表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第五章 夜の国
18/96

71話 魚釣島の清明 7/16

他愛もない話をしている間に、ユウナの治療が終わったようで、ウッジの腰にかざしていた手をもどした。

「ネエネエ、終わったよ……って、寝ちゃってるねぇ。」

見ると、ユウナがとらせた体制のまま気持ちよさそうに、眠っていた。

その横でウッジを心配そうに見ていたチャルカも寝てしまっていた。その上でメリーまで寝てしまっている。

「おやおや、カーミぬ上に子亀クヮカーミさぁ。あははは。」

「お二人とも相当お疲れだったのですね。このまま寝かせてあげましょうか。」

「……メリーはただのグータラだと思うけどね、」


「ネエネエ、さっきの話さぁ、カマディのところだったら、こっちにンマガと住んでるヤーは……家はあるんだけど、今は島に行っている時期だから渡んないといけないさぁ。」

「はい。そのつもりなんです。明日、船をお願いして渡ろうかと。」

「ンチャ、それはムチガカイ……心配ないさぁ。やっぱり、ムチカサンねぇ! あははははは」


陽気なユウナの声は、聴いているだけで、こちらまで明るくなるようだった。

「ほんと、ユウナさんはお医者さんですね。お話をしているだけで心が軽くなるように思います。」

ストローの言葉にユウナがうんうん、と頷き嬉しそうにした。

ウマンチュ、いろいろあるけど、アカさん生きていたら良い事があるもんさぁ。カマディに何を聞くんか知らないけど、きっと大切テーシチぬ事なんだろうさぁ。あんまり、追い詰めないで、適当適当テーゲーテーゲー。それくらいで丁度イーバーさぁ。」

そういうと、ストローの近くのまでにじり寄って、頭を撫でた。


「……ありがとうございます。なんか、オッカァの手みたいだ。」

その優しい手に、ストローは極北の地に残してきた母親を思い出した。


「って、十六夜人イザヨインチュのネエネエ、今のちゃんと喋れてた? 」

「……うーん、ちょっと出来ていませんでしたが、、」

「オラにはちゃんと、伝わりましたよ。本当にありがとうごさいます。」

「ヤサヤサ。じゃ、ワーは行くさぁ。腰の痛いネエネエは、起きたらイーなっているさぁ。今晩チューユルは寝かせて上げて。」

ユウナが立ち上がった。

「ユウナさん、本当にありがとうごさいます。お礼はどうしたら……」

「いやいや、そんなの要らないよ。王宮のウチャクさまで、何かとても大切テーシチ用事ユージュがあってチューンさぁ? イチャリバチョーデー。気にしない気にしない。」

「イチャリバ……」

「イチャリバチョーデー。十六夜の心です。会えば皆兄弟、というような意味ですね。」

「へぇー、いい言葉だね。うん。イチャリバチョーデー。オラも、これからそうする!本当にありがとう、ユウナさん。」


「また何かあったら、ワーを呼ぶといいよぉ。アンセーねぇ。」

そういうとユウナは部屋を去って行った。


「安静か……。治してもらったといっても、明日ウッジは船は無理かな……」

ストローがそういうと、チルーがフフフと堪えられないのか笑い出した。

「え、なになに? オラなんか変なこと言った? 」

「違うんですよ。ユウナさんがおっしゃっていたアンセーとは『それでは』みたいな感じで、ウッジさん腰を気遣っての言葉ではないのです。フフフフ……」

「あ……、あぁ、そうなんだ。もぉー、チルー、そんな事で笑うの酷いよぉ」

「すみません、ちょっと緊張が途切れたので。実は清明シーミーは、その使命から気難しい方が多いのです。でも大丈夫でしたね。ユウナさんは、とてもお優しい方で。」

「うん。そうだね。ユウナさん、また会えるといいなぁ。」

「そうですね。さぁ、お腹空きませんか?何か、女将さまに作ってもらってきましょうか。」


そういわれて、ストローは初めてお腹が減っている事に気が付いた。

「……うん、お腹空いたね、お願いしてもいいかな」

少し恥ずかしそうに答えた。

何だか実家にでも帰って来て、家族に世話を焼いてもらっているような気分が、ふわっとしたからだ。

「? 」

「何でもない何でもない。オラが言ってこようか? 」

「いえいえ、私が行ってまいりますよ。……ウッジさまとチャルカさまは、もし目が覚められた時ようにおにぎりでもお願いしてきましょうか。」

「そうだね。申し訳ないけど、お願いしてもいいかな……」

「はい。では、ちょっと行ってきますね。」


チルーは立ち上がり、女将を探しに部屋を出てった。


すぐそばで二人と一匹が寝ているとはいえ、一人になってふと考える。

何とは無しに、送り出してくれた母親の事、旅の道中の事、オズの事、宮殿で出会ったロードの事、メイシアの事……。

外に目をやると、建物から大きくせり出した雨はじに、大きな月がかかっていた。

ストローがそっと、月にメイシアが無事で見つかりますようにとお願いをした。


しばらくして、チルーがそばを持ってきた。

二人でそれを食べ、途中から、目が覚めたチャルカとメリーも交えて、静かに食事を終え、その夜は就寝した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ