りだからだ。

 いつからどうして知っているのかは、わからないが欲しくて欲しくてたまらない。


 そしてその花の香を、呪われた不死にぶつければ、きっと忌々しい赤塊を破壊できる。

 本能がそう教えて来る。

 まさにそのチャンスが目の前にぶら下がっているのだ。

 逃すわけにはいかない。



 ギリッと、歯をかみしめた。



 悠長に最悪へのカウントダウンと戯れている場合ではない。

 お楽しみの時間は終わってしまった。

 

 気分を害されてしまったことへの怒りよりも、早急に事を運ばねばいけないという焦燥。

 事は一刻を争う。


 もうキジムナーに余興をさせている猶予もないと、奔流ほんりゅうの勢いで船を甘い蜜の香へと走らせた。





  *** *** ***

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