表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の国のメイシア ~タロット譚詩曲~2  作者: メラニー
第五章 夜の国
17/96

70話 魚釣島の清明 6/16

「ハイタイ。スグーヨー、チュー、ウガマビラ。腰が痛いっていうネエネエがいるっていうのは、ここヤイビーガ? 」

声の方を見ると、歳は40代後半だろうか。ぽっちゃりとした体形の背の低い、優しそうな女性だった。

「はい。そうです。……彼女なんですけど、、」

チルーが、女性を招き入れるようなしぐさをした。


「はいはい。起き上がれないのね。お嬢グヮー、ちょっと、のいててね。」

泣くタイミングを逃してしまったチャルカの頭を、女性が優しくポンポンとして、横に逸れさせた。

「アハー、かなり辛そうねぇ。……しかし、この部屋ウジャはにぎやかだ事。」

というと、女性はフフフと、優しい笑みを浮かべた。

「ウジャ……? すみません……うるさかったですよね。」

ストローが申し訳なさそうに頭を下げた。

確かに戸も窓も開けっ放し、というより無いようなもので、だからこそ外の涼しい風が入ってくるのだけれど、その分騒いでいた声は全て周りに筒抜けなのだった。


「イーサァー。そんな事で怒る者はいないよ。そこはテーゲー、テーゲー。さぁさ、ネエネエ、横向けに寝られる? 」

そういうと女性は、座布団を二枚持ってウッジの横に座り、座布団を折り曲げて一枚はウッジの頭に、もう一枚は横向けになった上の足を折り曲げて座布団の上に乗せた。


「ワーはユウナと言います。病気とか怪我を治すのが、他よりちょっと得意でね。ワーに任せてね。ネエネエも、すぐに良くなるさぁ。」

そう言いながら、ユウナと名乗った女性は、手をウッジの腰にかざし始めた。

「あ……すごい。温かい。」

ウッジがあまりの変化に驚いて声をあげた。

それを聞いたストローが、興味津々で身を乗り出し、ユウナの手を凝視した。

「へぇ~、見た感じは何もないんだけどなぁ。すごい。……やっぱり、ユウナさんは清明シーミーなんですか? 」


「ヤサヤサ。あぁ、ネエサン方はこっちの言葉は、わからないんだよね。ちょっと気を付けないとすぐに出てしまうから、ヤナーだねぇ」

ユウナはどうしても十六夜の言葉が出るようで、チルーがフフっと笑った。

「そっちのネエサンは十六夜人イザヨインチュだね。もしワーが、ちゃんと喋れていなかったら通訳してよ。」

「はい。承知いたしました、ですが……きっと大丈夫ですよ。」

「そうかい? ……それで、さっきの話。ワーは一応清明だけど、あんまり結界を作るのは得意じゃなくてね。大体はこっちに居るんだよ。こっちにいて、医者みたいなことをしているさぁ。」


「あっちとは……魚釣島ユイチャージマのことですか? 」

「ヤサヤサ。」

「そういえば、さっき、チルーも結界がこの島の要とかって話していたけど、魚釣島と結界と何か関係があるの? 」

「まだお話していませんでしたね。まず、海榮さまのお義母かあさまの事は……」

「うん。確か、ユタのかしらをやっていて、魚釣島にいるっていうのは言っていたね。」

ストローが海榮の話を思い出していた。


「お、ネエサン方はカマディーに会いに来たのぉ? 」

「そうなんです。オラたちの仲間の事で、聞きたいことがあって……」

「ンチャ。カマディーなら、きっと力になってくれるさぁ。……ところで、十六夜人のネエネエ、ンチャってなんて言うんかな? 」

「なるほど……ですね。」

「ンチャー! あぁ、なるほどぉ……あはははは、やっぱり、ムチカサン! 」

「ムチカサン? 」

「難しいってことですね。」

「あー、それはオラにもムチカサンだなぁ」

「ネエネエ、うまい事言うねぇ」

これが清明の力なのか、ユウナの人柄なのか、時間が和やかに流れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ