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虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第五章 夜の国
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118話 楽園 24/33

「イヒヒ! 皆(ウマンチュ)慌てておかしいさぁ! 」

キジムナーが、御嶽の入り口の巨石に自生している木に留まった。


「おのれ、キジムナー! 」

「祝女《ノロ》さまと結託して、悪だくみをしているのだな! 」



「イヒヒ、何の話やっさぁ? ノロ? なんだそれ、そんなのしーらないっ 」

「嘘をつくな! カマディの事やっさぁ! もうお前たちが繋がっている事は、確然たる事実! 」


キジムナーが、んー? と考え込むようなしぐさをした。


「あぁ、あのオバアのことやっさぁ? アハハハハハハハハハハハ! 」

「何がおかしい! 」

「ワッチがあんなヨボヨボのオバアと組むわけがないばぁよ! 」


キジムナーの言葉に、清明《シーミー》たちがざわついた。


「ワッチは、ゆくゆくは世界の王に君臨するトイフェルさまのしもべ。そんなオバアの手なんか借りなくても、このスイの国を手に入れるなんて簡単な事やっさぁ。イヒヒ、馬鹿《フラー》!馬鹿《フラー》! 」


「で、でも、昨晩、お前と祝女さまが密会している所を見た者がおるのだ、お前の言う事なんか、信じられるか!」

一人の清明がそういうと、そうだそうだと、他の清明も賛同した。


「イヒヒ、ワッチは人に幻覚を見せるのも得意だからよー、全てはトイフェルさまのご命令で、スイへの防壁を無くすためにワッチが仕組んだことやっさ。まんまと引っかかるなんて、ほんと、清明なんてチョロいチョロい! 」


「……な、」

清明たちの顔が憎しみと後悔で歪んだ。


「今頃、トイフェルさまは、勝利の歌でも口ずさみながら、ヨンナーヨンナー、スイの国に向かっておられるばぁよ! イヒヒヒヒヒヒヒヒ! もー、手遅れ! 残念でした! 」


「何を言っている……、このスイの国の防御は鉄壁のはず! 」

「嘘だと思うんだったら、北の空を見るんやっさぁー。イヒヒ! 」


「し、しかし今、祝女さまが御嶽で…… 」

「その御嶽《ウタキ》が壊れたさぁ。……全部、お前たちのせいやっさぁ。アハハハハハハハ! 」


清明たちの顔色が変わった。

不安と恐怖一色になったのだ。


「御嶽が壊れた今、お前たち清明の小さな力では、何の役も立たんから、オバアが一人で御嶽に籠っているのかもしれないさぁね? イヒヒ。」


それを聞いて、立っている事もままならない清明まで出だした。


「ほんと、こんなことで諍《いさか》いを起こしてくれて、ありがたいさぁ~。勝手に仲間割れしてくれるから、楽ちんやっさー。」


「……そ、そんな、」


「ちっぽけな力しかないお前たちなんて、トイフェルさまの力で、すぐに吹き飛ばしてやるばぁよ。もうすぐ、ここはトイフェルさまの楽園になる! ……早く逃げる事さぁ! 」


泣きだす清明もいた。

血の気も引いて青ざめ、最初の勢いを保っている清明は一人もいなかった。


キジムナーはそういうと、岩に生えている小さな木々をサルの様に上へ上へと飛び移り、てっぺんまで行くと姿が見えなくなった。


「死にたくない者は、早く、逃げるさぁ……! イヒヒヒヒヒヒ……! 」

声だけが響き渡っていた。


最後のキジムナー言葉に、逃げ出す者がいた。

その者に触発され、次から次へと清明たちは走り出し、その場に一人もいなくなった。



それをナギィは、複雑な気持ちで眺めていた。


誰も通訳がいないので、ウチナーグチ少な目の回になっています。

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