141話 師弟 14/15
ウッジの慌てふためく姿を見て、ソレは目を丸くした。この世界でこんなの見たことが無い。
『あははははーーー!お前、面白いな!』
『ほんと、こんな変なの見たことないや!』
ソレがケタケタと笑い転げた。
「ちょっとひどいよーー!」
とその声の主を見ると、光の小人というのだろうか。キラキラと輝く精霊だった。フワフワと浮いている。
それを見て、ウッジも自分が浮いているという事にやっと気づく。
「え?どういう事? ウチ、浮いて……る? 」
『わぁ、お前の目、緑じゃないのか。でも良い色だ。オレたちと一緒の太陽の色をしてる』
『ほんとだ。お前も太陽かぁ!笑って悪かったな!』
2人の精霊は、ずいっとウッジの顔の前やって来た。
そして、まじまじと顔を、目を覗き込んでくる。
「な、何……?」
『気に入った!』
『うん、気にいった!お前、仲間にしてやる!』
2人は嬉しそうに、お互いの顔を突き合わせるとクスクスと笑った。
「は?……あなた達は一体何なの?」
『えーー!何で知らない?』
『知らないはずない!』
まさかのすごいブーイング。
「知らないはずないって言われても、会ったことないでしょ?」
『でも、ずっとお前と一緒にいたよ。』
『うんうん。目が合ったのも話したのも初めてだけど。』
「は?なぞなぞ?」
『なぞなぞ?なにそれーーー!』
『なぞなぞーーーー!』
なぞなぞという言葉が面白かったのか、二人がなぞなぞと言いながらはしゃぎ出した。
「もう、それはいいから。あなたたちは一体なんなの?ウチ、知らないよ。」
『もー!オレたちは太陽の光。』
『そうそう。太陽の光。』
「え?太陽って、あの、太陽?」
『そう。太陽』
『太陽以外の太陽ってあんの?』
「……まぁ、言われてみれば。」
『なぁ、お前なんで、太陽の匂いがする?』
『さっきも太陽の匂いが飛んでった。』
よく話がつかめないのだが、さっき通ったと言えばきっとチャルカとアレハンドラなのだ。
それ以外に考えられない。
「あー……、それはチャルカかな。あれは太陽の神さまだよ、……一応。それで……かな?」
『へぇ!太陽の神さま見るの初めて!』
『じゃ、お前は何?太陽の神さまに捨てられた太陽の子?』
「ち、違う違う!っていうか、馴れ馴れしくお前って言わないでくれる?ウチの名前はウッジ。」
そういうと太陽の光と名乗った二人は急にキョトンとしてしまった。
「え?どうしたの?」
『なまえって?』
『意味が分からない。太陽の光は太陽の光。お前はお前。』
二人が顔を突き合わせて『ねー、』と。
「え……名前の概念が無いの?そのー……一人一人に個別の呼び名があった方が便利でしょ?ほら、呼ぶときとかさ、」
『うーん、別に』
『ない、』
「そっかぁ……でも、ウチの事はウッジって呼んでね。」
『ウッジって呼ばれると嬉しいのか?』
『名前、嬉しい?』
「ま、まぁ……、ウチだけのものだし……それに、」
と、ここからは先は普段だったら絶対口に出さない言葉なのだけれど、どうやらここでは思ったことが全て出てしまうようで止めることができない。
「それに、お父さんとお母さんからもらったものだし……、」
『へぇ!……じゃぁ、ウッジ!嬉しい?ウッジ!』
『ウッジ、ウッジ!いいな、なまえいいな!』
ウッジが言ってしまったと後悔することも、太陽の二人は全く気にも留めていようだった。
それよりも、名前というものを口にするのが嬉しいようで、ずっと、ウッジを連呼している。
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