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虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第五章 夜の国
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139話 師弟 12/15

「アレハンドラさまが、結界をお張りになれるのは、太陽が昇っている間だけなのですよね。……あぁ、失礼な事を申していたら、ご容赦ください。その……、」

『そうですね。なので、早く現地へ行き、何か手を講じねばなりませんね。』

「やはりそうですよね……。私たちの力がどうにか使えればいいのですが……。」


『……少し、伺いましょうか。確か、ウタキという場所が壊れたと、カマディさまはおっしゃってしましたね。その【壊れた】とは、一体どういった状態なのですか? 』

御嶽ウタキ清明シーミーの力を鏡の様に凝縮・反射させる働きがあります。その作用の源は香炉です。香炉とは、神聖な彫石ちょうせきなのですが、その石がけがれによって……もしくは物理的に破損し、力を失ったのだと考えられます。」

『では、その香炉を復活させることができれば、清明たちの力で結界を張れるという事ですね。』

「はい。おそらくは。…………。」


『どうかしましたか? 』

「……はい。その香炉の件、何とかなるかもしれません。……もしかしたら、もう神降カミウリの清明たちは動いてくれているかもしれないです。」

急にマタラの声が明るくなった。

『? 』


「あぁ、申し訳ありません。私ばかり納得してしまっていて。実は、香炉の石は神降の石でなければならないのです。神降島カミウリジマはこの十六夜イザヨイをお作りになられた神が、初めてお降りになられた神聖な島なのです。ですので、とても霊力の高い島である神降の石で作った香炉を、各地の御嶽に安置してあります。

魚釣島ユイチャージマの御嶽が高位であったのは、確かに場所的に霊力が高い事もありますが、香炉の数が多かったことも理由の一つです。

そして、国防の要になる魚釣と神降のうち、祝女ノロさまが魚釣にいらっしゃったのは、最前線の山原ヤンバルが近いという事もありますが、神降は祝女さまがいらっしゃらなくても、十分に力がある場所だったからに他なりません。」


『なるほど。分かりました。では到着次第、その香炉の力を立て直せるように尽力してください。』

「そうですね! それが最重要ですね! 」

『マタラさん、本当にあなたがこちらにやって来てくれて、良かったです。』


「いえいえ、私は清明としてはまだまだなのです。」

『しかし今現在、わたくしは大変助かっています。ありがとう、マタラさん。』

「……勿体ないお言葉です、ありがとうございます、」


マタラが、恥ずかしいような、誇らしいような、くすぐったい気持ちになった。

「マーちゃん、いちばん! マーちゃん、えらいっ! 」

チャルカが、はしゃぎ出した。


『これ、チャルカさま。また、さっきのような事になりますよ。お静かに。』

「ふぁーい。」

「ふふふ。」


『では、するべきことも見えてきました。急ぎましょう。先ほどから、東の空も様子が変わったように思います。何やら嫌な感じがいたします。』

「……そうですね! 急がないと。太陽が沈むまでにやり遂げなければ! 」


「メリーちゃん、急いでーーー! 」

チャルカの声にメリーが、獣の咆哮を上げた。

翼をブンと、大きく羽ばたかせると、明るい昼間でも分かるほどの青い火の粉舞い上がった。

チャルカ一向は、神降島カミウリジマを目指して速度を上げ先を急いだ。

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